講座詳細情報
申し込み締切日:2013-07-10 / 心理:自然科学・環境:その他教養 / 学内講座コード:13A1612501
ノーベル賞の光と影 物理学賞をめぐって
- 開催日
- 7月11日(木)、 7月18日(木)、 7月25日(木)、
8月 1日(木)、 8月 8日(木)、 8月22日(木)、
8月29日(木)、 9月 5日(木)
- 講座回数
- 8回
- 時間
- 13:00~14:30
- 講座区分
- 前期
- 入学金
- -
- 受講料
- 12,500円
- 定員
- 50
- その他
- 11200(※料金は、神奈川大学生・卒業生等および横浜市交流協議会加盟大学在学生に適用される料金です)
- 補足
※この講座の申し込みは既に締め切りました。
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講座詳細
【講座内容】
ノーベル物理学賞の受賞者とその決定に至る経緯をめぐって、過去100年余りの歴史の中で、どのようなことが実際に起こったかにふれる。その中で、賞の対象となった研究課題と受賞者、それに選から外れた人びとの歩みをたどりながら、伝記的に見直す。各回ごとに、受賞の対象となった領域と、受賞者の業績と好運を逸した人たちのその後の歩みについて語る。学問発展の裏面史を探ってみることも、大切なことであろう。
【講座スケジュール】
第1回 7月11日(木) ノーベル兄弟とノーベル賞の由来
ノーベル家の3兄弟の中で、発明に関わる創造力に秀れていたアルフレッドは、火薬事業で成功し、遺産処理に当たって、1895年11月27日にノーベル賞設定を遺言し、創設された。基金は当時の金額で、3,128万クローネ余りであった。ノーベル賞の対象は物理学、化学、医学・生理学、文学、それに平和に対する貢献であった。
第2回 7月18日(木) ノーベル賞の歴史――物理学賞をめぐって
物理学賞の最初の受賞者は、X 線の発見者レントゲンであった。1901年のことである。当時、発見されたばかりの放射能についての研究が、物理学賞の対象となった。その後、物理学のいろいろな分野に受賞の対象が広がり、宇宙物理学方面の研究も選考の対象となった。
第3回 7月25日(木) ヘンリエッタ・リービットの仕事とは――宇宙の大きさを測るには
1912年に、一人の女性研究者が、この宇宙の大きさを測る指標となる手掛かり、いわば“宇宙の燈台”の役割を果たす天文現象を見出した。ノーベル賞選考委員会は、彼女の受賞についてハーバード大学に照合したが、拒絶された。その理由は…
第4回 8月 1日(木) ジョセリン・ベルとトニー・ヒューイッシュ――パルサーの発見
1967年秋に、ケンブリッジ大学大学院生であったジョセリン・ベルが、太陽風変調の観測結果の中に、ある星からの電波に奇妙な時間変動がみられ、それが恒星時でくり返すことを発見した。指導教授のヒューイッシュに連絡、詳しい理論的、実験的検討の結果、パルサー(pulsar)(F. ドレイクの命名)の存在が明らかとなった。
第5回 8月 8日(木) ヘールとデーヴィス――太陽の秘密を解く
太陽からの光に、この天体に磁気の存在を示す証拠が発見されたのは、1908年のことであった。ゼーマン効果と呼ばれる現象が、ヘールにより太陽光に認められたのである。太陽中心部ですすむ陽子・陽子連鎖反応の副産物であるニュートリノの地球における観測から、この反応の効率が明らかにされた。ヘールは受賞を逸し、デーヴィスは受賞について知ることがなかった。
第6回 8月22日(木) 宇宙物理学研究に賞が――ベーテ、チャンドラセカールほか
1967年の受賞者は、星のエネルギー源を解き明かしたベーテであった。その後、宇宙物理学における研究が、選考にのぼるようになった。チャンドラセカールは、星の一生の終わりに起こる崩壊に、質量限界のあることを明らかにした。宇宙空間の電場をめぐるアルフヴェンとチャプマンの論争は何であったか。
第7回 8月29日(木) 宇宙進化の謎を解く――ペンジーアスとウィルソン、そしてWMAP
宇宙創造は、ビッグバンと呼ばれる物理過程によるのか、それとも時間的に不変な定常宇宙が担うのかについて、1960年代初めまで、結着をつける観測結果はなかった。だが、1965年に、ペンジーアスとウィルソンが、ビッグバン説を支持する決定的な証拠をマイクロ波帯電波の観測から導いた。WMAPのデータは宇宙の年齢を決めた。
第8回 9月 5日(木) 素粒子物理学をめぐる人びと
物質の究極構造に迫る研究は、量子力学と相対論の確立により可能となった。物質の構成分として、陽子、中性子、電子ほかの素粒子の存在が明らかとなった。1935年には、陽子や中性子の間に働く力(核力)を担うパイオンが、我が国の湯川秀樹により予言された。素粒子物理学の誕生であった。
ノーベル物理学賞の受賞者とその決定に至る経緯をめぐって、過去100年余りの歴史の中で、どのようなことが実際に起こったかにふれる。その中で、賞の対象となった研究課題と受賞者、それに選から外れた人びとの歩みをたどりながら、伝記的に見直す。各回ごとに、受賞の対象となった領域と、受賞者の業績と好運を逸した人たちのその後の歩みについて語る。学問発展の裏面史を探ってみることも、大切なことであろう。
【講座スケジュール】
第1回 7月11日(木) ノーベル兄弟とノーベル賞の由来
ノーベル家の3兄弟の中で、発明に関わる創造力に秀れていたアルフレッドは、火薬事業で成功し、遺産処理に当たって、1895年11月27日にノーベル賞設定を遺言し、創設された。基金は当時の金額で、3,128万クローネ余りであった。ノーベル賞の対象は物理学、化学、医学・生理学、文学、それに平和に対する貢献であった。
第2回 7月18日(木) ノーベル賞の歴史――物理学賞をめぐって
物理学賞の最初の受賞者は、X 線の発見者レントゲンであった。1901年のことである。当時、発見されたばかりの放射能についての研究が、物理学賞の対象となった。その後、物理学のいろいろな分野に受賞の対象が広がり、宇宙物理学方面の研究も選考の対象となった。
第3回 7月25日(木) ヘンリエッタ・リービットの仕事とは――宇宙の大きさを測るには
1912年に、一人の女性研究者が、この宇宙の大きさを測る指標となる手掛かり、いわば“宇宙の燈台”の役割を果たす天文現象を見出した。ノーベル賞選考委員会は、彼女の受賞についてハーバード大学に照合したが、拒絶された。その理由は…
第4回 8月 1日(木) ジョセリン・ベルとトニー・ヒューイッシュ――パルサーの発見
1967年秋に、ケンブリッジ大学大学院生であったジョセリン・ベルが、太陽風変調の観測結果の中に、ある星からの電波に奇妙な時間変動がみられ、それが恒星時でくり返すことを発見した。指導教授のヒューイッシュに連絡、詳しい理論的、実験的検討の結果、パルサー(pulsar)(F. ドレイクの命名)の存在が明らかとなった。
第5回 8月 8日(木) ヘールとデーヴィス――太陽の秘密を解く
太陽からの光に、この天体に磁気の存在を示す証拠が発見されたのは、1908年のことであった。ゼーマン効果と呼ばれる現象が、ヘールにより太陽光に認められたのである。太陽中心部ですすむ陽子・陽子連鎖反応の副産物であるニュートリノの地球における観測から、この反応の効率が明らかにされた。ヘールは受賞を逸し、デーヴィスは受賞について知ることがなかった。
第6回 8月22日(木) 宇宙物理学研究に賞が――ベーテ、チャンドラセカールほか
1967年の受賞者は、星のエネルギー源を解き明かしたベーテであった。その後、宇宙物理学における研究が、選考にのぼるようになった。チャンドラセカールは、星の一生の終わりに起こる崩壊に、質量限界のあることを明らかにした。宇宙空間の電場をめぐるアルフヴェンとチャプマンの論争は何であったか。
第7回 8月29日(木) 宇宙進化の謎を解く――ペンジーアスとウィルソン、そしてWMAP
宇宙創造は、ビッグバンと呼ばれる物理過程によるのか、それとも時間的に不変な定常宇宙が担うのかについて、1960年代初めまで、結着をつける観測結果はなかった。だが、1965年に、ペンジーアスとウィルソンが、ビッグバン説を支持する決定的な証拠をマイクロ波帯電波の観測から導いた。WMAPのデータは宇宙の年齢を決めた。
第8回 9月 5日(木) 素粒子物理学をめぐる人びと
物質の究極構造に迫る研究は、量子力学と相対論の確立により可能となった。物質の構成分として、陽子、中性子、電子ほかの素粒子の存在が明らかとなった。1935年には、陽子や中性子の間に働く力(核力)を担うパイオンが、我が国の湯川秀樹により予言された。素粒子物理学の誕生であった。
講師陣
名前 | 桜井 邦朋 |
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肩書き | 神奈川大学名誉教授、早稲田大学理工学術院総合研究所客員顧問研究員 |
プロフィール | 1956年京都大学理学部卒業。理学博士。1968年NASAゴダード宇宙飛行センター上級研究員。神奈川大学では工学部長、学長を歴任、2004年より現職。専門分野は高エネルギー宇宙物理学、太陽物理学、宇宙空間物理学。主要著書に『生命はどこからきたか─宇宙物理学からの視点』(御茶の水書房)、『天才たちの宇宙像』『夏が来なかった時代』(以上、吉川弘文館)、『宇宙物理学』(共立出版)、『日本語は本当に「非論理的」か』(祥伝社)、『新版 天文学史』(ちくま学芸文庫、筑摩書房)、『ニュートリノ論争はいかにして解決したか』(講談社)、『移り気な太陽―太陽活動と地球環境との関わり』(恒星社厚生閣)など。 |