講座詳細情報
申し込み締切日:2019-10-09 / 経済 / 学内講座コード:330714
人類の金融:公共空間の信用、私的空間の信用、そして仮想空間の信用
- 開催日
- 10月11日(金)~12月 6日(金)
- 講座回数
- 5回
- 時間
- 15:00~16:30
- 講座区分
- 後期
- 入学金
- 8,000円
- 受講料
- 14,850円
- 定員
- 24
- その他
- ビジター価格 17,077円
- 補足
※この講座の申し込みは既に締め切りました。
関連講座
講座詳細
【目標】
・「信用」という言葉をキーワードに人類の金融史を見つめ直す。
・将来の金融のあり方を見据える視座を得る。
【講義概要】
中世の欧州では、カネを貸す人と借りる人は人々の前で口頭で約束し、公証人がつけた帳簿は誰もが閲覧できました。ホラ貝が鳴り響くなか、多くの人々の前で口上を述べながら偉そうに借金を申し込み、債務証書に相当する割符を金貸しに投げつけた古代の金融の風景に近かったのです。
しかし、中世から近代への過程で、金融契約は、公共空間から私的空間へ、口頭から文書へと移行します。近代には、銀行が仲介し、知らない者どうしの間で膨大な規模の貸し借りが起きてきました。巨大な借り手は、戦争を仕掛ける国家であり、大事業を展開する企業家でした。貸借の規模が拡大し、信用が暴走すると、債務は焦げ付き、株価は暴落し、企業や個人が破綻する金融危機で経済社会はもみくちゃにされました。近代以降、信用の暴走を食い止める仕組みは人類の悲願でしたが、金貨、英国ポンド、あるいは、米国ドルが暴走を食い止める錨の役割を期待されましたが、結局、うまくいきませんでした。
現在、ビットコインに代表される暗号通貨は、信用を打ち立てるはずの銀行を抜きにして、見知らぬ者どうしが取引をする仕組みに挑戦しているという意味で人類の大実験といえます。金融がまさに私的空間の最果てに迷い込もうとしており、私的空間に深く潜伏してしまった信用を、再び公共空間に引きずり出してくることが私たちの将来の課題かもしれません。
本講義では、リーマンショックやら、ビットコインやら、フィンテックやら、現代社会を騒がしているさまざまな金融現象を見つめ直します。そして、金融の未来を見据える視座を手に入れようという欲張りな趣向です。
【各回の講義予定】
第1回 2019/10/11(金) 公共空間の信用:先史と古代の金融
第2回 2019/10/25(金) 公共空間から私的空間に引っ越しをする信用:欧州における中世から近代にかけての預金契約
第3回 2019/11/ 8(金) 私的空間に深く潜伏する信用:銀行による信用の創造とその崩壊
第4回 2019/11/22(金) 公的な干渉を拒む私的空間の信用:金本位、ポンド本位、そして、ドル本位
第5回 2019/12/ 6(金) 仮想空間に迷い込む信用、公共空間に引きずり出される信用:暗号通貨の現在と未来
・「信用」という言葉をキーワードに人類の金融史を見つめ直す。
・将来の金融のあり方を見据える視座を得る。
【講義概要】
中世の欧州では、カネを貸す人と借りる人は人々の前で口頭で約束し、公証人がつけた帳簿は誰もが閲覧できました。ホラ貝が鳴り響くなか、多くの人々の前で口上を述べながら偉そうに借金を申し込み、債務証書に相当する割符を金貸しに投げつけた古代の金融の風景に近かったのです。
しかし、中世から近代への過程で、金融契約は、公共空間から私的空間へ、口頭から文書へと移行します。近代には、銀行が仲介し、知らない者どうしの間で膨大な規模の貸し借りが起きてきました。巨大な借り手は、戦争を仕掛ける国家であり、大事業を展開する企業家でした。貸借の規模が拡大し、信用が暴走すると、債務は焦げ付き、株価は暴落し、企業や個人が破綻する金融危機で経済社会はもみくちゃにされました。近代以降、信用の暴走を食い止める仕組みは人類の悲願でしたが、金貨、英国ポンド、あるいは、米国ドルが暴走を食い止める錨の役割を期待されましたが、結局、うまくいきませんでした。
現在、ビットコインに代表される暗号通貨は、信用を打ち立てるはずの銀行を抜きにして、見知らぬ者どうしが取引をする仕組みに挑戦しているという意味で人類の大実験といえます。金融がまさに私的空間の最果てに迷い込もうとしており、私的空間に深く潜伏してしまった信用を、再び公共空間に引きずり出してくることが私たちの将来の課題かもしれません。
本講義では、リーマンショックやら、ビットコインやら、フィンテックやら、現代社会を騒がしているさまざまな金融現象を見つめ直します。そして、金融の未来を見据える視座を手に入れようという欲張りな趣向です。
【各回の講義予定】
第1回 2019/10/11(金) 公共空間の信用:先史と古代の金融
第2回 2019/10/25(金) 公共空間から私的空間に引っ越しをする信用:欧州における中世から近代にかけての預金契約
第3回 2019/11/ 8(金) 私的空間に深く潜伏する信用:銀行による信用の創造とその崩壊
第4回 2019/11/22(金) 公的な干渉を拒む私的空間の信用:金本位、ポンド本位、そして、ドル本位
第5回 2019/12/ 6(金) 仮想空間に迷い込む信用、公共空間に引きずり出される信用:暗号通貨の現在と未来
備考
【ご受講に際して】
◆講義と講義の間に二週間のインターバルがありますので、予習や復習に有用な資料や論文を配付しようと思っています。もちろん、予備知識を前提としないものを選んでいきますが、できるだけ興味を持って読んでもらえるような素材を準備します。「聴く」だけでなく、「読む」という要素をできるだけ取り入れていきたいと思っています。
※定員の充足状況の変化や、休講・補講等がある場合があります。
お申込の際は、リンク先の主催校のホームページをご確認下さい。
◆講義と講義の間に二週間のインターバルがありますので、予習や復習に有用な資料や論文を配付しようと思っています。もちろん、予備知識を前提としないものを選んでいきますが、できるだけ興味を持って読んでもらえるような素材を準備します。「聴く」だけでなく、「読む」という要素をできるだけ取り入れていきたいと思っています。
※定員の充足状況の変化や、休講・補講等がある場合があります。
お申込の際は、リンク先の主催校のホームページをご確認下さい。
講師陣
名前 | 齊藤 誠 |
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肩書き | 名古屋大学教授 |
プロフィール | 名古屋市生まれ。Ph.D.(MIT)。専門分野はマクロ経済学。著作に『危機の領域』(2018年)、『震災復興の政治経済学』(15年)、『原発危機の経済学』(11年、石橋湛山賞)、『資産価格とマクロ経済』(07年、エコノミスト賞)、『金融技術の考え方・使い方』(00年、日経経済図書文化賞)など。 |