講座詳細情報
申し込み締切日:2023-11-15 / 日本史:自然科学・環境 / 学内講座コード:”2331Z004
治水の祖 武田信玄の治水施設群を分析する -洪水氾濫シミュレーションを用いて-
主催:東京都立大学オープンユニバーシティ[東京都立大学 オンライン講座(東京都)]
問合せ先:
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東京都公立大学法人 東京都立大学
東京都立大学オープンユニバーシティ
TEL: 03-3288-1050
FAX: 03-3264-1863
ou-kouza@jmj.tmu.ac.jp
https://www.ou.tmu.ac.jp/web/
〒102-0072 東京都千代田区飯田橋3-5-1東京区政会館3階
- 開催日
- 11月25日(土)
- 講座回数
- 1回
- 時間
- 10:00~11:30
- 講座区分
- 1回もの
- 入学金
- -
- 受講料
- 1,000円
- 定員
- 30
- 補足
※この講座の申し込みは既に締め切りました。
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講座詳細
【講座内容】
「武田の最強騎馬軍団」で有名な武田信玄は、戦いに明け暮れていただけでなく、民の暮らしを守るために数多くの施策も行っていました。
山梨県甲府盆地西部、釜無川(静岡県に入ると富士川と名前が変わります)と御勅使川の合流部付近には、信玄堤と呼ばれる治水施設群があります。山に囲まれた甲府盆地では、雨が降ると山から一気に流れ落ちてきた雨水が甲府盆地に集まってきて、大洪水が起こってしまいます。信玄は、甲府の町を守るための手段の1つとして、この信玄堤を築いたと伝えられています。
一般的に「信玄堤」と呼ばれる堤防は、御勅使川と合流した直後の釜無川の左岸側に築かれた現在の信玄堤公園にある堤防のことですが、これは「狭義の信玄堤」です。「広義の信玄堤」とは、御勅使川の上流から築かれた石積出、白根将棋頭、竜岡将棋頭、堀切、十六石、龍王川除(狭義の信玄堤)、霞堤の一連の治水施設群のことを指します。これらの一連の治水施設群は、単に洪水が起こった際に洪水流が堤防を越えないようにするための治水施設ではなく、御勅使川の流路を根本的に変えることによって、洪水が起こったとしても甲府の町が守れるようにした大規模な治水コントロールシステムです。信玄堤は以下のようなことを行っていたと言われています。
①石積出で御勅使川の流路を北東へ誘導します。
②白根に将棋の駒型の堤防である将棋頭を築き、御勅使川の流れを北流と南流の2つに分け、水の勢いを2つに分けます。
③竜岡にも将棋頭にて、御勅使川の北流をさらに2つに分けます。
④十六石と呼ばれる16個の巨石によって、御勅使川とスムーズに合流させられるように、釜無川の流れを整えます。
⑤竜岡台地に堀切を掘ることによって、御勅使川の北流を北東に向け、南東へ流れようとする釜無川と合流させて、南北の勢いを相殺させ、東の高岩へと流れを向けます。
⑥天然の岸壁である高岩に釜無川をぶつけて、流れを跳ね返らせて、南に転じさせます。
⑦御勅使川南流を合流させ、高岩から跳ね返ってきた釜無川の流れを整えます。
⑧龍王川除や霞堤を築いて、洪水が起こった場合でも、遊水池に逃がせるようにします。
このような大規模な治水コントロールシステムですが、現在、信玄堤の御勅使川沿いの治水施設は、明治時代以降の治水事業によって、その機能は果たしていません。しかし、飛行機も土木機械もなかった戦国時代において、川の流路を変えてまで甲府の町を守ったその技術や考え方は、現在の防災においても役立つことがあるかもしれません。
洪水氾濫シミュレーションは、地形や流量などの設定を変えて、何度も実験をすることができるコンピュータシミュレーションです。近年では、ハザードマップの作成などにも活用されています。本講義では、洪水氾濫シミュレーションの結果を見ながら、信玄堤の各治水施設群の治水能力を確認しつつ、信玄の行った治水事業と現在の防災について考えてみましょう。
【講座スケジュール】
第1回 11-25 10:00~11:30
「武田の最強騎馬軍団」で有名な武田信玄は、戦いに明け暮れていただけでなく、民の暮らしを守るために数多くの施策も行っていました。
山梨県甲府盆地西部、釜無川(静岡県に入ると富士川と名前が変わります)と御勅使川の合流部付近には、信玄堤と呼ばれる治水施設群があります。山に囲まれた甲府盆地では、雨が降ると山から一気に流れ落ちてきた雨水が甲府盆地に集まってきて、大洪水が起こってしまいます。信玄は、甲府の町を守るための手段の1つとして、この信玄堤を築いたと伝えられています。
一般的に「信玄堤」と呼ばれる堤防は、御勅使川と合流した直後の釜無川の左岸側に築かれた現在の信玄堤公園にある堤防のことですが、これは「狭義の信玄堤」です。「広義の信玄堤」とは、御勅使川の上流から築かれた石積出、白根将棋頭、竜岡将棋頭、堀切、十六石、龍王川除(狭義の信玄堤)、霞堤の一連の治水施設群のことを指します。これらの一連の治水施設群は、単に洪水が起こった際に洪水流が堤防を越えないようにするための治水施設ではなく、御勅使川の流路を根本的に変えることによって、洪水が起こったとしても甲府の町が守れるようにした大規模な治水コントロールシステムです。信玄堤は以下のようなことを行っていたと言われています。
①石積出で御勅使川の流路を北東へ誘導します。
②白根に将棋の駒型の堤防である将棋頭を築き、御勅使川の流れを北流と南流の2つに分け、水の勢いを2つに分けます。
③竜岡にも将棋頭にて、御勅使川の北流をさらに2つに分けます。
④十六石と呼ばれる16個の巨石によって、御勅使川とスムーズに合流させられるように、釜無川の流れを整えます。
⑤竜岡台地に堀切を掘ることによって、御勅使川の北流を北東に向け、南東へ流れようとする釜無川と合流させて、南北の勢いを相殺させ、東の高岩へと流れを向けます。
⑥天然の岸壁である高岩に釜無川をぶつけて、流れを跳ね返らせて、南に転じさせます。
⑦御勅使川南流を合流させ、高岩から跳ね返ってきた釜無川の流れを整えます。
⑧龍王川除や霞堤を築いて、洪水が起こった場合でも、遊水池に逃がせるようにします。
このような大規模な治水コントロールシステムですが、現在、信玄堤の御勅使川沿いの治水施設は、明治時代以降の治水事業によって、その機能は果たしていません。しかし、飛行機も土木機械もなかった戦国時代において、川の流路を変えてまで甲府の町を守ったその技術や考え方は、現在の防災においても役立つことがあるかもしれません。
洪水氾濫シミュレーションは、地形や流量などの設定を変えて、何度も実験をすることができるコンピュータシミュレーションです。近年では、ハザードマップの作成などにも活用されています。本講義では、洪水氾濫シミュレーションの結果を見ながら、信玄堤の各治水施設群の治水能力を確認しつつ、信玄の行った治水事業と現在の防災について考えてみましょう。
【講座スケジュール】
第1回 11-25 10:00~11:30
備考
プレミアム講座は東京都立大学教員の専門的かつユニークな研究の内容を紹介する講座です。興味のある方々に受講していただけるよう特別価格で提供しており、入会金も不要(一般の方)です。高校生は無料で受講できます。尚、当講座に関しては事前のキャンセルの場合でも受講料は返却いたしませんのでご了承願います。
※アーカイブ配信(録画:7日間限定)視聴もできます。
※高校生は専用ページからお申し込みください。
単位数:0単位
※定員の充足状況の変化で、締切前でも受付終了・開講中止等になる場合があります。お申込の際は、リンク先の主催校のホームページをご確認下さい。
※アーカイブ配信(録画:7日間限定)視聴もできます。
※高校生は専用ページからお申し込みください。
単位数:0単位
※定員の充足状況の変化で、締切前でも受付終了・開講中止等になる場合があります。お申込の際は、リンク先の主催校のホームページをご確認下さい。
講師陣
名前 | 根元 裕樹 |
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肩書き | 東京都立大学 学術情報基盤センター 特任准教授 |
プロフィール | 修士(地理学)。 首都大学東京大学院都市環境科学研究科博士前期課程修了後、民間企業勤務の後、中央大学教育技術員、首都大学東京特任助教、目白大学短期大学部専任講師を経て、2020年より現職。 専門はGIS(地理情報システム)。GISを用いた歴史テーマの研究や防災、減災に関わる研究、GIS教育に関わる研究を行っている。 |