大学公開講座のセカンドアカデミー

ケイト・ショパンの『目覚め』（1899）は主人公エドナの自我の目覚めの物語である。19世紀、豊かな中産階級の女性は一見何不自由ない生活を営んではいたが、夫の所有物でしかなく、常に夫や子供のために自己犠牲を強いられていた。そんな家庭婦人のひとりであるエドナがある夏、避暑地で知り合った年下の男性に恋をすることによって、それまでの安易な自分の生き方に疑問を抱き始める。出版当時はエドナの自己探求、自己解放の願いはショックをもって受け取られ、世評の厳しい非難を浴び、ショパンは筆を折らざるを得なかった。だが1970年代のフェミニズムの運動とともに読み直しが行われ、今では必読の書となっている。今日女性は自分の生き方を選択できる時代になったが、この作品を読んで、その意味の大きさをを改めて考えてみたい。
読みやすい英語で、140ページほどの中編なので、ゆとりをもって読み進めたい。

名前	藤野　早苗
肩書き	本学名誉教授
プロフィール	ふじの　さなえ　津田塾大学博士課程満期退学。King's College London 大学院修士課程終了M.A.　アメリカ文学専攻。現在、恵泉女学園大学名誉教授。著書に『ヘンリー・ジェイムズのアメリカ』（彩流社）、『ポーと雑誌文学』（共著、彩流社）、『アメリカ文学にみる女性と仕事』（共著、彩流社）、『アメリカ文学にみる女性開拓者たち』（共著、彩流社）ほか。訳書：エレン・グラスゴウ『不毛の大地』（共訳、荒地出版社）