大学公開講座のセカンドアカデミー

【目標】
・欧米における人種主義（レイシズム）の歴史を理解する。
・人種による優劣の概念が、社会的に構築されてきた歴史を振り返る。

【講義概要】
特定の集団を本質的に劣るものとみなし、これを根拠に差別や排除を正当化する思想を「人種主義(レイシズム)」という。西洋の歴史において、皮膚の色や外見の異なる人、異なる宗教を信じる集団は「他人種」として差別の対象になってきた。人種主義は奴隷制、植民地支配、20世紀にはホロコーストなど、数々の抑圧と悲劇を生み、その害悪は明白であるが、現在もなくなってはおらず、医療や司法の場で姿を変えて現出している。
この授業では、主にアメリカを中心に歴史における人種主義を、映画のエピソードから学ぶ。扱う映画のDVDは授業内で貸し出すこともできるので、レイシズムを扱う映画を積極的に鑑賞し、主体的に授業に参加してください。

【各回の講義予定】
第1回 2019/ 1/23(水) (導入)人種の「発見」:人種主義の起源をさぐる
第2回 2019/ 1/30(水) 奴隷制とアメリカ社会(『国民の創生』1915、『それでも夜は明ける』2013など)
第3回 2019/ 2/ 6(水) 植民地主義(コロニアリズム)と「他者」:『インドへの道』1984、『裸足の1500マイル』2002)
第4回 2019/ 2/13(水) 人種とセクシャリティー:人種が「混ざる」こと(『マンディンゴ』1975、『招かれざる客』1967、『ラビング 愛という名前の二人』2017)
第5回 2019/ 2/20(水) 黒人とユダヤ人:マイノリティの「共闘」は可能か(『紳士協定』1947、『質屋』1964、『ドライビング・ミス・デイジー』1989)
第6回 2019/ 2/27(水) 公民権後の人種問題:医療、司法、貧困、見えない人種主義(『プレシャス』2009、『デトロイト』2017)

【ご受講に際して】
◆授業で扱う映画を事前に鑑賞しておくと、講義内容がより深く理解できます。

【テキスト・参考図書】
参考図書
『人種の表象と社会的リアリティ』（岩波書店）（ISBN:978-4000234641）
『人種主義の歴史』（みすず書房）（ISBN:978-4622075073）
『黒人差別とアメリカ公民権運動―名もなき人々の戦いの記録』（集英社）（ISBN:978-4087203929）

※定員の充足状況の変化や、休講・補講等がある場合があります。
お申込の際は、リンク先の主催校のホームページをご確認下さい。

名前	武井 彩佳
肩書き	学習院女子大学教授
プロフィール	博士(文学、早稲田大学)。専門はドイツ現代史、エスニシティ研究、ホロコースト研究。著書に『戦後ドイツのユダヤ人』(白水社)、『ユダヤ人財産はだれのものか：ホロコーストからパレスチナ問題へ』(白水社)、『〈和解〉のリアルポリティクス―ドイツ人とユダヤ人』(みすず書房)など。