大学公開講座のセカンドアカデミー

【目標】
1392年から1910年まで続いた東洋で最も長い歴史を誇る朝鮮王朝(李朝)の栄枯盛衰を年代を追いながら概観します。

【講義概要】
今学期は、成宗から仁祖までの歴史を学びます。李朝が安定期に入った成宗の時代、李朝文化の黄金期がやってきました。法典が整備され、さまざまな書籍が発行されました。
成宗の次の王は暴君燕山君でしたが、中宗はクーデターでその燕山君を倒しました。中宗の時代は王の支持勢力が、それまでの勲旧派から士林派に替わる時期です。士林派は、意外にも高麗最後の忠臣として李芳遠(太宗)に殺害された鄭夢準の流れを汲む人たちでした。
しかし、士林派は宣祖の時代に分裂し、党派の対立が始まります。一方で、豊臣秀吉の下で日本軍が朝鮮に攻め入る壬辰倭乱・丁酉再乱(文禄慶長の役)が起こり、朝鮮は大混乱に陥ります。この中で、李舜臣ら多くの英雄が登場しました。戦後、宣祖を継いで王になった光海君は、対日政策、女真政策にバランス感覚を持って対応をしようとしました。しかし、光海君をクーデターで倒した仁祖は、明国を重視するあまり、ついに清国(女真)に対抗しきれずに、清国に下ってしまいました。
光海君の前後は社会の激動期にもあたりますが、かえって文化が花開いた時代で、許浚は「東医宝鑑」を書いています。この時代を前後して、朝鮮社会も対日関係も大きく変わります。
このような点に注目しながら、歴史の動きを具体的に触れていきたいと思います。

【主な講義内容】
成宗:王朝の安定と文化の黄金期 / 中宗:士林派と勲旧派の争い /
宣祖:壬辰倭乱・丁酉再乱(文禄慶長の役)の英雄、李舜臣たち /
光海君、仁祖:日本と女真対策 / 光海君:花開く文化 許筠、許浚 /
壬辰倭乱と朝鮮社会の変化 / 変化する朝鮮と日本(釜山倭館を中心として)

【各回の講義予定】
第1回 2016/ 1/ 9(土) 成宗:王朝の安定と文化の黄金期
第2回 2016/ 1/23(土) 中宗:士林派と勲旧派の争い
第3回 2016/ 1/30(土) 宣祖:壬辰倭乱・丁酉再乱(文禄慶長の役)の英雄、李舜臣たち
第4回 2016/ 2/ 6(土) 光海君、仁祖:日本と女真対策
第5回 2016/ 2/13(土) 光海君:花開く文化 許筠、許浚
第6回 2016/ 2/20(土) 壬申倭乱と朝鮮社会の変化
第7回 2016/ 2/27(土) 変化する朝鮮と日本(釜山倭館を中心として)

【テキスト・参考図書】
参考図書
『新版 世界各国史（2）朝鮮史』（山川出版社）（3，500円）（ISBN:978-4634413207）
『朝鮮王朝実録【改訂版】』（キネマ旬報社）（3，200円）（ISBN:978-4873763910）
『ビジュアル版 朝鮮王朝の歴史』（キネマ旬報社）（1，800円）（ISBN:978-4873764337）
『ソウルの王宮めぐり』（桐書房）（2，200円）（ISBN:978-4876475025）
『ドラマの舞台に行きたい! 朝鮮王宮完全ガイド』（角川ソフィア文庫）（667円）（ISBN:978-4044064259）

名前	武井 一
肩書き	都立日比谷高等学校講師
プロフィール	1963年東京生まれ。成蹊大学法学政治学研究科博士前期課程修了(法学修士)。高等学校では地歴・公民と韓国語を担当。韓国の歴史、文化に関心をもち、研究を行う。著書に『ソウルの王宮めぐり』(桐書房)、『朝鮮王宮完全ガイド』(角川ソフィア文庫)、『皇室特派留学生』(白帝社)などがある。