講座詳細情報
申し込み締切日:2011-10-29 / その他教養 / 学内講座コード:11220035
アイヌ文化の伝承と理解ー多文化共生の未来を見据えながらー
- 開催日
- 11月 5日(土)、11月12日(土)、11月19日(土)、11月26日(土)、12月 3日(土)
- 講座回数
- 5回
- 時間
- 17:00~18:30
- 講座区分
- 後期
- 入学金
- 3,000円
- 受講料
- 15,000円
- 定員
- 30
- 補足
※この講座の申し込みは既に締め切りました。
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講座詳細
【講座趣旨】
北は北海道から南は沖縄まで、長大な日本列島には実に多様な文化が育まれてきました。北端のアイヌ民族は、自然世界にも生活用具にも神性(カムイ)を感じ取る、言い換えるなら、人間の心が多様な物の世界と取り結ぶ繊細な関係を見直す手掛かりとなる文化を創出し伝承してきました。それは、北海道だけでなく、首都圏やその他の地域のアイヌたちに脈々と受け継がれ、いまに生きています。この講座はアイヌたちが、そしてアイヌに心を寄せる人たちが、日本国内における異文化への理解と民族共生の願いを手渡していくリレー式の講座です。
【講義概要】
第1回 11月 5日(土) 多文化共生のシンボルとしてのイウォル回復へ向けて
カムイとアイヌの共生空間というべきイウォルの意味を、自然と人間と言葉の観点から探ります。さらにそれを琉球文化の成り立ちとも重ねながら、長大な日本列島にあってしかるべき多文化共生の未来について考えます。
第2回 11月12日(土) カムイに捧げる踊りと祈り――アイヌ文化の伝承とウタリ・カリプ(仲間の輪)を求めて
アイヌの伝える踊りには、自然や動物の様子や日々の労働を模したものから、カムイ(神々)に捧げるものまで多様なものがあります。その中から、私が伝承を受けた舞踊に関して、実技を混じえつつ語ります。
第3回 11月19日(土) アイヌの文化と言語の伝承――北海道、様似での活動を中心に
父と母からアイヌ文化を受け継ぐということについて、北海道における文化伝承のあり方についてお話します。弁論大会やアイヌ語劇、アイヌ語教室といった取り組みについてご紹介し、アイヌ語の今について考えます。
第4回 11月26日(土) 民族共生の手掛かりを探して(北海道でのフィールドワークを振り返りながら)
北海道/首都圏のアイヌ民族との関わりの中から、「多文化共生」という語がもたらす光と闇について考えます。私たちが抱きがちな他者に対するイメージが崩れた時、「共生」はいかにしてはじまるのでしょうか。
第5回 12月 3日(土) 古布絵(刺繍)が語るアイヌの世界観??民族共生の願いを縫い取りながら
アイヌの伝統的な民族衣装や木彫品には独特の紋様が施されますが、その紋様を活かす刺繍を学び、受け継ぐ中で考えたことをお話します。また、私たちのこれまでの歩みと未来を見据えた展望についてお伝えします。
北は北海道から南は沖縄まで、長大な日本列島には実に多様な文化が育まれてきました。北端のアイヌ民族は、自然世界にも生活用具にも神性(カムイ)を感じ取る、言い換えるなら、人間の心が多様な物の世界と取り結ぶ繊細な関係を見直す手掛かりとなる文化を創出し伝承してきました。それは、北海道だけでなく、首都圏やその他の地域のアイヌたちに脈々と受け継がれ、いまに生きています。この講座はアイヌたちが、そしてアイヌに心を寄せる人たちが、日本国内における異文化への理解と民族共生の願いを手渡していくリレー式の講座です。
【講義概要】
第1回 11月 5日(土) 多文化共生のシンボルとしてのイウォル回復へ向けて
カムイとアイヌの共生空間というべきイウォルの意味を、自然と人間と言葉の観点から探ります。さらにそれを琉球文化の成り立ちとも重ねながら、長大な日本列島にあってしかるべき多文化共生の未来について考えます。
第2回 11月12日(土) カムイに捧げる踊りと祈り――アイヌ文化の伝承とウタリ・カリプ(仲間の輪)を求めて
アイヌの伝える踊りには、自然や動物の様子や日々の労働を模したものから、カムイ(神々)に捧げるものまで多様なものがあります。その中から、私が伝承を受けた舞踊に関して、実技を混じえつつ語ります。
第3回 11月19日(土) アイヌの文化と言語の伝承――北海道、様似での活動を中心に
父と母からアイヌ文化を受け継ぐということについて、北海道における文化伝承のあり方についてお話します。弁論大会やアイヌ語劇、アイヌ語教室といった取り組みについてご紹介し、アイヌ語の今について考えます。
第4回 11月26日(土) 民族共生の手掛かりを探して(北海道でのフィールドワークを振り返りながら)
北海道/首都圏のアイヌ民族との関わりの中から、「多文化共生」という語がもたらす光と闇について考えます。私たちが抱きがちな他者に対するイメージが崩れた時、「共生」はいかにしてはじまるのでしょうか。
第5回 12月 3日(土) 古布絵(刺繍)が語るアイヌの世界観??民族共生の願いを縫い取りながら
アイヌの伝統的な民族衣装や木彫品には独特の紋様が施されますが、その紋様を活かす刺繍を学び、受け継ぐ中で考えたことをお話します。また、私たちのこれまでの歩みと未来を見据えた展望についてお伝えします。
備考
【教材】
各講師により民具・祭具・楽器・画像&映像の提示&演奏プリント資料など。市販教材は用いない。
各講師により民具・祭具・楽器・画像&映像の提示&演奏プリント資料など。市販教材は用いない。
講師陣
名前 | 浜口 稔 |
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肩書き | 明治大学理工学部教授 |
プロフィール | メディア史的観点から言語思想・百科学・図書館史を研究。英哲学者オラフ・ステープルドンによる幻想SFの翻訳と研究。いつ頃からか日本列島南端の琉球弧を博物誌的に眺め渡す試みに着手し、さらに北端のアイヌ世界に観入しようと手探りを続けている。著書に詩集『綾蝶』(筆名、湊禎佳)、『言語機械の普遍幻想』、訳書にオラフ・ステープルドン『スターメイカー』など。 |
名前 | 平田 幸 |
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肩書き | アイヌ文化アドヴァイザー、レラの会会員 |
プロフィール | アイヌ文化伝承者・山本多助を祖父に持ち、自らも舞踊等の伝承を受け、アイヌ文化伝承活動を行う。首都圏のアイヌ民族グループ「レラの会」会員であり、昨年閉店したアイヌ料理店「レラ・チセ」にかかわってきた。今は、その再興を願う。アイヌ文化アドヴァイザーとして、様々なイベントでアイヌ文化の普及活動に従事。アイヌ紋様をアレンジした現代的な刺繍作品の製作を行う。 |
名前 | 熊谷 かね |
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肩書き | 様似民族文化保存会会長 |
プロフィール | 北海道・様似生まれ。アイヌ文化伝承者の両親の影響下、口承文芸、歌舞、料理、刺繍等の文化伝承活動に従事。母が残したテープ等から口承文芸を学び、平成14年アイヌ語弁論大会(「イタカンロー」)最優秀賞受賞。平成18年度「アイヌ語ラジオ講座」講師。また父親の伝承を研究し、『岡本総吉の伝承』(アイヌ文化振興・研究推進機構)をまとめている。 |
名前 | 関口 由彦 |
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肩書き | 成城大学民俗学研究所研究員、東京情報大学非常勤講師 |
プロフィール | 専門は文化人類学。エスニシティ、多文化共生、ライフストーリー、対話をテーマとし、首都圏/北海道のアイヌ民族をフィールドワークする。著作に、『首都圏に生きるアイヌ民族――「対話」の地平から』、「日常的な多文化共生への試論」(関口由彦編『異文化を食べる・聴く・書く・教えられる』)、「近代日本人類学とアイヌ/コロボックル人種表象」(山路勝彦編『日本の人類学』)など。 |
名前 | 宇梶 静江 |
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肩書き | アイヌ・ウタリ連絡会代表 |
プロフィール | 北海道・浦河出身。1972年に朝日新聞紙上で、アイヌ民族の運動を呼びかける。長年、民族の権利回復のために活動し、現在は、「アイヌ・ウタリ連絡会」の代表をつとめる。アイヌ紋様の刺繍のわざを活かした「古布絵」作家として、また詩人として活躍中。「古布絵」を用いた絵本を出版するとともに、個展を開いている。今年それらの活動が認められ、第45回吉川英治文化賞を受賞。 |