大学公開講座のセカンドアカデミー

【講座内容】
『蜻蛉日記(かげろうにっき)』の作者といえば、その本名がわからず、一般に「右大将道綱母(うだいしょうみちつなのはは)」「藤原道綱母(ふじわらのみちつなのはは)」などと呼ばれている貴族女性です。彼女は、一条(いちじょう)天皇の時代に摂政太政大臣(せっしょうだじょうだいじん)として絶大な権力を握ることになる藤原兼家(かねいえ)と結婚して、一人の男の子を産みました。それが、長じて「右大将道綱」となる、藤原道綱です。
この道綱は、母親に溺愛(できあい)されて育ちます。実は、彼の母親は、兼家の妻といっても、兼家の複数の妻たちの一人に過ぎなかったため、結婚生活に満足できておらず、その不満を吐き出すかのように、一人息子に多大な愛情を注ぎ込んだのです。
この講座では、そんな、結婚に失敗して一人息子だけを生き甲斐とするようになった貴族女性の日記を手がかりに、一人の母親の眼に映った王朝時代というものを見ていきたいと思います。

【講座スケジュール】
第1回 2月18日(土) 夫(おっと)・兼家(かねいえ)への遺書(いしょ) 安和(あんな) 二年(九六九)
詳細：「夫を独占(どくせん)したい」という切(せつ)なる念(おも)い/女性の目に映った「安和の変」/死を覚悟した日々/左大臣家からの祝い事の和歌の依頼
第2回 2月25日(土) 愛息(あいそく)・道綱の晴(は)れ舞台(ぶたい) 天禄(てんろく)元年(九七〇)
詳細：道綱の賭弓(のりゆみ)(射的大会)への出場/息子の舞いの練習に気を揉む日々/賞賛を浴びる愛息
第3回 3月 4日(土) 母親を思いやる道綱 天禄二年(九七一)
詳細：薄情な夫・兼家/母親のために大事な鷹(たか)を放す道綱/山籠(やまごも)りの日々/継子(ままこ) ・道隆の来訪/夫・兼家の配慮
第4回 3月11日(土) 一人前の振(ふ)る舞(ま)いを見せる道綱 天禄三年(九七二)
詳細：道綱の正月元旦の出仕(しゅっし)/大納言に昇任(しょうにん)する夫・兼家/女性に想(おも)いを寄(よ)せる道綱

【備考】
ハイフレックス講座とは、対面による講座を、オンライン(Zoomによるライブ)により同じ時間に受講参加できる形態です。受講生の皆様はライフスタイルにあわせて対面、またはオンライン(ライブ)で講座に参加する事が出来ます。
例えば初回は対面で参加して、2回目の講義は自宅からライブで参加する事も可能です。また語学講座や一部講座を除き、講座は収録し、終了後に動画配信します。
※動画配信期間は、最終講座日から1週間です。
◆コロナウイルス感染症の状況により講座内容を変更または中止とする場合がございます。

名前	繁田 信一
肩書き	神奈川大学日本常民文化研究所特別研究員、神奈川大学外国語学部講師
プロフィール	1968 年東京都生まれ。1991 年東北大学卒業。1993 年東北大学大学院修了。修士(文学)。2003 年神奈川大学大学院修了。博士(歴史民俗資料学)。著書に『天皇たちの孤独』『殴り合う貴族たち』『御堂関白記藤原道長の日記』『御曹司たちの王朝時代』『庶民たちの平安京』(以上、角川学芸出版)、『王朝貴族の悪だくみ』(柏書房)、『かぐや姫の結婚』(PHP 研究所)、『紫式部の父親たち』(笠間書院)、『王朝貴族のおまじない』(ビイング・ネット・プレス)、『陰陽師』(中央公論新社)、『陰陽師と貴族社会』『平安貴族と陰陽師』『呪いの都 平安京』『安倍晴明』(以上、吉川弘文館)、『知るほど不思議な平安時代』(教育評論社)など。