講座詳細情報
申し込み締切日:2019-04-04 / その他教養 / 学内講座コード:19120002
はじめての「民俗学」 「伝承の器」としての人間を考える
- 開催日
- 4月12日(金)、5月17日(金)、6月14日(金)、7月12日(金)、8月 9日(金)
- 講座回数
- 5回
- 時間
- 13:00~14:30
- 講座区分
- 前期
- 入学金
- 3,000円
- 受講料
- 12,000円
- 定員
- 50
- 補足
※この講座の申し込みは既に締め切りました。
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講座詳細
【講座趣旨】
「人間は伝承の器である」というのが、私が久しく心に温めているテーマであり、持論である。伝承とは、詳しく言えば「文化伝承」のこと。文化には人間が人間として生きるためのさまざまなものが含まれているが、食生活・生活習慣・説話・言語・信仰などなどである。この世界で人間だけが、遺伝子=DNA以外の文化(形質)を受け渡すシステムを持っている動物だ。「伝承(文化)」を親等から受け取り、次の子どもたちに手渡していくのが人間ということになる。民俗学こそが文化を継承する日常的な人間、つまり「伝承の器」としての人間を真正面から扱っている唯一の学問なのである。民俗学の大きなミッションであり、百年ほど前、そのことに日本人として最初に気付いたのが柳田国男であった。今その民俗学が存亡の危機に瀕している。日本の民俗学とその成果、そして学問的役割について考えてみたい。まずは柳田国男の学問形成から。次に『遠野物語』の読み解き、日本民俗学が取り扱ってきた多くのテーマ、例えば「田の神」「依り代」「祖先信仰」などについて考える。
【特記事項】
※講義の進み具合により、スケジュール通りに進まない場合があります。
【講義概要】
第1回 4月12日(金) 民俗学と伝承学
民俗学というと、民話やひと昔まえの人びとの日常生活を調査、研究する学問と誰もが思っている。しかし本来、柳田が考えていたのは「実用」の学問であった。歴史学と袂を分かった柳田は、いったい何を目指していたのか。
第2回 5月17日(金) フォークロアのまなざし
民俗学はなんのためにあるのか、歴史学や人類学とは何が違うのか。宮崎駿「もののけ姫」を例として、人間の伝承世界について考察する。伝承世界と歴史世界、言葉の世界と文字の世界が重層している人間世界について考える。
第3回 6月14日(金) 「過疎」と民俗学・伝承学
現在日本では「過疎」が急激に進行している。過疎問題は一部の地方における人口減少の問題ではない。日本の文化伝承の消滅に直接つながる問題である。民俗学と私たちはそうした事態にどう応えるのか?
第4回 7月12日(金) 『蝸牛考』と柳田の文化伝承論
昭和の初期に柳田が著した実験的な著作『蝸牛考』。その紹介から、民俗学の方法論と伝承学の思想を探り出す。文化はどのようにして、誰によって伝承されるのか?
第5回 8月 9日(金) 『遠野物語』の誕生
江戸時代と近代、西日本と東日本、日本と西洋など、柳田国男の辿ってきた世界は絶えず「境界」であった。自ら進んで境界に立つその姿勢から彼の新しい視点は生まれてきた。『遠野物語』誕生までの国男の生涯を見渡しておこう。
「人間は伝承の器である」というのが、私が久しく心に温めているテーマであり、持論である。伝承とは、詳しく言えば「文化伝承」のこと。文化には人間が人間として生きるためのさまざまなものが含まれているが、食生活・生活習慣・説話・言語・信仰などなどである。この世界で人間だけが、遺伝子=DNA以外の文化(形質)を受け渡すシステムを持っている動物だ。「伝承(文化)」を親等から受け取り、次の子どもたちに手渡していくのが人間ということになる。民俗学こそが文化を継承する日常的な人間、つまり「伝承の器」としての人間を真正面から扱っている唯一の学問なのである。民俗学の大きなミッションであり、百年ほど前、そのことに日本人として最初に気付いたのが柳田国男であった。今その民俗学が存亡の危機に瀕している。日本の民俗学とその成果、そして学問的役割について考えてみたい。まずは柳田国男の学問形成から。次に『遠野物語』の読み解き、日本民俗学が取り扱ってきた多くのテーマ、例えば「田の神」「依り代」「祖先信仰」などについて考える。
【特記事項】
※講義の進み具合により、スケジュール通りに進まない場合があります。
【講義概要】
第1回 4月12日(金) 民俗学と伝承学
民俗学というと、民話やひと昔まえの人びとの日常生活を調査、研究する学問と誰もが思っている。しかし本来、柳田が考えていたのは「実用」の学問であった。歴史学と袂を分かった柳田は、いったい何を目指していたのか。
第2回 5月17日(金) フォークロアのまなざし
民俗学はなんのためにあるのか、歴史学や人類学とは何が違うのか。宮崎駿「もののけ姫」を例として、人間の伝承世界について考察する。伝承世界と歴史世界、言葉の世界と文字の世界が重層している人間世界について考える。
第3回 6月14日(金) 「過疎」と民俗学・伝承学
現在日本では「過疎」が急激に進行している。過疎問題は一部の地方における人口減少の問題ではない。日本の文化伝承の消滅に直接つながる問題である。民俗学と私たちはそうした事態にどう応えるのか?
第4回 7月12日(金) 『蝸牛考』と柳田の文化伝承論
昭和の初期に柳田が著した実験的な著作『蝸牛考』。その紹介から、民俗学の方法論と伝承学の思想を探り出す。文化はどのようにして、誰によって伝承されるのか?
第5回 8月 9日(金) 『遠野物語』の誕生
江戸時代と近代、西日本と東日本、日本と西洋など、柳田国男の辿ってきた世界は絶えず「境界」であった。自ら進んで境界に立つその姿勢から彼の新しい視点は生まれてきた。『遠野物語』誕生までの国男の生涯を見渡しておこう。
備考
【教材】
配付資料
※日程、講座内容の変更、休講・補講等がある場合があります。 お申込の際は、リンク先の主催校のホームページをご確認下さい。
配付資料
※日程、講座内容の変更、休講・補講等がある場合があります。 お申込の際は、リンク先の主催校のホームページをご確認下さい。
講師陣
名前 | 水谷 類 |
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肩書き | 元明治大学文学部兼任講師 |
プロフィール | 日本宗教史・文化史、および民俗学専攻。明治大学大学院博士後期課程修了。博士(史学)。著書:『廟墓ラントウと現世浄土の思想』、『墓前祭祀と聖所のトポロジー』(雄山閣、2009年)、『中世の神社と祭り』(岩田書院、2010年刊)、『墓制・墓標研究の再構築―歴史・考古・民俗学の現場から―』(岩田書院、2010年刊)、『村落・宮座研究の継承と展開』(岩田書院、2011刊)。一宮制、神社と祭り、民間芸能者、遊行の宗教者などを研究対象としながら、日本人の精神世界の形成について考えています。 |
名前 | 山田 朗 |
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肩書き | コーディネータ、明治大学文学部教授、平和教育登戸研究所資料館館長 |
プロフィール | 1956年大阪府生まれ。東京都立大学大学院博士課程単位取得退学。博士(史学)。日本現代史・軍事史を専攻。主な著書に、『大元帥・昭和天皇』(新日本出版社)、『兵士たちの戦場』(岩波書店)、『日本の戦争』(新日本出版社)、『軍備拡張の近代史』(吉川弘文館)、『世界史の中の日露戦争』(吉川弘文館)などがある。 |