大学公開講座のセカンドアカデミー

【目標】
・江戸時代とは実際はどういう社会だったのか、広い視野で理解すること
・日本の政治や社会の営みが国際的環境の影響をどのように受けたのかを知ること

【講義概要】
江戸時代(日本近世)については、エコロジー社会、リサイクル社会、隣同士が仲良く暮らす社会、先祖から子孫へ家族を維持していく社会など、好感のイメージで語られることが多くなりました。それでも、きびしい支配や身分格差の社会として描かれることも少なくありません。本講座では、通史のかたちで、時期ごとに、また問題を分けて、広い視野でこの時代を理解できるようにお話しします。江戸時代の幕開けは、幕府成立からよりも織豊時代から見るのがよいと思います。そこから「幕藩体制」と呼ばれる江戸時代に移っていきますが、時代を通観すると、大小の画期と変化が見えてきます。春学期では、江戸全時代を見とおして、政治の変化を追ったり、社会の仕組みを観察したりしながら、近世前半(18世紀前半)の八代将軍吉宗の頃まで話を進めていきます。国・村・家をめぐる、当時の人々の行動や考え方に近づくために、毎回、いくつかの「史料」を紹介します。日本史の講義ですが、日本の政治や社会の営みが、どういう国際的環境の影響を受けながら進んだのかということも見落とさないように、東アジアやヨーロッパとの関係にも触れていきます。

【各回の講義予定】
第1回 2019/ 4/10(水) 乱世最終の織豊期から「惣無事」の江戸時代へ
第2回 2019/ 4/17(水) 徳川家康の将軍就任と直後に発した「安民」宣言の意味
第3回 2019/ 4/24(水) 朝廷・寺社・幕府の三権門から朝幕二権門の時代へ
第4回 2019/ 5/ 8(水) 天神仏に依る多神教的な救済・誓約とキリスト教絶対排除
第5回 2019/ 5/15(水) 東アジア・ヨーロッパとの通信・通商関係
第6回 2019/ 5/22(水) 民間社会（村町・三都）の成長の諸相と課題の発生
第7回 2019/ 5/29(水) 家綱・綱吉政権期に伸張した文治支配
第8回 2019/ 6/ 5(水) 江戸時代の政治文化と学問・思想の興隆
第9回 2019/ 6/12(水) 生産・流通の技術と身分や男女の分業
第10回 2019/ 6/19(水) 将軍主導の広範な享保期政治改革、江戸町奉行主導の都市政策

【ご受講に際して】
◆本講座は2018年度の同名講座とほぼ同じ内容です。

【テキスト・参考図書】
参考図書
『江戸時代（第12刷）』（岩波書店）（ISBN:978-4005003365）

※定員の充足状況の変化や、休講・補講等がある場合があります。
お申込の際は、リンク先の主催校のホームページをご確認下さい。

名前	深谷 克己
肩書き	早稲田大学名誉教授
プロフィール	早稲田大学文学部助手から教授まで歴任。専門は日本近世史。著書に『士農工商の世』(小学館)、『江戸時代』(岩波書店)、『江戸時代の身分願望』(吉川弘文館)、『田沼意次』(山川出版社)、『東アジア法文明圏の中の日本史』(岩波書店)、『民間社会の天と神仏』(敬文舎)。