講座詳細情報
申し込み締切日:2012-09-30 / 日本史:芸術・文化:その他教養 / 学内講座コード:830115
大江戸の娯楽世界―祭・旅・芝居そして歌舞音曲・文人趣味―
- 開催日
- 10/01~12/10(月)
- 講座回数
- 10
- 時間
- 13:00~14:30
- 講座区分
- 後期
- 入学金
- 8,000円
- 受講料
- 23,000円
- 定員
- -
- 補足
※この講座の申し込みは既に締め切りました。
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講座詳細
江戸で暮らす人びとはさまざまな娯楽を楽しんで余暇を過ごしましたが、それらは単なる暇つぶしだけでなく江戸の文化社会を広げ豊かなものとしていきました。
さらに、実生活の面で商売繁盛・立身出世につながる効用をもつこともありました。
こうした江戸の娯楽世界にふれることで、より深く江戸を理解できるようにしたいと思っています。
多様な展開をみせた江戸の人びとの娯楽世界について、その全てにふれることはできないので、本講座では祭・旅・芝居や歌舞音曲・文人趣味にテーマを限定しつつ、それぞれの問題を具体的に、より深く掘り下げることで、江戸の人びとが創り上げた娯楽世界の特質を明らかにしていきます。現代と共通する、あるいは異質な娯楽世界が展開していくことになりますが、そうしたことを含めて江戸の娯楽世界をともに楽しみましょう。
※この講座は2012年度春講座と同一のテーマで実施します。
【1】10/1 大相撲茅場町場所
加藤 貴 早稲田大学講師
大相撲は、現在と違って初めは年1場所、後に年2場所になります。興行場所は深川富岡八幡宮にはじまり、年2場所になると1場所は本所回向院に固定されるようになり、もう1場所が市中の寺社境内で行われるようになりました。そのうちの1つとして、茅場町薬師の境内で文政3年(1820)10月に興行が行われています。この茅場町場所についてや本場所の様子をみていくことにします。
【2】10/15 見世物の世界―大道であきなう芸人たち―
加藤征治 葛飾区教育委員会調査委員
江戸も後期以降になると、両国橋西詰は大小さまざまな見世物小屋が林立し、かなり大きな盛り場でした。また、大道芸人として、願人坊主や住吉踊りなどもたくさんいたようです。庶民にとって、見世物や大道芸は気軽に触れることのできる芸能世界でした。これら見世物の様子を辻ビラなどから見ていきます。
【3】10/22 お座敷芸かっぽれの成立
加藤征治 葛飾区教育委員会調査委員
お座敷芸のひとつに、「かっぽれ」という陽気で華やかな即興舞があります。むかしは、太鼓持にかぎらず、庶民のあいだでも、ちょっとした余芸として、たしなむ人も多かったようです。しかし、座敷芸のかっぽれは本来、大道芸のひとつでした。むしろ大道芸から座敷芸に昇華し、さらに芝居にも取り入れられためずらしいものです。この昇華していくプロセスを見ていきます。
【4】10/29 江戸・娘義太夫の受難
藤田 勉 作曲家・音楽家
江戸時代後期、女性の義太夫語りは寄席の花形でありアイドルでもありましたが、その歴史はたび重なる禁制の対象とされ続けた受難の歴史でもあり、天保改革後は、ついに解停のないまま明治にいたります。町奉行所から出された数々の禁令も詳細に見ながら、江戸の娘義太夫の姿と男性ファンの熱狂の様を浮かび上がらせます。
【5】11/5 江戸の豊後節流行と禁止を考える
藤田 勉 作曲家・音楽家
江戸中期、上方から下った豊後節浄瑠璃は、芸能面だけでなく若者風俗にも大きな影響をあたえ大流行しましたが、市中の風俗紊乱の元凶であるとされて幕府の禁止を受け消滅しました。禁止の真の理由については今なお諸説あり、興味の尽きない問題でもあります。その流行の様子や後の江戸浄瑠璃にあたえた影響、禁止にいたった背景を考えます。
【6】11/12 江戸の木遣り
小野寺節子 國學院大學・和洋女子大学講師
木遣りは、木場の川並に伝えられたものは、筏の小流しや角乗りなどとともに受け継がれ、鳶職人に伝えられたものは、鳶が町火消し組に組み入れられていくと、梯子乗りの技とともに神輿渡御の先触れなどとして、歌い継がれてきました。独特の声の張りや伸ばしで歌い継ぎ「真鶴」などは、祝いの席でも歌われています。
【7】11/19 江戸の相撲甚句
小野寺節子 國學院大學・和洋女子大学講師
甚句の形式は、近世以降、全国的に見られますが、江戸では享保年間の頃、流行歌の一つとして花柳界などに定着しました。幕末の頃になると、相撲の地方巡業で披露されたり、地方の民謡などと関わりながら独特のニュアンスを含んだ歌詞が作られたりしてきました。合の手には「ドスコイ ドスコイ」という力強い声が入り、こうした歌を好み、享受してきた江戸の人々の粋と、江戸の情緒を体現してみましょう。
【8】11/26 江戸のスイーツ
戸森麻衣子 東京大学研究員
大江戸の娯楽世界もここで一服、江戸のお菓子にまつわる話はいかが?江戸時代には砂糖が普及して和菓子の世界が一気に開花し、江戸では桜餅等の名物も生まれました。また、様々な業態の菓子商人も見られる
ようになりました。講座では、大名から庶民まで人々の生活を彩った江戸のスイーツの世界を、買う・食べるといった受容面に注目しながら紹介していきます。
【9】12/3 江戸の庭園と文人趣味
戸森麻衣子 東京大学研究員
江戸の文人達が集い、書画を愛でたり酒食を楽しんだ場には多く、庭園がありました。江戸の庭園というと造園技術を凝らした大名庭園等に関心
が行きがちですが、庭園は本来、文化的な時間を過ごすために設けられた
空間です。そこで講座では、江戸の武士にとって、また町人にとっての庭
園のありようを辿りながら、文人達の活動やその表現を見ていきたいと思います。
【10】12/10 料理と料理屋
加藤 貴 早稲田大学講師
グルメブームといわれてから久しくなりますが、18世紀後期ごろに、野田・銚子で江戸っ子の嗜好にあった醤油が生産されるようになると、鰻の蒲焼・天麩羅・蕎麦をはじめとして、醤油が重要な役割をはたす料理が作られるようにもなり、19世紀に入ると、江戸のグルメブームが到来することになります。こうした江戸前料理を提供したのが料理屋でした。料理屋で趣向を凝らした料理に舌鼓を打つのも、江戸に暮らす人びとにとっては大きな楽しみだったのです。
さらに、実生活の面で商売繁盛・立身出世につながる効用をもつこともありました。
こうした江戸の娯楽世界にふれることで、より深く江戸を理解できるようにしたいと思っています。
多様な展開をみせた江戸の人びとの娯楽世界について、その全てにふれることはできないので、本講座では祭・旅・芝居や歌舞音曲・文人趣味にテーマを限定しつつ、それぞれの問題を具体的に、より深く掘り下げることで、江戸の人びとが創り上げた娯楽世界の特質を明らかにしていきます。現代と共通する、あるいは異質な娯楽世界が展開していくことになりますが、そうしたことを含めて江戸の娯楽世界をともに楽しみましょう。
※この講座は2012年度春講座と同一のテーマで実施します。
【1】10/1 大相撲茅場町場所
加藤 貴 早稲田大学講師
大相撲は、現在と違って初めは年1場所、後に年2場所になります。興行場所は深川富岡八幡宮にはじまり、年2場所になると1場所は本所回向院に固定されるようになり、もう1場所が市中の寺社境内で行われるようになりました。そのうちの1つとして、茅場町薬師の境内で文政3年(1820)10月に興行が行われています。この茅場町場所についてや本場所の様子をみていくことにします。
【2】10/15 見世物の世界―大道であきなう芸人たち―
加藤征治 葛飾区教育委員会調査委員
江戸も後期以降になると、両国橋西詰は大小さまざまな見世物小屋が林立し、かなり大きな盛り場でした。また、大道芸人として、願人坊主や住吉踊りなどもたくさんいたようです。庶民にとって、見世物や大道芸は気軽に触れることのできる芸能世界でした。これら見世物の様子を辻ビラなどから見ていきます。
【3】10/22 お座敷芸かっぽれの成立
加藤征治 葛飾区教育委員会調査委員
お座敷芸のひとつに、「かっぽれ」という陽気で華やかな即興舞があります。むかしは、太鼓持にかぎらず、庶民のあいだでも、ちょっとした余芸として、たしなむ人も多かったようです。しかし、座敷芸のかっぽれは本来、大道芸のひとつでした。むしろ大道芸から座敷芸に昇華し、さらに芝居にも取り入れられためずらしいものです。この昇華していくプロセスを見ていきます。
【4】10/29 江戸・娘義太夫の受難
藤田 勉 作曲家・音楽家
江戸時代後期、女性の義太夫語りは寄席の花形でありアイドルでもありましたが、その歴史はたび重なる禁制の対象とされ続けた受難の歴史でもあり、天保改革後は、ついに解停のないまま明治にいたります。町奉行所から出された数々の禁令も詳細に見ながら、江戸の娘義太夫の姿と男性ファンの熱狂の様を浮かび上がらせます。
【5】11/5 江戸の豊後節流行と禁止を考える
藤田 勉 作曲家・音楽家
江戸中期、上方から下った豊後節浄瑠璃は、芸能面だけでなく若者風俗にも大きな影響をあたえ大流行しましたが、市中の風俗紊乱の元凶であるとされて幕府の禁止を受け消滅しました。禁止の真の理由については今なお諸説あり、興味の尽きない問題でもあります。その流行の様子や後の江戸浄瑠璃にあたえた影響、禁止にいたった背景を考えます。
【6】11/12 江戸の木遣り
小野寺節子 國學院大學・和洋女子大学講師
木遣りは、木場の川並に伝えられたものは、筏の小流しや角乗りなどとともに受け継がれ、鳶職人に伝えられたものは、鳶が町火消し組に組み入れられていくと、梯子乗りの技とともに神輿渡御の先触れなどとして、歌い継がれてきました。独特の声の張りや伸ばしで歌い継ぎ「真鶴」などは、祝いの席でも歌われています。
【7】11/19 江戸の相撲甚句
小野寺節子 國學院大學・和洋女子大学講師
甚句の形式は、近世以降、全国的に見られますが、江戸では享保年間の頃、流行歌の一つとして花柳界などに定着しました。幕末の頃になると、相撲の地方巡業で披露されたり、地方の民謡などと関わりながら独特のニュアンスを含んだ歌詞が作られたりしてきました。合の手には「ドスコイ ドスコイ」という力強い声が入り、こうした歌を好み、享受してきた江戸の人々の粋と、江戸の情緒を体現してみましょう。
【8】11/26 江戸のスイーツ
戸森麻衣子 東京大学研究員
大江戸の娯楽世界もここで一服、江戸のお菓子にまつわる話はいかが?江戸時代には砂糖が普及して和菓子の世界が一気に開花し、江戸では桜餅等の名物も生まれました。また、様々な業態の菓子商人も見られる
ようになりました。講座では、大名から庶民まで人々の生活を彩った江戸のスイーツの世界を、買う・食べるといった受容面に注目しながら紹介していきます。
【9】12/3 江戸の庭園と文人趣味
戸森麻衣子 東京大学研究員
江戸の文人達が集い、書画を愛でたり酒食を楽しんだ場には多く、庭園がありました。江戸の庭園というと造園技術を凝らした大名庭園等に関心
が行きがちですが、庭園は本来、文化的な時間を過ごすために設けられた
空間です。そこで講座では、江戸の武士にとって、また町人にとっての庭
園のありようを辿りながら、文人達の活動やその表現を見ていきたいと思います。
【10】12/10 料理と料理屋
加藤 貴 早稲田大学講師
グルメブームといわれてから久しくなりますが、18世紀後期ごろに、野田・銚子で江戸っ子の嗜好にあった醤油が生産されるようになると、鰻の蒲焼・天麩羅・蕎麦をはじめとして、醤油が重要な役割をはたす料理が作られるようにもなり、19世紀に入ると、江戸のグルメブームが到来することになります。こうした江戸前料理を提供したのが料理屋でした。料理屋で趣向を凝らした料理に舌鼓を打つのも、江戸に暮らす人びとにとっては大きな楽しみだったのです。
備考
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講師陣
名前 | 加藤 貴 他 |
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肩書き | 早稲田大学講師 |
プロフィール | - |