大学公開講座のセカンドアカデミー

【講座内容】
幕末から明治初期にかけて日本を訪れた外人たちの軍歴は、当時の動乱の世界を映していました。たとえばペリー上陸の絵を描いたペリー艦隊付き画家ハイネはドイツ人です。というのもドイツのドレスデンでワーグナーたちと蜂起して敗北、逃げたアメリカで絵の腕をかわれて艦隊に雇われたからです。しかも後には南北戦争に大尉として参戦し、捕虜となり辛酸をなめます。
幕府軍訓練のために来日したフランス軍大尉ブリュネは、訪日前にメキシコ戦争、離日後は普仏戦争に従軍してやはり捕虜。札幌のあのクラーク博士は訪日前に北軍の指揮官として激戦の勇気をかわれ大佐になっています。九州で教育に全霊を傾けたジェーンズ大尉はウェストポイント陸軍士官学校出身でカスター将軍の先輩でした。このような経歴から見えてくるのは、当時の日本を取り巻く世界的な動乱への能動的なかかわりです。激動の世界を駆けた四人の理想を追いましょう。
説明は絵や写真、音楽をも交えてビジュアルに進めますので、予備知識はとくに必要ありません。

【講座スケジュール】
第1回 5月24日(火) ヨーロッパの動乱とアメリカ南北戦争
詳細：ドイツ革命／ワーグナー／ベートーベン「第九」／ドレスデン蜂起／敗北と逃亡／ペリー艦隊／「ヤンキードゥードゥル」
第2回 5月31日(火) 北軍大尉ハイネ
詳細：ハイネの職探し／三回目の日本／バクーニンのシベリア脱走／横浜ホテル／バクーニンとの再会／南北戦争／捕虜／准将へ／ドイツへの帰国
第3回 6月 7日(火) フランス軍大尉ブリュネ
詳細：フランスの帝政／メキシコ戦争／フランス軍使節団／幕府軍の訓練／横浜から箱館へ／帰国／普仏戦争／パリコミューン／フランス軍参謀長
第4回 6月14日(火) 北軍ジェーンズ大尉
詳細：ウェストポイント陸軍士官学校／カスター将軍／アメリカ号／熊本での日本人教育／「不遇」／讃美歌「神我を愛す」
第5回 6月21日(火) 北軍のクラーク指揮官
詳細：北軍第23連隊／激戦の指揮／新島襄／グレートリパブリック号／北海道へ／「訴訟」／「リパブリック賛歌」／参考書の紹介

名前	藤村 是清
肩書き	神奈川大学等非常勤講師
プロフィール	専門は移動・移民研究。大学中退。横浜の造船所で電気溶接工として14年間勤めたのち勉強を再開、英国に留学し修士号取得(1991年MA、ケント大学)。主要論考に「還流的労働移動の社会的条件」(『近代世界の歴史像』世界書院)、「華僑送出4 港の旅客統計分析に基づく中国人移民サイクルの再検討」(前後篇、『華僑華人研究』9-10号)。