大学公開講座のセカンドアカデミー

【目標】
大隈重信という人物の生涯を通して、明治から大正にいたる日本の政治・文化史について考えるとともに、現代にもつながる、政治権力と民意との関係のあり方、ならびにその結節点に位置する政党のあり方について考え理解します。

【講義概要】
民主党政権の誕生とその失敗の過程で、政党政治に対する不信感が募りつつありますが、日本で最も早く政党内閣制の必要性を論じ、実際に日本で最初の政党内閣を組織した政治家である大隈重信の生涯は、政党政治の問題点を原初的に示しています。本講座では、大隈に関する「偉人」「民衆政治家」といった先入観の入った評価をまず取り払ったうえで、大隈の生涯を客観的に見つめながら、挫折に挫折を重ね、その挫折のたびごとに自己変革を遂げていった「変化する政治家」としての大隈の姿を捉えていきます。議会政治における政党の役割とは何なのか、また統治権力は民意とどのような関係を取り結ぶべきなのか、選挙による競争制度がポピュリズムの弊害を避けるためにはどうすればいいのか、といったような、大隈の苦闘にはらまれる、現代にも通じる問題に触れながら、近代史上の大隈の位置と、政党政治の諸問題、官僚と政党との関係のあり方などの問題点についても考えていきたいと思います。

【各回の講義予定】
第1回 2014/ 4/12(土) 近代西洋との遭遇―佐賀・長崎時代の大隈八太郎
第2回 2014/ 4/19(土) 近代国家日本の設計―明治新政府での活動
第3回 2014/ 4/26(土) 「立憲の政は政党の政なり」―明治十四年の政変
第4回 2014/ 5/10(土) 政党結成と条約改正交渉―政党結成～外相時代の大隈重信
第5回 2014/ 5/17(土) 理念と権力のはざまで―初期議会期の政党指導
第6回 2014/ 5/24(土) 政党いかにあるべきか―第一次内閣以後の政党指導
第7回 2014/ 5/31(土) 日本の世界的使命―東西文明調和論と人生百二十五歳説
第8回 2014/ 6/ 7(土) 世界大戦の風雲のなかで―第二次大隈内閣の施政
第9回 2014/ 6/14(土) 晩年の大隈重信とその人間像
第10回 2014/ 6/21(土) 大隈の生涯と政党政治の諸問題

名前	真辺 将之
肩書き	早稲田大学准教授
プロフィール	－