講座詳細情報
申し込み締切日:2013-07-08 / 文学:日本史:その他教養 / 学内講座コード:13A1611801
文芸にみる江戸時代の初期
- 開催日
- 7月 9日(火)、 7月16日(火)、 7月23日(火)、
7月30日(火)、 8月 6日(火)、 8月20日(火)、
8月27日(火)
- 講座回数
- 7回
- 時間
- 13:00~14:30
- 講座区分
- 前期
- 入学金
- -
- 受講料
- 11,000円
- 定員
- 50
- その他
- 9900(※料金は、神奈川大学生・卒業生等および横浜市交流協議会加盟大学在学生に適用される料金です)
- 補足
※この講座の申し込みは既に締め切りました。
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講座詳細
【講座内容】
江戸時代の初期は、戦国の争乱のなかで生じた諸問題に一定の決着がはかられようとする時期ですが、同時にそれが、次の時代へ新たな課題を投げかけているように思われます。そのような動向は文芸作品にも描かれていますが、ここでは、近代の作家がとらえた視点を歴史学の問題に置きかえ、日本の近代社会の骨格を築いたとされる江戸時代(幕藩体制社会)について考えを深めたいと思います。
【講座スケジュール】
第1回 7月 9日(火) 徳川家康の人物像
徳川家康は、神君・東照大権現と崇められていますが、その実像は謎に包まれた面もあります。ここでは、明治期の史論史家である山路愛山『徳川家康』(岩波文庫)を手がかりに、豊臣秀吉との対比で具体的に検討していきます。
第2回 7月16日(火) 豊臣家の滅亡
落城の直前、大坂城を退去する片桐且元の姿は、百年以上も前に坪内逍遙の戯曲「桐一葉」(『現代文学大系』1、筑摩書房)に描かれています。しかし片桐は、豊臣秀頼の家臣でありながら、幕府の国奉行に就いている人物でした。
第3回 7月23日(火) 一門内部での確執
将軍の座をめぐって、徳川家の内部では激しい争いが展開され、悲劇の人物も生み出されました。菊池寛『忠直卿行状記』(岩波文庫、『恩讐の彼方に』と合綴)が描いた松平忠直(家康の孫で越前藩主)もその一人にあたります。
第4回 7月30日(火) 日本人とキリスト教
戦国期に渡来し、一時は大きな拡がりをみせたキリスト教は、幕府の厳しい禁圧政策によって姿を消しますが、それは何を意味したのでしょうか。遠藤周作『沈黙』(新潮社、のち「新潮文庫」に収録)は、問題を投げかけています。
第5回 8月 6日(火) 主従関係の絆
死後の世界まで主君に仕えるという殉死の風習は、武士の美徳として称賛される反面、冷やかな視方も当時からありました。森?外『阿部一族』(岩波文庫)は、肥後藩主細川忠利の死をめぐって、そのような動きを描いています。
第6回 8月20日(火) 日本人の武器感覚
幕府の大軍に包囲されながら、島原・天草一揆は最後まで戦い続けました。堀田善衛『海鳴りの底から』(筑摩書房)は、のちに背教者となるキリシタン絵師の眼でこれをとらえ、民衆が武装することの意味についても述べています。
第7回 8月27日(火) 初期の御家騒動
代表例である「伊達騒動」は、一般には“奸臣”原田甲斐の陰謀とみなされていますが、山本周五郎『樅の木は残った』(新潮社)は、伊達家の取り潰しを画策する幕府に、原田が身をもって立ち向かったという立場を貫いています。
江戸時代の初期は、戦国の争乱のなかで生じた諸問題に一定の決着がはかられようとする時期ですが、同時にそれが、次の時代へ新たな課題を投げかけているように思われます。そのような動向は文芸作品にも描かれていますが、ここでは、近代の作家がとらえた視点を歴史学の問題に置きかえ、日本の近代社会の骨格を築いたとされる江戸時代(幕藩体制社会)について考えを深めたいと思います。
【講座スケジュール】
第1回 7月 9日(火) 徳川家康の人物像
徳川家康は、神君・東照大権現と崇められていますが、その実像は謎に包まれた面もあります。ここでは、明治期の史論史家である山路愛山『徳川家康』(岩波文庫)を手がかりに、豊臣秀吉との対比で具体的に検討していきます。
第2回 7月16日(火) 豊臣家の滅亡
落城の直前、大坂城を退去する片桐且元の姿は、百年以上も前に坪内逍遙の戯曲「桐一葉」(『現代文学大系』1、筑摩書房)に描かれています。しかし片桐は、豊臣秀頼の家臣でありながら、幕府の国奉行に就いている人物でした。
第3回 7月23日(火) 一門内部での確執
将軍の座をめぐって、徳川家の内部では激しい争いが展開され、悲劇の人物も生み出されました。菊池寛『忠直卿行状記』(岩波文庫、『恩讐の彼方に』と合綴)が描いた松平忠直(家康の孫で越前藩主)もその一人にあたります。
第4回 7月30日(火) 日本人とキリスト教
戦国期に渡来し、一時は大きな拡がりをみせたキリスト教は、幕府の厳しい禁圧政策によって姿を消しますが、それは何を意味したのでしょうか。遠藤周作『沈黙』(新潮社、のち「新潮文庫」に収録)は、問題を投げかけています。
第5回 8月 6日(火) 主従関係の絆
死後の世界まで主君に仕えるという殉死の風習は、武士の美徳として称賛される反面、冷やかな視方も当時からありました。森?外『阿部一族』(岩波文庫)は、肥後藩主細川忠利の死をめぐって、そのような動きを描いています。
第6回 8月20日(火) 日本人の武器感覚
幕府の大軍に包囲されながら、島原・天草一揆は最後まで戦い続けました。堀田善衛『海鳴りの底から』(筑摩書房)は、のちに背教者となるキリシタン絵師の眼でこれをとらえ、民衆が武装することの意味についても述べています。
第7回 8月27日(火) 初期の御家騒動
代表例である「伊達騒動」は、一般には“奸臣”原田甲斐の陰謀とみなされていますが、山本周五郎『樅の木は残った』(新潮社)は、伊達家の取り潰しを画策する幕府に、原田が身をもって立ち向かったという立場を貫いています。
講師陣
名前 | 三鬼 清一郎 |
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肩書き | 名古屋大学名誉教授 |
プロフィール | 1966年東京大学大学院満期退学。同年東大史料編纂所勤務。名古屋大学教授等を経て、2000年より2006年3月まで神奈川大学教授。専門は日本近世史。主要著書に『鉄砲とその時代』(教育社歴史新書)、『織豊期の政治構造』(編著、吉川弘文館)、『太閤検地と朝鮮出兵』(岩波講座日本歴史・近世1)など。 |