大学公開講座のセカンドアカデミー

　『源氏物語』は後の物語に、大きな影響を与えました。後の物語は、『源氏物語』を受け止め、摂取し、かつそこから独自の物語を切り開いていきました。これらの物語は、いわば『源氏物語』の流域にある物語だと言えるでしょう。この講座では、そんな『源氏物語』流域の物語のなかから、『夜の寝覚』を読んでみたいと思います。『夜の寝覚』は、『竹取物語』以来の、女性主人公の物語です。『竹取物語』のかぐや姫と『源氏物語』の浮舟とを出会わせ、独自の「女の物語」を形象しています。今回は、新たな「女の物語」が立ち上がる様子を、『竹取物語』や『源氏物語』を併せ見つつ、とらえていきます。また、翻って『夜の寝覚』から『源氏物語』をとらえなおしていきます。
※参考図書　新編日本古典文学全集28『夜の寝覚』鈴木一雄（校注・訳）小学館　4,890円（税込）
①　4 月18 日：女君の人生を予言する冒頭─ 平安後期物語の冒頭
②　5 月9 日：天人の予言する女君の人生─ かぐや姫からも浮舟からも離れて
③　5 月23 日：動き出す女君の人生─ かぐや姫をあやめる物語
④　6 月6 日：あやにくな出会い─ 浮舟の彼方に
⑤　6 月20 日：苦悩の種の恋─ 新たな浮舟
⑥　7 月4 日：止められない運命─ 再び浮舟の彼方に
⑦　7 月25 日：錯綜する情報のなかで─ 「女の物語」における男君
⑧　8 月8 日：行方も知らぬ恋─ 平安後期物語が見出す新たな状況
⑨　8 月22 日：明らかになる真実─ 平安後期物語が見出す新たな困難
⑩　9 月5 日：新たな「女の物語」

名前	鈴木　泰恵
肩書き	本学非常勤講師
プロフィール	早稲田大学大学院博士課程修了。早稲田大学非常勤講師。武蔵野大学非常勤講師。 　中古・中世の物語文学専攻、『狭衣物語』の研究者で、文学博士。