講座詳細情報
申し込み締切日:2018-05-15 / 文学 / 学内講座コード:18A1611701
シェイクスピアのまなざし
- 開催日
- 5月29日(火)、 6月 5日(火)、 6月12日(火)、 6月19日(火)、 6月26日(火)
- 講座回数
- 5回
- 時間
- 13:00~14:30
- 講座区分
- 前期
- 入学金
- -
- 受講料
- 8,000円
- 定員
- 50
- その他
- 7200(※料金は、神奈川大学生・卒業生等および横浜市交流協議会加盟大学在学生に適用される料金です)
- 補足
※この講座の申し込みは既に締め切りました。
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講座詳細
【講座内容】
芝居は、劇作家が生きる社会への批判的なまなざしがなければ、大衆娯楽、メロドラマで終わってしまう。当時の観客がシェイクスピアの舞台に感激し、拍手喝采したのはなぜか。それは、自分が生きる社会を見つめる冷静で批判的な視線にある。劇作家として富を獲得し名声を博しながらも、シェイクスピアは社会や人間を真剣に見つめ、批判の目を向けている。
【講座スケジュール】
第1回 5月29日(火) 『冬物語』
詳細:シチリア王レオンティーズは突然嫉妬にかられる。シチリア宮廷に滞在中の幼なじみのボヘミア王が、妻ハーマイオニと不貞を働いたのではないかとの強い疑いを抱いたのだ。現代の観客はこの突然の心の変化に当惑するが、当時は、誰もおかしいとは思わなかった。南ヨーロッパの人間は気性が激しく嫉妬にかられやすい、北ヨーロッパの人間は開放的で放逸だとの先入観があったからである。それを当時の地理学者たちが裏づけている。
第2回 6月 5日(火) 『オセロー』
詳細:『冬物語』のシチリア王とは違い、オセローは、人間心理を知り尽くしたイヤゴーの奸計にまんまとはまり、妻デズデモーナへの嫉妬と疑惑を少しずつ深めてゆき、ついに妻殺しに走る。イヤゴーはオセローの直裁な性格を逆手に取って毒を注ぎ、破滅へ導いてゆく。イヤゴーはシェイクスピアにほかならない。優れた人間観察力が悪用されると凄まじい破壊力を持つ。イヤゴーはその証明なのだ。
第3回 6月12日(火) 『マクベス』
詳細:マクベスは内に抱える野望ゆえに、魔女たちの餌食になる。野望達成のための拠り所としていた魔女たちの予言がまやかしだと分かったときには、すでに戦いも人生も破綻していた。むなしい人生に「人生は歩く影法師」と自戒する。深みにはまりすぎたと気づいても引き返すことはできない。マクベスは言う。「先へ進むのも、戻るのも億劫だ。」とことん悪の道を行かざるをえない人間の苦しみ。マクベスはそこから目を逸らすことはけっしてない。
第4回 6月19日(火) 『ハムレット』
詳細:亡き父の姿をした亡霊に復讐を誓わされるハムレット。亡霊の言葉によれば、叔父が父を殺して王冠を戴き、そのうえ、母と結婚したという。青天の霹靂、何という驚き! だが、亡霊は実在するのか? 亡霊を信じてよいものか?実存主義の洗礼を受けた近代人はハムレットの苦悶に人間存在の葛藤を読むが、当時の観客にとって最大の関心は、不確かな存在の亡霊に復讐を命じられたハムレットの苦悶にあった。
第5回 6月26日(火) 『テンペスト』
詳細:ミラノ公爵プロスペローは弟の奸計にはまり、ミラノを追放される。幼い娘とともに、小舟に乗って孤島にたどりつき、得意の魔術を駆使して原住民を支配下に置き、島のあるじとなる。追放された人間が、別の島で追放者になるのだ! 12 年後、弟の乗った船が、プロスペローが魔術で起こした嵐で難破し、復讐劇が始まる。プロスペローが人間理解を深め、魔法を捨ててミラノに帰還する姿は、筆を折って故郷に帰るシェイクスピアに重ねられている。
芝居は、劇作家が生きる社会への批判的なまなざしがなければ、大衆娯楽、メロドラマで終わってしまう。当時の観客がシェイクスピアの舞台に感激し、拍手喝采したのはなぜか。それは、自分が生きる社会を見つめる冷静で批判的な視線にある。劇作家として富を獲得し名声を博しながらも、シェイクスピアは社会や人間を真剣に見つめ、批判の目を向けている。
【講座スケジュール】
第1回 5月29日(火) 『冬物語』
詳細:シチリア王レオンティーズは突然嫉妬にかられる。シチリア宮廷に滞在中の幼なじみのボヘミア王が、妻ハーマイオニと不貞を働いたのではないかとの強い疑いを抱いたのだ。現代の観客はこの突然の心の変化に当惑するが、当時は、誰もおかしいとは思わなかった。南ヨーロッパの人間は気性が激しく嫉妬にかられやすい、北ヨーロッパの人間は開放的で放逸だとの先入観があったからである。それを当時の地理学者たちが裏づけている。
第2回 6月 5日(火) 『オセロー』
詳細:『冬物語』のシチリア王とは違い、オセローは、人間心理を知り尽くしたイヤゴーの奸計にまんまとはまり、妻デズデモーナへの嫉妬と疑惑を少しずつ深めてゆき、ついに妻殺しに走る。イヤゴーはオセローの直裁な性格を逆手に取って毒を注ぎ、破滅へ導いてゆく。イヤゴーはシェイクスピアにほかならない。優れた人間観察力が悪用されると凄まじい破壊力を持つ。イヤゴーはその証明なのだ。
第3回 6月12日(火) 『マクベス』
詳細:マクベスは内に抱える野望ゆえに、魔女たちの餌食になる。野望達成のための拠り所としていた魔女たちの予言がまやかしだと分かったときには、すでに戦いも人生も破綻していた。むなしい人生に「人生は歩く影法師」と自戒する。深みにはまりすぎたと気づいても引き返すことはできない。マクベスは言う。「先へ進むのも、戻るのも億劫だ。」とことん悪の道を行かざるをえない人間の苦しみ。マクベスはそこから目を逸らすことはけっしてない。
第4回 6月19日(火) 『ハムレット』
詳細:亡き父の姿をした亡霊に復讐を誓わされるハムレット。亡霊の言葉によれば、叔父が父を殺して王冠を戴き、そのうえ、母と結婚したという。青天の霹靂、何という驚き! だが、亡霊は実在するのか? 亡霊を信じてよいものか?実存主義の洗礼を受けた近代人はハムレットの苦悶に人間存在の葛藤を読むが、当時の観客にとって最大の関心は、不確かな存在の亡霊に復讐を命じられたハムレットの苦悶にあった。
第5回 6月26日(火) 『テンペスト』
詳細:ミラノ公爵プロスペローは弟の奸計にはまり、ミラノを追放される。幼い娘とともに、小舟に乗って孤島にたどりつき、得意の魔術を駆使して原住民を支配下に置き、島のあるじとなる。追放された人間が、別の島で追放者になるのだ! 12 年後、弟の乗った船が、プロスペローが魔術で起こした嵐で難破し、復讐劇が始まる。プロスペローが人間理解を深め、魔法を捨ててミラノに帰還する姿は、筆を折って故郷に帰るシェイクスピアに重ねられている。
講師陣
名前 | 石井 美樹子 |
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肩書き | 神奈川大学名誉教授 |
プロフィール | 1974~78 年英国ケンブリッジ大学大学院にて中世英文学を専攻。文学博士。ケンブリッジ大学東洋学部専任講師、静岡大学教授を経て2013 年3 月まで神奈川大学外国語学部教授。専門は中世・ルネサンスのイギリス文学・歴史。主要著書に『聖母のルネサンス ― マリアはどう描かれたか』(岩波書店)、『エリザベス ― 華麗なる孤独』(中央公論新社)、『ヨーロッパの王妃』『ヨーロッパ宮廷の愛人たち』『マリー・アントワネットの宮廷画家 ― ルイーズ・ヴィジェ・ルブランの生涯』『マリー・アントワネット ― ファッションで世界を変えた女』(以上、河出書房新社)ほか多数。 |