大学公開講座のセカンドアカデミー

【目標】
歌人西行を揶揄(やゆ)した内容の西行伝承を話題にする。西行話の特徴を明らかにしながら、話の形成とその背景を探る。そして、そこから浮かび上がる庶民の伝承の特質を、民俗や話の世界から解説する。

【講義概要】
西行は、花や月をこよなく愛した平安末期の大歌人。『新古今和歌集』には最多の94首が入選しており、日本人に人気の高い歌人である。裕福な家に育ち、名誉ある「北面の武士」であり、後鳥羽上皇にその才能をこよなく愛された、文武両道のエリートだった。そして彼は23歳の若さで出家する。そんな西行が、庶民の伝承世界では、あがめられる反面、女性や子どもにいとも簡単にやり込められたり、ずいぶんヘマをして笑われたりする話も多い。たわいもないことではあるが、ここには有名人に対する庶民のやっかみのような心情が流れている。現代の週刊誌のゴシップと変わらない内容といえるが、しかしどうしてこのような話が生まれ、また各地に伝承されてきたのか、伝承のメカニズムを考えながら、西行の伝承の姿にせまる。

【各回の講義予定】
第1回 2015/ 1/ 7(水) 西行伝承とは何か
第2回 2015/ 1/14(水) 西行伝承の歴史的形成
第3回 2015/ 1/21(水) 慈光寺と西行
第4回 2015/ 1/28(水) 西行の昔話

名前	花部 英雄
肩書き	國學院大學教授
プロフィール	1950年青森県生まれ。1975年國學院大學文学部卒業。博士(文学・國學院大學)。専門分野は、口承文芸、民俗学。主な著書として、『まじないの文化誌』 『雪国の女語り 佐藤ミヨキの昔話世界』 (三弥井書店)などがある。