講座詳細情報
申し込み締切日:2012-09-27 / 日本史:その他教養 / 学内講座コード:830119
歴史学と大河ドラマ・時代考証―大河ドラマの読み解き方―
- 開催日
- 09/28~12/14(金)
- 講座回数
- 10
- 時間
- 15:00~16:30
- 講座区分
- 後期
- 入学金
- 8,000円
- 受講料
- 23,000円
- 定員
- -
- 補足
※この講座の申し込みは既に締め切りました。
関連講座
講座詳細
大河ドラマをはじめとする歴史作品は、視聴者の歴史像や人物像に大きな影響を与えます。
そして、その制作には、歴史学をはじめ建築学や美術など、さまざまな学問の知見が関わることによって成立しており、この作業を「時代考証」といいます。歴史作品は人々の歴史意識に大きく働きかけるため、優れた時代劇には時代考証が欠かせません。
この講座では、大河ドラマの背景となった時代背景や人物に歴史学の成果から迫ると共に、歴史作品における歴史学や時代考証の果たす役割、実際の作業や関わり方を検討し、歴史作品の読み解き方、楽しみ方を考えたいと思います。
現在放映中の大河ドラマ「清盛」(2012年)や、講師陣がこれまで時代考証に関わった「新選組!」(2004年)、「篤姫」(2008年)、「龍馬伝」(2010年)を素材に、各作品のもとになる時代背景や歴史学研究の最新の成果、時代考証によって再現していく過程、歴史作品と時代考証とのせめぎ合い、歴史作品が歴史学や社会に与える影響についてお話しします。
【1】9/28 時代劇と時代考証―『篤姫』を事例に―
大石 学 東京学芸大学教授
最近の江戸時代研究の成果をもとに、江戸時代のイメージが封建制から初期近代へと変化しつつあることをお話します。そして、この変化と連動して、時代劇もチャンバラから時代考証を重視した現代劇へと変化していることをお話しします。また、NHK大河ドラマ「篤姫」を例に、そのテーマと時代考証の実例についてお話します。「役割」「家族」というテーマと、江戸時代研究との関連について解説します。
【2】10/5 安政期の政局と大河ドラマ「篤姫」
野本禎司 杉並区教育委員嘱託員(文化財担当)、京都造形芸術大学講師
安政期の政局は、13代将軍家定の将軍継嗣をめぐる一橋派と紀州派の対立として知られていますが、その様相はもう少し複雑です。大河ドラマ「篤姫」で描いた安政期は、歴史学における通説とどのような位置関係にあるのか、教科書・学習漫画・NHK BS時代劇「陽だまりの樹」との比較も入れながら、「篤姫」の場面を用いて時代考証のあり方を説明します。
【3】10/12 江戸城大奥の実像
野本禎司 杉並区教育委員嘱託員(文化財担当)、京都造形芸術大学講師
「女の園」といわれ閉鎖的なイメージの江戸城大奥。しかし、広敷役人をはじめとする多くの男性と関わり、また江戸周辺地域の寺社との関係がありました。大河ドラマ「篤姫」では描ききれなかった江戸城大奥の実態についてお話します。
【4】10/19 大河ドラマのなかの新選組と幕末
三野行徳 小平市史編さん調査専門委員・東洋英和女学院大学講師
「新選組」といって、まず最初に思い浮かぶイメージはどのようなものでしょうか?「人斬り集団」「テロリスト」などのネガティブなイメージから、「義に殉じた男達」「最後の武士」など、敗者の美学に歴史ロマンを読み取るものまで、さまざまあると思います。こういった新選組イメージを産んだのは、子母澤寛や司馬遼太郎の小説や映像作品と、それに影響を強く受けた、民間の研究者達による研究です。そして、大河ドラマ「新選組!」も、概ねこのイメージを踏襲しながら作成されました。しかし、こうした新選組像や幕末像は、明治維新後以来、現在に至るまで、「創られ」てきた歴史像です。ここでは、大河ドラマ「新選組!」に至るまでの新選組研究の歴史、新選組像の変遷をたどります。
【5】10/26 歴史の中の新選組
三野行徳 小平市史編さん調査専門委員・東洋英和女学院大学講師
大河ドラマと相前後して急激に進んだ新選組やその周辺をめぐる歴史学の研究からは、これまでの新選組イメージとは異なった、政治集団としての新選組、政治家としての近藤勇像が明らかになっています。ここでは、多摩地域に残されたさまざまな地方文書・地域史料から、近藤勇や新選組の実像、歴史的な位置について検討します。そして、大河ドラマで描けたことと描けなかったことなどについて、お話したいと思います。
【6】11/9 描かれた龍馬の教養
工藤航平 国文学研究資料館機関研究員
豪傑な人物として描かれる坂本龍馬。様々な史料から龍馬の教養について断片的に明らかにされてきている一方、十分な一次史料が無いという実情があります。大河ドラマ「龍馬伝」のなかで描かれた文化・教養という側面について、時代考証としての取り組みを踏まえてお話します。
【7】11/16 時代劇のなかのペリー来航
工藤航平 国文学研究資料館機関研究員
幕末維新期をテーマとした歴史作品に、必ず描かれるペリー来航と幕府の対応という場面。近年、幕府の情報収集など、様々な視点から新しい研究成果が出されています。ペリー来航と幕府の対応を題材に、歴史作品を主体的・多角的に読み解くための事例をお話します。
【8】11/30 大河ドラマ「平清盛」と中世武士論
高橋一樹 武蔵大学教授
武士の描き方が変わったとして注目されている本年の大河ドラマですが、中世の新しい武士イメージはすでに20年以上前から提起され、多くの研究が積み重ねられてきました。それは武士だけでなく、貴族たちの世界や地方社会の捉え方の変化とも深くかかわっています。ドラマ「平清盛」を身近な素材として、近年の中世武士論について紹介します。
【9】12/7 “源平合戦”と内乱のあいだ
高橋一樹 武蔵大学教授
12世紀末期の内乱は、古代から中世への転換を象徴する武士たちの戦い、源氏と平氏の覇権争い、としてイメージされがちです。しかし、この内乱は列島社会の全体を巻き込んだ未曾有の内戦でした。清盛率いる平氏政権の評価も変貌しつつあり、それは大河ドラマ「平清盛」初回の冒頭で源頼朝が発したセリフに象徴的です。歴史的に根の深い“源平合戦”像の流れもたどりながら、それにとどまらない内乱の深層について解説します。
【10】12/14 大河ドラマの見方・楽しみ方―『龍馬伝』を事例に―
大石 学 東京学芸大学教授
NHK大河ドラマ「龍馬伝」を例に、そのテーマと時代考証の実例についてお話します。龍馬の成長の魅力、大河ドラマのテーマ「非暴力」についてとりあげます。幕末維新とは何か、「官僚革命」の視点から考えます。
そして、その制作には、歴史学をはじめ建築学や美術など、さまざまな学問の知見が関わることによって成立しており、この作業を「時代考証」といいます。歴史作品は人々の歴史意識に大きく働きかけるため、優れた時代劇には時代考証が欠かせません。
この講座では、大河ドラマの背景となった時代背景や人物に歴史学の成果から迫ると共に、歴史作品における歴史学や時代考証の果たす役割、実際の作業や関わり方を検討し、歴史作品の読み解き方、楽しみ方を考えたいと思います。
現在放映中の大河ドラマ「清盛」(2012年)や、講師陣がこれまで時代考証に関わった「新選組!」(2004年)、「篤姫」(2008年)、「龍馬伝」(2010年)を素材に、各作品のもとになる時代背景や歴史学研究の最新の成果、時代考証によって再現していく過程、歴史作品と時代考証とのせめぎ合い、歴史作品が歴史学や社会に与える影響についてお話しします。
【1】9/28 時代劇と時代考証―『篤姫』を事例に―
大石 学 東京学芸大学教授
最近の江戸時代研究の成果をもとに、江戸時代のイメージが封建制から初期近代へと変化しつつあることをお話します。そして、この変化と連動して、時代劇もチャンバラから時代考証を重視した現代劇へと変化していることをお話しします。また、NHK大河ドラマ「篤姫」を例に、そのテーマと時代考証の実例についてお話します。「役割」「家族」というテーマと、江戸時代研究との関連について解説します。
【2】10/5 安政期の政局と大河ドラマ「篤姫」
野本禎司 杉並区教育委員嘱託員(文化財担当)、京都造形芸術大学講師
安政期の政局は、13代将軍家定の将軍継嗣をめぐる一橋派と紀州派の対立として知られていますが、その様相はもう少し複雑です。大河ドラマ「篤姫」で描いた安政期は、歴史学における通説とどのような位置関係にあるのか、教科書・学習漫画・NHK BS時代劇「陽だまりの樹」との比較も入れながら、「篤姫」の場面を用いて時代考証のあり方を説明します。
【3】10/12 江戸城大奥の実像
野本禎司 杉並区教育委員嘱託員(文化財担当)、京都造形芸術大学講師
「女の園」といわれ閉鎖的なイメージの江戸城大奥。しかし、広敷役人をはじめとする多くの男性と関わり、また江戸周辺地域の寺社との関係がありました。大河ドラマ「篤姫」では描ききれなかった江戸城大奥の実態についてお話します。
【4】10/19 大河ドラマのなかの新選組と幕末
三野行徳 小平市史編さん調査専門委員・東洋英和女学院大学講師
「新選組」といって、まず最初に思い浮かぶイメージはどのようなものでしょうか?「人斬り集団」「テロリスト」などのネガティブなイメージから、「義に殉じた男達」「最後の武士」など、敗者の美学に歴史ロマンを読み取るものまで、さまざまあると思います。こういった新選組イメージを産んだのは、子母澤寛や司馬遼太郎の小説や映像作品と、それに影響を強く受けた、民間の研究者達による研究です。そして、大河ドラマ「新選組!」も、概ねこのイメージを踏襲しながら作成されました。しかし、こうした新選組像や幕末像は、明治維新後以来、現在に至るまで、「創られ」てきた歴史像です。ここでは、大河ドラマ「新選組!」に至るまでの新選組研究の歴史、新選組像の変遷をたどります。
【5】10/26 歴史の中の新選組
三野行徳 小平市史編さん調査専門委員・東洋英和女学院大学講師
大河ドラマと相前後して急激に進んだ新選組やその周辺をめぐる歴史学の研究からは、これまでの新選組イメージとは異なった、政治集団としての新選組、政治家としての近藤勇像が明らかになっています。ここでは、多摩地域に残されたさまざまな地方文書・地域史料から、近藤勇や新選組の実像、歴史的な位置について検討します。そして、大河ドラマで描けたことと描けなかったことなどについて、お話したいと思います。
【6】11/9 描かれた龍馬の教養
工藤航平 国文学研究資料館機関研究員
豪傑な人物として描かれる坂本龍馬。様々な史料から龍馬の教養について断片的に明らかにされてきている一方、十分な一次史料が無いという実情があります。大河ドラマ「龍馬伝」のなかで描かれた文化・教養という側面について、時代考証としての取り組みを踏まえてお話します。
【7】11/16 時代劇のなかのペリー来航
工藤航平 国文学研究資料館機関研究員
幕末維新期をテーマとした歴史作品に、必ず描かれるペリー来航と幕府の対応という場面。近年、幕府の情報収集など、様々な視点から新しい研究成果が出されています。ペリー来航と幕府の対応を題材に、歴史作品を主体的・多角的に読み解くための事例をお話します。
【8】11/30 大河ドラマ「平清盛」と中世武士論
高橋一樹 武蔵大学教授
武士の描き方が変わったとして注目されている本年の大河ドラマですが、中世の新しい武士イメージはすでに20年以上前から提起され、多くの研究が積み重ねられてきました。それは武士だけでなく、貴族たちの世界や地方社会の捉え方の変化とも深くかかわっています。ドラマ「平清盛」を身近な素材として、近年の中世武士論について紹介します。
【9】12/7 “源平合戦”と内乱のあいだ
高橋一樹 武蔵大学教授
12世紀末期の内乱は、古代から中世への転換を象徴する武士たちの戦い、源氏と平氏の覇権争い、としてイメージされがちです。しかし、この内乱は列島社会の全体を巻き込んだ未曾有の内戦でした。清盛率いる平氏政権の評価も変貌しつつあり、それは大河ドラマ「平清盛」初回の冒頭で源頼朝が発したセリフに象徴的です。歴史的に根の深い“源平合戦”像の流れもたどりながら、それにとどまらない内乱の深層について解説します。
【10】12/14 大河ドラマの見方・楽しみ方―『龍馬伝』を事例に―
大石 学 東京学芸大学教授
NHK大河ドラマ「龍馬伝」を例に、そのテーマと時代考証の実例についてお話します。龍馬の成長の魅力、大河ドラマのテーマ「非暴力」についてとりあげます。幕末維新とは何か、「官僚革命」の視点から考えます。
備考
-
講師陣
名前 | 大石 学 他 |
---|---|
肩書き | 東京学芸大学教授 |
プロフィール | - |