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講座詳細情報

申し込み締切日:2016-05-03 / 日本史 / 学内講座コード:16120029

「戦争と虐殺」の時代に、新しい「責任の歴史学」の構築を考える 戦争と平和シリーズ

主催:明治大学リバティアカデミー明治大学リバティアカデミー 駿河台キャンパス(東京都)]
問合せ先:明治大学リバティアカデミー事務局 TEL:03-3296-4423
開催日
5月11日(水)、 5月18日(水)、 5月25日(水)、 6月 1日(水)、 6月 8日(水)
講座回数
5回
時間
17:00~18:30
講座区分
前期 
入学金
3,000円
受講料
12,000円
定員
50
補足
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※この講座の申し込みは既に締め切りました。

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講座詳細

【講座趣旨】
「戦争と虐殺」の20世紀には、約1億8千万人が殺されたが、今世紀に入ってもその傾向は止まらない。A(核)兵器は、広島・長崎に落とされたが、多数の市民を無差別殺戮したアメリカを告発する声は未だ微弱である。B(細菌)兵器は、731部隊で開発され、日本は細菌戦を実施した最初の国となった。第1次世界大戦中に独仏英で開発・使用されたC(毒ガス)兵器は、悲惨な結果を生んだためその後使用されなかったが、日本だけが15年戦争中に中国戦線で使用した。A兵器の延長戦上に原発があり、フクシマ3・11により人類史は「緩慢な大量虐殺」の時代に入った。と同時に、専門家による歴史学も崩壊した。市民ひとりひとりが歴史家になる、ということを共に考えたい。

【講義概要】
第1回 5月11日(水)
「戦争と虐殺」の20世紀はA(核)兵器、B(細菌)兵器、C(毒ガス)兵器の出現した世紀である。20世紀に1億8千万人が虐殺された大量虐殺の社会史を辿り、トルコによるアルメニア人虐殺(1915年)、731部隊、ノグンリ虐殺(1950年)を具体例として取り上げる。虐殺の比較社会史の必要性。

第2回 5月18日(水)
核兵器の延長線上にある原発、日本への導入と3・11フクシマ事故。その政治的、経済的、社会的後遺症について論じる。3・11フクシマにより人類史は「緩慢な大量虐殺」の時代に「本格的」に入ったと捉える(「序曲的」には広島、長崎であるが)。またフクシマにより従来の学問体系は経済学も歴史学も崩壊したが、その自覚がないこと自体が深刻な問題。

第3回 5月25日(水)
日本帝国の植民地支配。その理論と歴史。その結果として「歴史認識」の諸問題ー南京虐殺、731部隊、強制連行・強制労働等々の問題が生じている。そのなかで特に、731部隊と細菌戦に焦点を当てて、その実態を明らかにする。被害者が原告として提訴した「補償裁判」、そして現在進行中の「情報公開裁判」にも言及。

第4回 6月 1日(水)
戦後補償裁判が2007年5月、最高裁で一斉に原告敗訴になり、また、日本政府が「歴史認識」の諸問題の解決から逃避しえている根源的な理由は、日本では少数を除いて誰も1945年以降「戦争責任」を取らなかったことにある。このことが戦後日本の民主主義の脆弱性・不安定性を生み出した。敗戦から数年遅れるが、真に戦争責任を負ったのは中国帰還者連絡会(中帰連)のグループ。戦犯史における稀有な撫順戦犯管理所における寛大政策にも言及。

第5回 6月 8日(水)
視野狭窄になり「知識」のみを追求する専門家にもはや頼ることができないとすれば、21世紀には市民ひとりひとりが歴史家、科学者にならねばならない。イギリスの「歴史の仕事場運動」にはヒントがある。そうでないと人間のいのちが、存在そのものが、危うくされる。構築すべきものを「責任の歴史学」と名づければ、それはヴィーコのいう「共通感覚」(コモン・センス)をもちうる市民の「知恵」によって構築しうるのであって、デカルトの「個人感覚」を起点とする近代合理主義(「知識」)は限界に達している。言い換えればデカルトの要素還元主義ではなく、ヴィーコのいう「インゲニウム」により全体性をつかむことが必要。それは理性とパッション(「受苦」の意味も包摂)の統一として歴史や社会を捉えることでもある。

備考

【教材】
レジュメ資料

講師陣

名前 松村 高夫
肩書き 慶応義塾大学名誉教授
プロフィール 1942年横浜市生まれ。1969年慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程終了。1976年英国ウォーリック大学Ph.D.in Social History取得。2007年3月まで慶應義塾経済学部教授。同年4月から同大学名誉教授。FRHisS英国王立歴史協会フェロウ。主要著書:The Labour Aristocracy Revisited, MUP, 1983/『イギリスの鉄道争議と裁判ータフ・ヴェイル判決の労働史』ミネルヴァ書房、2005年)/『論争 731部隊』晩声社、1994年/『日本帝国主義下の植民地労働史』(不二出版、2007年)/ 『戦争と疫病-731部隊のもたらしたもの』(共著 本の友社、1997年)/ 『大量虐殺の社会史-戦慄の20世紀』(共著 ミネルヴァ書房、2007年)/『裁判と歴史学―731細菌戦部隊を法廷から見る』(共著現代書館、2007年)
名前 生方 卓
肩書き コーディネータ・明治大学政治経済学部准教授
プロフィール 社会思想史専攻。研究テーマは、ヘーゲルとヘーゲル学派の社会哲学、環境哲学等、共著に『ドイツ社会主義研究』、『経済思想の源流』など。
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