講座詳細情報
申し込み締切日:2014-05-23 / その他教養 / 学内講座コード:14A1611501
山と日本人 “カミ”と“ホトケ”の民俗学(神奈川大学大学院歴史民俗資料学研究科主催講座2)
- 開催日
- 6月 6日(金)、 6月13日(金)、 6月20日(金)、 6月27日(金)、 7月 4日(金)
- 講座回数
- 5回
- 時間
- 10:30~12:00
- 講座区分
- 前期
- 入学金
- -
- 受講料
- 8,000円
- 定員
- 30
- その他
- 7200(※料金は、神奈川大学生・卒業生等および横浜市交流協議会加盟大学在学生に適用される料金です)
- 補足
※この講座の申し込みは既に締め切りました。
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講座詳細
【講座内容】
石川啄木は「ふるさとの山に向かいていうことなし ふるさとの山はありがたきかな」と詠んだ。日本人は山に対し慈母に抱かれるイメージを持つようである。田に水をもたらす水分(みくまり)・作神さま、死後におもむく霊山、一人前になるための登拝など、山は異界であるとともに命の再生の場と考えられてきたといえる。日本人にとって山とはなんなのかを樹木・塚信仰から山の宗教・修験道まで含めて民俗学的な総論を試みてみたい。近年の、中高年登山ブーム、富士山のユネスコ文化遺産登録の意味などについてもその背景をトピック的に取り上げてみたい。“山”の民俗をとおしての歴史民俗資料学の入門講座としたい。
【講座スケジュール】
第1回 6月 6日(金) 草木国土悉皆成仏 ―宮崎駿『もののけ姫』の世界―
詳細:宮崎作品には基調に木にも命が宿るとの樹霊信仰が一貫して流れているが、「もののけ姫」で監督は「照葉樹林文化」と「職人」論を土台に日本民俗文化の構造にかかわる重要な課題、女性の地位、差別と穢れになどについての問題を扱っている。
第2回 6月13日(金) 十三仏信仰の成立 ―山中他界観念と修験道―
詳細:柳田國男は「先祖の話」で祖霊を孤独にすると仏教嫌いを表明しているが、仏教が日本の葬送・他界観念に与えた影響は大きい。十三仏信仰はまさに日本的仏教民俗の創成ともいえ、その成立には山中他界観を体系化した修験道の関与がうかがわれる。
第3回 6月20日(金) 宝からは田から ―福田思想と飯豊山信仰―
詳細:日本には束稲山・米山・飯盛山など、稲・米・飯に由来した山名が多い。南東北地方では正月の餅をフクデというが、農民の豊作祈願を福田思想に結び付けて説いた飯豊修験の足跡を追う。東北は仏教と稲作が結合したまさにアジア文化を表象する地である。
第4回 6月27日(金) 母なる山 ―成人登拝習俗とお行屋―
詳細:折口信夫の真床覆衾論を敷衍して宮田登は、再生を表す色・白と命の更新の場といえる山の結合の意義を白山信仰で検証した。飯豊山は13歳から15歳の少年が行屋籠りをし、登拝して青年になる山であった。羽黒山の秋の峰入り、十界修行は死と再生を象徴する。
第5回 7月 4日(金) 女房は山の神 ―山姥と女人禁制―
詳細:女性が山に入ると気がふれる、山姥になる話が「遠野物語」はじめ語られ、山は女人禁制とされる。各地の名山の山頂近くに姥石が祀られ、女人結界を説く。一方、血盆経の配布、布橋灌頂で女人救済を説く立山などの山岳信仰もある。山、山の神と女性の関係を再考する。
石川啄木は「ふるさとの山に向かいていうことなし ふるさとの山はありがたきかな」と詠んだ。日本人は山に対し慈母に抱かれるイメージを持つようである。田に水をもたらす水分(みくまり)・作神さま、死後におもむく霊山、一人前になるための登拝など、山は異界であるとともに命の再生の場と考えられてきたといえる。日本人にとって山とはなんなのかを樹木・塚信仰から山の宗教・修験道まで含めて民俗学的な総論を試みてみたい。近年の、中高年登山ブーム、富士山のユネスコ文化遺産登録の意味などについてもその背景をトピック的に取り上げてみたい。“山”の民俗をとおしての歴史民俗資料学の入門講座としたい。
【講座スケジュール】
第1回 6月 6日(金) 草木国土悉皆成仏 ―宮崎駿『もののけ姫』の世界―
詳細:宮崎作品には基調に木にも命が宿るとの樹霊信仰が一貫して流れているが、「もののけ姫」で監督は「照葉樹林文化」と「職人」論を土台に日本民俗文化の構造にかかわる重要な課題、女性の地位、差別と穢れになどについての問題を扱っている。
第2回 6月13日(金) 十三仏信仰の成立 ―山中他界観念と修験道―
詳細:柳田國男は「先祖の話」で祖霊を孤独にすると仏教嫌いを表明しているが、仏教が日本の葬送・他界観念に与えた影響は大きい。十三仏信仰はまさに日本的仏教民俗の創成ともいえ、その成立には山中他界観を体系化した修験道の関与がうかがわれる。
第3回 6月20日(金) 宝からは田から ―福田思想と飯豊山信仰―
詳細:日本には束稲山・米山・飯盛山など、稲・米・飯に由来した山名が多い。南東北地方では正月の餅をフクデというが、農民の豊作祈願を福田思想に結び付けて説いた飯豊修験の足跡を追う。東北は仏教と稲作が結合したまさにアジア文化を表象する地である。
第4回 6月27日(金) 母なる山 ―成人登拝習俗とお行屋―
詳細:折口信夫の真床覆衾論を敷衍して宮田登は、再生を表す色・白と命の更新の場といえる山の結合の意義を白山信仰で検証した。飯豊山は13歳から15歳の少年が行屋籠りをし、登拝して青年になる山であった。羽黒山の秋の峰入り、十界修行は死と再生を象徴する。
第5回 7月 4日(金) 女房は山の神 ―山姥と女人禁制―
詳細:女性が山に入ると気がふれる、山姥になる話が「遠野物語」はじめ語られ、山は女人禁制とされる。各地の名山の山頂近くに姥石が祀られ、女人結界を説く。一方、血盆経の配布、布橋灌頂で女人救済を説く立山などの山岳信仰もある。山、山の神と女性の関係を再考する。
講師陣
名前 | 佐野 賢治 |
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肩書き | 神奈川大学大学院歴史民俗資料学研究科教授 |
プロフィール | 1950年庚寅年、静岡県生まれ。筑波大学大学院歴史人類学研究科修了後、愛知大学・筑波大学教員を経て、現在、神奈川大学大学院歴史民俗資料学研究科教授・日本常民文化研究所員。編著書に『虚空蔵菩薩信仰の研究』、『星の信仰』、『現代民俗学入門』、『西南中国納西族・彝族の民俗文化』、『ヒトから人へ』など。比較民俗研究会を主宰、日本民具学会長、農村文化研究所長、野外文化教育学会副会長などを務め、地域文化振興、野外文化教育、国内ユネスコ未来遺産活動などの実践に取り組む。 |