大学公開講座のセカンドアカデミー

【目標】
・近代日本の思想・文学に「手紙」を通して親しむ。
・論説や評論・小説などに限られがちな人物像の原点や等身大の思惟に迫る。
・直筆の「手紙」(コピー・写真版など)に接するほか、朗読を試みる。

【講義概要】
ごく私的な人間関係の表現とその伝達方法である「手紙」は、近代の政治家や思想家、文学者らの内実を知るうえで大きな手がかりとなります。大久保利通・伊藤博文・大隈重信ら政治家の各関係文書中の書簡は、政治史の内面・裏面を知る不可欠の資料群となっています。夏目漱石・芥川龍之介ら文学者の全集にも「書簡」の数巻があります。重厚な評論や小説を読み通すにはそれなりの気構えを要しますが、「日記」とともに「手紙」からはそれらの背景となるシチュエーションへの理解がある程度は必要とはいえ、書き手の人間性にとどまらず、それぞれの行動や思想の原点や意図などを読みとることができます。なによりも気軽に読み、自在に想像力を働かせることができる楽しさがあります。本講座では、小林多喜二、石川啄木、田中正造、そして河上肇をとりあげ、それぞれの人間的魅力の一端に迫ります。

【各回の講義予定】
第1回 2021/ 7/ 2(金) 小林多喜二の手紙(1) 少年期の独創的な手紙と田口タキ宛ラブレターを中心に
第2回 2021/ 7/ 9(金) 小林多喜二の手紙(2) 獄中書簡を中心に 西田信春の獄中書簡の紹介
第3回 2021/ 7/16(金) 石川啄木の手紙 晩年の社会思想の理解のために
第4回 2021/ 7/30(金) 田中正造の手紙 世紀転換期の「亡国」観を中心に
第5回 2021/ 8/ 6(金) 河上肇の手紙 獄中書簡を中心に 妻秀の手紙の紹介

【ご受講に際して】
◆休講が発生した場合の補講日は8月20日を予定しています。

※定員の充足状況の変化や、休講・補講等がある場合があります。
お申込の際は、リンク先の主催校のホームページをご確認下さい。

名前	荻野 富士夫
肩書き	小樽商科大学名誉教授
プロフィール	1953年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、同大学院文学研究科後期課程修了。早稲田大学文学部助手を経て、1987年より2018年まで小樽商科大学商学部に勤務。専門分野は日本近現代史。著書に『思想検事』『特高警察』(ともに岩波新書)、『よみがえる戦時体制』(集英社新書)などがある。