大学公開講座のセカンドアカデミー

【目標】
仏教は二千数百年にわたって人間の「こころ」を探求し、そこに苦しみの原因や、安らぎに至る道があることを解き明かしてきました。なかでも「唯識(ゆいしき)」という仏教は、人間の認識がいかに過去の経験や自我の影響を受けているかということを、心の深層まで掘り下げて追究しています。この講座では、唯識思想の概要をわかりやすく解説します。

【講義概要】
今回は4～5世紀頃にインドで唯識思想を大成した瑜伽行派(ゆがぎょうは)と、その主要な学説を取り上げます。弥勒の『瑜伽師地論(ゆがしじろん)』、無著(むちゃく)の『摂大乗論(しょうだいじょうろん)』、世親(せしん)の『唯識三十頌(ゆいしきさんじゅうじゅ)』など、瑜伽行派を代表する著作の一部を読みながら、アーラヤ識説や三性(さんしょう)説がどのように発展したのかについて考察を加える予定です。

【各回の講義予定】
第1回 2016/ 7/13(水) 唯識とは何か ― 瑜伽行派の成立 ―
第2回 2016/ 7/20(水) こころの構造 ― アーラヤ識縁起 ―
第3回 2016/ 7/27(水) こころの変化 ― 三性・三無性 ―
第4回 2016/ 8/ 3(水) こころの転換 ― 迷いから悟りへ ―

名前	吉村 誠
肩書き	駒澤大学教授
プロフィール	1969年東京都生まれ。早稲田大学大学院卒。専門は中国仏教、唯識学。著書:『中国唯識思想史研究―玄奘と唯識学派―』(大蔵出版、2013年)。訳書:『続高僧伝I』(大蔵出版、2012年)。主な論文:「唯識の思想史的意義」(『新アジア仏教史7 中国II 隋唐』、佼成出版社、2010年)、「中国唯識思想史の展開」(『シリーズ大乗仏教7 唯識と瑜伽行』、春秋社、2012年)、「玄奘と『般若心経』」(『仏教史学研究』56-2、2014年)など。