大学公開講座のセカンドアカデミー

【講座内容】
ここに二つの伝記があります。一つはニューヨークのユダヤ人銀行家ジェイコブ・シフにかんして。もう一つは日本の高橋是清の自伝です。講座では、この二つの書物を中心に、二人が日露戦争の戦費調達を機にどのように出会い、交流を深めたのかについて、その背景をなすユダヤ人移民の歴史を紹介しながら説明することにします。
幕末明治の日本をとりまく19 世紀後半の世界は大西洋でも太平洋でも人口移動の巨大なうねりに翻弄されていました。二人の生涯もまたユダヤ人を含む世界大的な移民の流れに影響を受けたのですから、そこには20 世紀を準備した何かがあったはずです。手がかりを探ってゆきましょう。
説明はビジュアルに絵や写真をお見せしながら進めますので、予備知識は必要ありません。またシフの伝記は英文ですが、すべて日本語で意味を取るので英語力も不要です。時空を超えた愉快な想像力のみお持ちください。

【講座スケジュール】
第1回10月13日(火) ヨーロッパ移民とユダヤ人の移動
詳細：ヨーロッパ移民／ユダヤ移民／離散／帝政ロシア／抑圧／帰還／マンハッタンのユダヤ人
第2回10月20日(火) シフの伝記
詳細：ドイツのユダヤ人／ニューヨークへ／高橋との出会い
第3回10月27日(火) 高橋是清の自伝
詳細：横浜の悪ガキ／回想のサンフランシスコ／芸者への思い／日露戦費調達
第4回11月10日(火) 再会
詳細：シフ日本へ／再会／高橋の娘、米国留学
第5回11月17日(火) 移民の世紀の幕末明治
詳細：その後の高橋とシフ／一枚の写真／移民の世紀の幕末明治

名前	藤村 是清
肩書き	神奈川大学等非常勤講師
プロフィール	専門は移動・移民研究。大学中退。横浜の造船所で電気溶接工として14 年間勤めたのち勉強を再開、英国に留学し修士号取得(1991 年MA、ケント大学)。主要論考に「還流的労働移動の社会的条件」(『近代世界の歴史像』世界書院)、「華僑送出4 港の旅客統計分析に基づく中国人移民サイクルの再検討」(前後篇、『華僑華人研究』9-10 号)。