講座詳細情報
申し込み締切日:2024-02-14 / 宗教・哲学:政治 / 学内講座コード:”2341Z002
プラトンと民主主義 古代ギリシャ政治哲学の一断面
主催:東京都立大学オープンユニバーシティ[東京都立大学 飯田橋キャンパス(東京都)]
問合せ先:
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東京都公立大学法人 東京都立大学
東京都立大学オープンユニバーシティ
TEL: 03-3288-1050
FAX: 03-3264-1863
ou-kouza@jmj.tmu.ac.jp
https://www.ou.tmu.ac.jp/web/
〒102-0072 東京都千代田区飯田橋3-5-1東京区政会館3階
- 開催日
- 2月24日(土)
- 講座回数
- 1回
- 時間
- 10:00~11:30
- 講座区分
- 1回もの
- 入学金
- -
- 受講料
- 1,000円
- 定員
- 30
- 補足
講座詳細
【講座内容】
プレミアム講座は東京都立大学教員の専門的かつユニークな研究の内容を紹介する講座です。興味のある方々に受講していただけるよう特別価格で提供しており、入会金も不要(一般の方)です。高校生は無料で受講できます。尚、当講座に関しては事前のキャンセルの場合でも受講料は返却いたしませんのでご了承願います。
民主主義は私たちが暮らしている世界では当たり前の政治体制です。その理念である自由と平等には至高の価値が認められています。しかし紀元前5・4世紀のギリシャ・アテネには、生まれたての民主主義を徹底的に批判した哲学者がいました。プラトン(前427-347年)です。彼は師ソクラテスを処刑したアテネ民主政を念頭に置いて、民主主義がどのような政体でどんな欠陥をもっているのかを問いました。この講義では、プラトンの政治哲学の一断面を『国家』と『政治家』を読みながら紹介します。今日の民主主義がどこへ向かっているのか、どうしたらあるべき民主主義を確立できるのかを、源泉に遡って考えてみましょう。
1.なぜ私たちは自由と平等が大切だと思うのか
『国家』は正義とは何か、正しい人は幸福かを問い、私たちが正義をどう捉えているかを反省することから始めます。願望がかなうことが幸福なら、何でもやりたいことができる自由はとても大切。でも、皆が自由ばかりを要求していたら対立が生まれて、かえってやりたいことができなくなる。自由を平等に配分する正義が必要になるゆえんです。プラトンはこうした「正義の社会契約説」を支える、自由と平等のうつろな内実を暴き出します。
2.「洞窟の比喩」
『国家』には哲学史上もっとも有名な比喩が登場します。私たちは子どもの頃から「洞窟」(=社会)内で幸福・正義・自由・平等などをめぐる常識を注入されています。民主主義は「文化」とその担い手を使って効果的に「道徳教育」という名の国民教育を行うのです。かろうじて哲学だけが人々を「洞窟」から外へと導きだし、真実の学びを経験させます。「洞窟」に戻った哲学者の善き教導があれば、民主主義は鍛え直しのわずかな可能性をもてるでしょう。
3.美しい民主主義 vs. 醜い民主主義
『政治家』は、哲学者による知の統治が難しい場合の「次善の策」を論じます。民主主義は、法を軽視する「人の支配」と法を遵守する「法の支配」の観点から分類されます。民主主義を生きる私たちが今なすべきは、無知な政治家の「人の支配」に対抗して、哲学者とともにすぐれた法を探索しながら、一人一人が哲学的素養を高めて、本当の意味で「民」が主体の法治国家を営むこと、となりましょう。プラトンが語る、険しくも美しい希望の途です。
※資料はこちらで用意します。哲学の古典であるプラトン『国家』(岩波文庫、上・下)はドラマチックで思考を刺激する作品なので、ぜひとも読んでみてください。
※高校生は専用ページからお申し込みください。
【講座スケジュール】
第1回 02-24 10:00~11:30
プレミアム講座は東京都立大学教員の専門的かつユニークな研究の内容を紹介する講座です。興味のある方々に受講していただけるよう特別価格で提供しており、入会金も不要(一般の方)です。高校生は無料で受講できます。尚、当講座に関しては事前のキャンセルの場合でも受講料は返却いたしませんのでご了承願います。
民主主義は私たちが暮らしている世界では当たり前の政治体制です。その理念である自由と平等には至高の価値が認められています。しかし紀元前5・4世紀のギリシャ・アテネには、生まれたての民主主義を徹底的に批判した哲学者がいました。プラトン(前427-347年)です。彼は師ソクラテスを処刑したアテネ民主政を念頭に置いて、民主主義がどのような政体でどんな欠陥をもっているのかを問いました。この講義では、プラトンの政治哲学の一断面を『国家』と『政治家』を読みながら紹介します。今日の民主主義がどこへ向かっているのか、どうしたらあるべき民主主義を確立できるのかを、源泉に遡って考えてみましょう。
1.なぜ私たちは自由と平等が大切だと思うのか
『国家』は正義とは何か、正しい人は幸福かを問い、私たちが正義をどう捉えているかを反省することから始めます。願望がかなうことが幸福なら、何でもやりたいことができる自由はとても大切。でも、皆が自由ばかりを要求していたら対立が生まれて、かえってやりたいことができなくなる。自由を平等に配分する正義が必要になるゆえんです。プラトンはこうした「正義の社会契約説」を支える、自由と平等のうつろな内実を暴き出します。
2.「洞窟の比喩」
『国家』には哲学史上もっとも有名な比喩が登場します。私たちは子どもの頃から「洞窟」(=社会)内で幸福・正義・自由・平等などをめぐる常識を注入されています。民主主義は「文化」とその担い手を使って効果的に「道徳教育」という名の国民教育を行うのです。かろうじて哲学だけが人々を「洞窟」から外へと導きだし、真実の学びを経験させます。「洞窟」に戻った哲学者の善き教導があれば、民主主義は鍛え直しのわずかな可能性をもてるでしょう。
3.美しい民主主義 vs. 醜い民主主義
『政治家』は、哲学者による知の統治が難しい場合の「次善の策」を論じます。民主主義は、法を軽視する「人の支配」と法を遵守する「法の支配」の観点から分類されます。民主主義を生きる私たちが今なすべきは、無知な政治家の「人の支配」に対抗して、哲学者とともにすぐれた法を探索しながら、一人一人が哲学的素養を高めて、本当の意味で「民」が主体の法治国家を営むこと、となりましょう。プラトンが語る、険しくも美しい希望の途です。
※資料はこちらで用意します。哲学の古典であるプラトン『国家』(岩波文庫、上・下)はドラマチックで思考を刺激する作品なので、ぜひとも読んでみてください。
※高校生は専用ページからお申し込みください。
【講座スケジュール】
第1回 02-24 10:00~11:30
備考
単位数:0単位
※定員の充足状況の変化で、締切前でも受付終了・開講中止等になる場合があります。お申込の際は、リンク先の主催校のホームページをご確認下さい。
※定員の充足状況の変化で、締切前でも受付終了・開講中止等になる場合があります。お申込の際は、リンク先の主催校のホームページをご確認下さい。
講師陣
名前 | 栗原 裕次 |
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肩書き | 東京都立大学 人文社会学部 教授 |
プロフィール | 1987年国際基督教大学卒業。1989年東京都立大学人文科学研究科修士課程修了。2000年カリフォルニア大学アーヴァイン校Ph.D.取得。東京学芸大学教員を経て、現在、東京都立大学人文社会学部人文学科哲学教室所属。専門は西洋古代哲学、特にプラトンの存在論・認識論・倫理学。著書に『イデアと幸福』(知泉書館、2013年)、『プラトンの公と私』(知泉書館、2016年)、共著に『世界哲学史1』(ちくま新書、2020年)、『西洋古典学のアプローチ』(晃洋書房、2021年)がある。 |