大学公開講座のセカンドアカデミー

【講座趣旨】
今日の消費者は豊富な情報と知識を手にしています。それは、企業、製品、ブランド、店舗など提供する側に対する知識・経験にとどまらず、消費者自らの経験や消費者相互の経験情報の共有というかたちでも進んできています。そのような消費者の実像を十分に把握しないと、消費者と企業との間に大きなズレが生じてくる可能性があります。それは売上の低迷・低下あるいは顧客離れという深刻な状況として現れてきます。
消費者・顧客を理解するというのは、多面的な作業を必要とするやっかいな仕事であることは事実です。しかし、消費者行動研究が本格的に進められるようになり、半世紀ほど経つ今日では、消費者を分析する方法が様々な形で明らかにされてきています。しかも、それを単に消費者理解にとどめることなく、企業のマーケティング戦略に取り込む方法についても新たな手法が開発されてきています。
本講座で今回取り上げるのは、世界的な消費者行動研究者として著名なジェラルト・ザルトマン教授による「心脳マーケティング」という著書です。日本語のタイトルはなじみのない用語となっていますが、原著書のタイトルは「消費者が考える方法(How Consumer Think)」というものです。同著者は、マーケティング研究の第一人者としても有名な教授であり、その意味で、消費者行動研究をマーケティングに取り込む術を伝授しようともしております。
本書は、従来のマーケティングの著書あるいは消費者行動の著書とは一線を画したユニークな章立てとなっております。その意味でも、今日現れつつある新しいマーケティング・消費者研究の動向を知る上でも示唆を提供してくれるものと思います。

【講座のポイント】
本講座は、 毎回数名が報告者となって該当部分の報告を行い、 関連する事例を紹介する中で、 講師と受講生で議論を進めるゼミナール方式です。

【教材】
『心脳マーケティング: 顧客の無意識を解き明かす』
ジェラルド・ザルトマン:著 藤川佳則/阿久津聡:訳
ダイヤモンド社
※講座初回にお渡しします。

名前	井上 崇通
肩書き	明治大学商学部教授
プロフィール	専門はマーケティング戦略論、消費者行動論等。「戦略的マーケティング」及び「消費者行動研究の文化論的アプローチ」をテーマに研究。主著に「マーケティング戦略と診断」(同友館)等。企業研修指導・研究会講師、各種資格試験出題委員など実務指導においても幅広く活躍している。