講座詳細情報
申し込み締切日:2011-09-30 / 経営全般 / 学内講座コード:11210003
経営労務監査の理論と課題 社会保険労務士総合研究機構協力講座 ─労働時間管理─
- 開催日
- 10月 7日(金)、10月14日(金)、10月21日(金)、10月28日(金)、11月11日(金)、11月18日(金)、11月25日(金)
- 講座回数
- 7回
- 時間
- 19:00~21:00
- 講座区分
- 後期
- 入学金
- 3,000円
- 受講料
- 30,000円
- 定員
- 40
- 補足
※この講座の申し込みは既に締め切りました。
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講座詳細
【講座趣旨】
経営管理の一翼を占める労務管理の適切性を監査する理論とその制度について問題を提起することが、この講座の本来的な目的である。労務監査の理論とその制度の必要性は過去において繰り返し指摘されてきた。しかし、多くの労務管理研究者から賛同を得られ、学界からも支持が得られる労務監査の理論的構築とその制度化はなされていない。株式上場を手掛ける証券会社からの要請に応えて、実務家による労務監査報告書が記載され、労務監査の手法等が提出されているのが今日の現状である。株式上場において提出を要請される労務監査報告書の多くは事実上、労働社会保険諸法令に準拠する法令監査である。金融商品取引法改正及び会社法改正に伴って、株式上場の動きが目覚ましい時代的な状況、企業不祥事続出の背景に見え隠れする個別労使紛争、個別労使紛争の引き金となる企業の脱法行為等を考慮するならば、現代日本社会ほど学問的な検討作業に裏付けられた厳正な労務監査論が求められている時代はない。労務監査の理論を構築し労務監査の制度化を求めるには、現代日本企業の経営管理の構造的理解が不可欠である。この講座の顕著な特徴は、第1に、経営理念から導出される経営計画に注目し、業務管理の側面から労務管理を把握しようと試みていることであり、第2に、企業の経営計画における中期予算管理(方針管理)に注目し、ビジネスを展開するうえで不可欠な人件費予算の側面から把握しようと試みていることであり、第3に、事業計画、予算計画、利益計画からなる経営計画に関わり、管理過程(P-D-C)を回すことの教育的な機能に注目し、企業活動を担う人材を育成する側面から把握しようと試みていることである。そして、第4に、業務管理、人件費管理、人材育成管理の3つの側面をもつ経営管理の中心に位置する労務管理(採用、配置、訓練、賃金、労働時間、昇進・昇格、解雇など)について、企業の社会的責任と厳正な法令監査の視点から把握しようと試みていることである。労務管理の専門家が、金銭的動機から虚位と欺瞞に満ちた労務監査報告書を記載し、関係団体に提出するならば、そのような行為は士業にとって自殺行為となる。労務監査にあたっては社会的正義感と高度な職業的倫理性が求められる。この講座は経営学、中小企業論、労務管理、管理会計の領域に詳しい研究者からなる講師陣を取り揃えると同時に、明確な経営理念を掲げて事業を運営しておられる事業主にもご協力をいただいている。
【特記事項】
※ 法人会員料金とは、「リバティアカデミー法人会員」にご入会いただいている企業の方の料金です。
法人会員につきましては、ホームページトップページ上部の、インフォーメーションをご覧ください。
【講義概要】
第1回 10月 7日(金) 経営労務監査における業務管理の位置―賃金と時間―
経営労務監査における業務管理の位置付けについて検討する。労務管理とは、労働者、監督者、管理者に仕事を行なわせること、彼らに課す業務を設計することに尽きる。この講義では、法令遵守、経営理念、人件費(労務費)、人材育成の4つの側面から、業務管理を検討する。
第2回 10月14日(金) 企業合理化の論理と市民生活
企業の合理化努力には、「商品の確定活動の合理化」と「確定済みの商品の生産方法の合理化」の2つがある。この講義では、企業の合理化が、市民の生活の2局面、すなわち市民の労働生活と家庭生活の質に及ぼしている『生活の貧困化』の実態を解明するとともに、人間らしい労働生活と人間らしい家庭生活について考えてみることとする。
第3回 10月21日(金) 労働時間管理の徹底と職務設計の思想
労働時間管理に当たって、労働時間法制を前提とするのは当然である。職場の社会的労働過程が管理者の指揮命令下で行われる以上、労働時間と要員管理は表裏一体の関係にある。労働時間管理は個別企業の経営計画や予算管理の一環であり、日常の業務管理と有機的に結び付いている。本来違法とされる残業を想定した事業計画、あらかじめ残業代予算を計上し予算範囲内で残業代を支払う労働時間管理など、これからの日本企業では許されてはならない。就業時間内に業務が完結するように事業計画と予算計画が立案されなければならない。
第4回 10月28日(金) 人件費管理と原価の管理
原価管理の観点から見た場合、一般に人件費と呼ばれているものはどのように考えられ、どのように扱われているのだろうか。講義では、トヨタ生産方式と裏腹の関係にある原価管理体系(原価企画、原価維持、原価改善)の考え方とその手続きについて解説し、利益創出を目指した原価低減に伴う、無駄の徹底的な排除と労働者への影響について論じる。また、欧米の学界・実務界のインパクトについて紹介する。
第5回 11月11日(金) 企業の人材育成
アメリカ人的資源開発論のモデルは伝統的な日本企業である。アメリカの研究者であれば、誰でもが知っていることであるにも拘わらず、このことを知ろうとしないのが日本の研究者と実務家である。日本の財界は個人主導の職業能力開発を志向しているが、このような方向は人材枯渇化の道である。アメリカ人的資源開発論が日本から学んだのは、日本企業の多くが長期雇用体制を前提に新規学卒者を採用し、現場での業務遂行を通じて人材を育てることを通じて強靭で柔軟な職場組織を作ってきたことである。この強い職場組織とは何だろうか。それは多品種少量生産体制の確立に伴って変化する製品戦略に対して、柔軟に対応できる職場組織である。
第6回 11月18日(金) 現代日本企業と経営労務監査
多くの中小企業経営者が、明確な経営理念を持って、全国の地域経済社会を変えていかなければ、進展するグローバル化や少子高齢化社会において地域経済は持続的な発展はできないでしょう。1970年代において提起された労使見解・経営指針作りを踏まえて、中小企業憲章・中小企業振興基本条例の制定を推進してきた中小企業家同友会の歴史を振り返りながら経営労務監査を通じての健全な労務管理の確立が、これからの中小企業の発展にとってどのような意味を持っているかを共に考えましょう。
第7回 11月25日(金) 経営者の社会的責任としての雇用責任性
企業の社会的責任のなかで最も重要なものは雇用責任である。企業経営者が雇用責任を自覚しなければ、労使間の信頼関係の構築は不可能である。経済不況が深刻であるにも拘らず、雇用を大切に守っている中小企業には元気があり、労働者の創意・工夫、新製品の開発など、労働者の意欲を引き出すことによって、確実に一定の企業収益を確保している。中小企業家同友会(中同協)の役員が「労使共同宣言」「経営理念」「中小企業憲章」の意義について、また経済困難な時代であればこそ、双務的労使関係の構築、雇用の安定、人づくりが求められていることについて語る。
経営管理の一翼を占める労務管理の適切性を監査する理論とその制度について問題を提起することが、この講座の本来的な目的である。労務監査の理論とその制度の必要性は過去において繰り返し指摘されてきた。しかし、多くの労務管理研究者から賛同を得られ、学界からも支持が得られる労務監査の理論的構築とその制度化はなされていない。株式上場を手掛ける証券会社からの要請に応えて、実務家による労務監査報告書が記載され、労務監査の手法等が提出されているのが今日の現状である。株式上場において提出を要請される労務監査報告書の多くは事実上、労働社会保険諸法令に準拠する法令監査である。金融商品取引法改正及び会社法改正に伴って、株式上場の動きが目覚ましい時代的な状況、企業不祥事続出の背景に見え隠れする個別労使紛争、個別労使紛争の引き金となる企業の脱法行為等を考慮するならば、現代日本社会ほど学問的な検討作業に裏付けられた厳正な労務監査論が求められている時代はない。労務監査の理論を構築し労務監査の制度化を求めるには、現代日本企業の経営管理の構造的理解が不可欠である。この講座の顕著な特徴は、第1に、経営理念から導出される経営計画に注目し、業務管理の側面から労務管理を把握しようと試みていることであり、第2に、企業の経営計画における中期予算管理(方針管理)に注目し、ビジネスを展開するうえで不可欠な人件費予算の側面から把握しようと試みていることであり、第3に、事業計画、予算計画、利益計画からなる経営計画に関わり、管理過程(P-D-C)を回すことの教育的な機能に注目し、企業活動を担う人材を育成する側面から把握しようと試みていることである。そして、第4に、業務管理、人件費管理、人材育成管理の3つの側面をもつ経営管理の中心に位置する労務管理(採用、配置、訓練、賃金、労働時間、昇進・昇格、解雇など)について、企業の社会的責任と厳正な法令監査の視点から把握しようと試みていることである。労務管理の専門家が、金銭的動機から虚位と欺瞞に満ちた労務監査報告書を記載し、関係団体に提出するならば、そのような行為は士業にとって自殺行為となる。労務監査にあたっては社会的正義感と高度な職業的倫理性が求められる。この講座は経営学、中小企業論、労務管理、管理会計の領域に詳しい研究者からなる講師陣を取り揃えると同時に、明確な経営理念を掲げて事業を運営しておられる事業主にもご協力をいただいている。
【特記事項】
※ 法人会員料金とは、「リバティアカデミー法人会員」にご入会いただいている企業の方の料金です。
法人会員につきましては、ホームページトップページ上部の、インフォーメーションをご覧ください。
【講義概要】
第1回 10月 7日(金) 経営労務監査における業務管理の位置―賃金と時間―
経営労務監査における業務管理の位置付けについて検討する。労務管理とは、労働者、監督者、管理者に仕事を行なわせること、彼らに課す業務を設計することに尽きる。この講義では、法令遵守、経営理念、人件費(労務費)、人材育成の4つの側面から、業務管理を検討する。
第2回 10月14日(金) 企業合理化の論理と市民生活
企業の合理化努力には、「商品の確定活動の合理化」と「確定済みの商品の生産方法の合理化」の2つがある。この講義では、企業の合理化が、市民の生活の2局面、すなわち市民の労働生活と家庭生活の質に及ぼしている『生活の貧困化』の実態を解明するとともに、人間らしい労働生活と人間らしい家庭生活について考えてみることとする。
第3回 10月21日(金) 労働時間管理の徹底と職務設計の思想
労働時間管理に当たって、労働時間法制を前提とするのは当然である。職場の社会的労働過程が管理者の指揮命令下で行われる以上、労働時間と要員管理は表裏一体の関係にある。労働時間管理は個別企業の経営計画や予算管理の一環であり、日常の業務管理と有機的に結び付いている。本来違法とされる残業を想定した事業計画、あらかじめ残業代予算を計上し予算範囲内で残業代を支払う労働時間管理など、これからの日本企業では許されてはならない。就業時間内に業務が完結するように事業計画と予算計画が立案されなければならない。
第4回 10月28日(金) 人件費管理と原価の管理
原価管理の観点から見た場合、一般に人件費と呼ばれているものはどのように考えられ、どのように扱われているのだろうか。講義では、トヨタ生産方式と裏腹の関係にある原価管理体系(原価企画、原価維持、原価改善)の考え方とその手続きについて解説し、利益創出を目指した原価低減に伴う、無駄の徹底的な排除と労働者への影響について論じる。また、欧米の学界・実務界のインパクトについて紹介する。
第5回 11月11日(金) 企業の人材育成
アメリカ人的資源開発論のモデルは伝統的な日本企業である。アメリカの研究者であれば、誰でもが知っていることであるにも拘わらず、このことを知ろうとしないのが日本の研究者と実務家である。日本の財界は個人主導の職業能力開発を志向しているが、このような方向は人材枯渇化の道である。アメリカ人的資源開発論が日本から学んだのは、日本企業の多くが長期雇用体制を前提に新規学卒者を採用し、現場での業務遂行を通じて人材を育てることを通じて強靭で柔軟な職場組織を作ってきたことである。この強い職場組織とは何だろうか。それは多品種少量生産体制の確立に伴って変化する製品戦略に対して、柔軟に対応できる職場組織である。
第6回 11月18日(金) 現代日本企業と経営労務監査
多くの中小企業経営者が、明確な経営理念を持って、全国の地域経済社会を変えていかなければ、進展するグローバル化や少子高齢化社会において地域経済は持続的な発展はできないでしょう。1970年代において提起された労使見解・経営指針作りを踏まえて、中小企業憲章・中小企業振興基本条例の制定を推進してきた中小企業家同友会の歴史を振り返りながら経営労務監査を通じての健全な労務管理の確立が、これからの中小企業の発展にとってどのような意味を持っているかを共に考えましょう。
第7回 11月25日(金) 経営者の社会的責任としての雇用責任性
企業の社会的責任のなかで最も重要なものは雇用責任である。企業経営者が雇用責任を自覚しなければ、労使間の信頼関係の構築は不可能である。経済不況が深刻であるにも拘らず、雇用を大切に守っている中小企業には元気があり、労働者の創意・工夫、新製品の開発など、労働者の意欲を引き出すことによって、確実に一定の企業収益を確保している。中小企業家同友会(中同協)の役員が「労使共同宣言」「経営理念」「中小企業憲章」の意義について、また経済困難な時代であればこそ、双務的労使関係の構築、雇用の安定、人づくりが求められていることについて語る。
備考
【講座をお薦めする方】
●中小企業経営者
●企業の人事部所属の管理者及びスタッフ
●公認会計士
●税理士
●労務管理に興味のある社会人
【教材】
オリジナルレジュメ
●中小企業経営者
●企業の人事部所属の管理者及びスタッフ
●公認会計士
●税理士
●労務管理に興味のある社会人
【教材】
オリジナルレジュメ
講師陣
名前 | 平沼 高 |
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肩書き | 明治大学経営学部教授・社会保険労務士総合研究機構所長 |
プロフィール | 和光大学人文学部人間関係学科卒。明治大学大学院経営学研究科博士後期課程退学(単位取得)。専門領域は労務管理と企業内教育・訓練管理の歴史研究。主要な著著 (1)『アメリカ大企業と労働者』北海道大学出版会。(2)『熟練工養成の国際比較』ミネルヴァ書房。(3)『大学だけじゃないもう一つのキャリア形成』職業訓練教材研究会。主要な学術論文 (1)「アメリカ自動車産業の徒弟制度」(労務理論学会編『モノづくりの危機と労務管理』所収)。(2)「経営労務監査の理論的枠組み」(明治大学『経営論集』第57巻第4号)2010年3月。(3)「青年労働者のキャリア形成―その神話と現実―」(労務理論学会大会報告、龍谷大学、2010年6月) |
名前 | 村田 和彦 |
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肩書き | 日本大学経済学部教授 |
プロフィール | 1945年11月山口県防府市にて出生。1968年3月山口大学経済学部卒業。1973年3月一橋大学大学院商学研究科博士課程単位修得。1978年2月商学博士(一橋大学)。1985年4月一橋大学教授(商学部)。2009年4月一橋大学名誉教授、日本大学経済学部教授。著書『労資共同決定の経済学』(千倉書房、初版1978年、増補版1987年)、『労働人間化の経営学』(千倉書房、1983年)、『生産合理化の経営学』(千倉書房、1983年)、『市場創造の経営学』(千倉書房、1999年)、『企業支配の経営学』(中央経済社、2006年)、『経営学原理』(中央経済社、2006年) |
名前 | 大槻 晴海 |
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肩書き | 明治大学経営学部准教授 |
プロフィール | 明治大学経営学部卒。明治大学大学院経営学研究科博士後期課程退学(単位取得)。専門領域は管理会計。主な著書は『経営管理会計ハンドブック』(東京経済情報出版)。主要な学術論文は「日本の主要企業の原価企画(1)~(6)」『企業会計』Vol.62,No.2~No.7.(2010年2月~7月) |
名前 | 吉田 敬一 |
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肩書き | 駒沢大学経営学部教授 |
プロフィール | 駒澤大学経済学部教授、経済学博士 同志社大学商学研究科博士課程満期退学。 東洋大学教授を経て現職。専門は中小企業論・地域経済論。 単著『転機に立つ中小企業』新評論、編著『地域振興と中小企業』ミネルヴァ書房など。 中小企業学会理事、東京都中小企業対策審議会委員、中小企業家同友会企業環境研究センター座長などを歴任。 |
名前 | 河原 八洋 |
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肩書き | - |
プロフィール | 昭和23年4月10日石川県能登門前町生まれ。昭和45年3月東海大学・電気工学科卒。昭和45年4月太平工業入社。昭和59年4月同社退社。昭和59年5月(株)ローヤルエンジニアリング創業。事業は建築設備の設計・施工・保守・管理。平成15年7月大栄空調から株式を譲受け、DAIEIリペアとして合併再建。業務は建築設備のリニュアル事業。経営理念:私たちは日本的心を持って、お客様の快適環境を作り出す事を通して、地域社会に貢献する。私たちは全員参加の経営を通して社員とその家族そして目的を同じくする連業者の自己実現を計る。価値観:社員に対して誠実な心と親切な技術。経営者として鬼手仏心の姿勢。 |