大学公開講座のセカンドアカデミー

【目標】
歴史物語に描かれた事件や実在の人々のエピソードを知るとともに、『蜻蛉日記』『紫式部日記』などの女流日記や『枕草子』、さらには『源氏物語』といった、文学作品の背景としての時代環境についても理解を深めたいと思います。

【講義概要】
平安時代前期から中期にかけての時代は，藤原氏が次第に摂関政治の体制を確立し、華やかな宮廷文化が花開いた時代ですが、その時代を創り上げ彩った人々や、世の中を騒がせた事件を描いているのが、『大鏡』や『栄花物語』などの歴史物語です。藤原氏が政権を掌握していく中での様々な事件(菅原道真の左遷など)、藤原氏内部での政権争い(兼家と兄兼通、伊周と叔父道長)、道長一族の繁栄の陰で排斥されていった人々のエピソードなどを、歴史物語の本文を読みながら、なるべく広くお話したいと思います。

【各回の講義予定】
第1回 2016/ 4/12(火) ○『大鏡』作品の概要。文学史的背景の説明。
○冒頭部分(語り手の翁の設定)
第2回 2016/ 4/19(火) ○藤原時平と菅原の道真(太宰府への左遷)
第3回 2016/ 4/26(火) ○(第2回の続き)
○宇多天皇の時代の和歌文化(『大和物語』など)
第4回 2016/ 5/10(火) ○村上天皇と后妃たち
宣耀殿の女御と『古今集』
中宮安子の嫉妬 他
第5回 2016/ 5/17(火) ○(第4回の続き)
『枕草子』に描かれた村上朝
『栄花物語』の記事
第6回 2016/ 5/24(火) ○藤原師輔と夢
○歌人紀貫之のエピソード
○藤原兼通・兼家兄弟の争い・矢を射かけられる夢
第7回 2016/ 5/31(火) ○兼家の正室時姫の占い
○道綱の母と兼家(『蜻蛉日記』)
第8回 2016/ 6/ 7(火) ○花山天皇の出家と義懐
○「色好み」の一条摂政と和歌
第9回 2016/ 6/14(火) ○一条摂政(藤原伊尹)の子孫たち
藤原行成・蔵人頭をめぐる争いと悪霊
○兼家女 冷泉院女御超子の不審死と庚申待ち(『栄花物語』)
第10回 2016/ 6/21(火) ○閑院の大将朝光と枇杷大納言の北の方の再婚
○時平一族の短命
○まとめ
第11回 2016/10/ 4(火) ○藤原兼家の子息たち(道隆・道兼・道長)
○道兼の人柄・子息福足君
○花山院の御代の肝試し
第12回 2016/10/11(火) ○(第11回の続き)
○道隆の子女たち(伊周・定子など)
○一条天皇中宮定子と道隆一族の栄華(『枕草子』の記事など)
第13回 2016/10/18(火) ○定子一族(伊周・隆家)と道長の対立―花山院奉射事件と長徳二年の政変
○女院詮子と一条天皇(母后専朝)
第14回 2016/10/25(火) ○(第13回の続き)
第15回 2016/11/ 1(火) ○伊周と道長をめぐるエピソード飯室僧正の観相・南院の競射女院の石山詣で 他
第16回 2016/11/ 8(火) ○(第15回の続き)
第17回 2016/11/15(火) ○政変後の伊周・隆家
伊周の死と遺言―『栄花物語』の記事
敦康親王(中宮定子所生)のその後
隆家の大和心
○藤原公任と寛弘の四納言
三船の誉れ など
『紫式部日記』の記事
第18回 2016/11/22(火) ○東宮敦明親王の退位と道長の圧力
○親王の母堀河女御の悲嘆
第19回 2016/11/29(火) ○源頼定と承香殿女御の恋愛
○陰陽師安倍晴明と道長
○小野宮右大臣藤原実資と「かぐや姫」 など
第20回 2016/12/ 6(火) ○道長息 顕信の出家
○藤原済時二女と敦道親王・和泉式部
○まとめ

【ご受講に際して】
◆2012年度春秋の同名講座と、ほぼ重なる内容です。

名前	田畑 千恵子
肩書き	エクステンションセンター講師
プロフィール	早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得。専門分野は平安時代の散文(特に『枕草子』・日記文学)。早稲田大学文学部ほか複数の大学で、講師として学部生の指導を担当。主な論文は、「枕草子『かへる年の二月二十余日』の段の位相」(『日本文学研究資料新集 四』有精堂)・「枕草子日記的章段の方法」(『中古文学』36号)など。