講座詳細情報
申し込み締切日:2018-01-27 / 文学 / 学内講座コード:17B1613101
右大臣藤原実資の王朝時代 蔵人頭の多忙な日々を『小右記』に見る
- 開催日
- 1月28日(日)、 2月 4日(日)、 2月18日(日)、 3月 4日(日)、 3月11日(日)、 3月18日(日)、 3月25日(日)
- 講座回数
- 7回
- 時間
- 15:00~16:30
- 講座区分
- 後期
- 入学金
- -
- 受講料
- 11,000円
- 定員
- 50
- その他
- 9900(※料金は、神奈川大学生・卒業生等および横浜市交流協議会加盟大学在学生に適用される料金です)
- 補足
※この講座の申し込みは既に締め切りました。
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講座詳細
【講座内容】
蔵人(くろうど)というのは、王朝時代の天皇の秘書のような存在です。そして、蔵人頭(くろうどのとう)というのは、現代風に言うならば、「天皇の筆頭秘書」もしくは「天皇の秘書長」になりましょうか。
この蔵人頭というのは、とんでもなく忙しいポストでした。現代人の多くの方々は、王朝貴族たちについて、〈働き者〉の印象を持ってはいないかもしれません。でも、王朝時代においても、蔵人頭になった貴族は、朝も夜もないほどに忙しい日々を送っていたのです。
では、その〈働く王朝貴族〉である蔵人頭は、どのような仕事をしていたのでしょうか。また、蔵人頭は、実際のところ、どれほど忙しかったのでしょうか。
ところで、多忙を極める蔵人頭を務めることは、王朝時代において、将来の大臣の有力な候補に名を列ねるのと同じことでした。蔵人頭は、激務の官職である分、言ってみれば、先々の出世を約束されたエリート中のエリートのポストだったのです。
そのため、蔵人頭に任命され得たのは、基本的に、名門貴族家の出身であるとともに容姿も頭脳も優れているという、物語の主人公のような貴公子ばかりでした。『源氏物語』に主人公の親友としてライバルとして登場する頭中将(とうのちゅうじょう)は、蔵人頭を務めていたがゆえに「頭中将」と呼ばれているわけですが、王朝時代の貴族社会には、その頭中将のような御曹司(おんぞうし)が少なからず実在していたのです。
この講座では、多忙を極めた蔵人頭の生活の実際を、藤原道長と同じ時代を生きた右大臣藤原実資(さねすけ)の日記から再現してみたいと思います。道長よりも十歳ほど年長であった実資は、まだまだ道長が将来の政権担当者の候補にもなっていなかった頃に、二十歳代半ばの若さで蔵人頭を務めていました。そして、若い頃から日記を付けていた実資は『小右記(しょうゆうき)』の名称で知られる日記に、蔵人頭の忙しい日々を詳細に綴つづっているのです。
ここに紹介した藤原実資は、ある意味で、光源氏の友人の頭中将を現実の王朝時代に実在させたような存在です。この機会に、同じくエリート貴族ではあっても光源氏や藤原道長のそれとは何かと異なるかたちのエリートであった頭中将の暮らしぶりの一部を覗(のぞ)いてみませんか。
【講座スケジュール】
第1回 1月28日(日) 物語の主人公のような実在の貴公子
詳細:二十六歳の蔵人頭の経歴/本来の摂関家嫡流(ちゃくりゅう)/若き日の身分を超えた大恋愛/『小野宮右府記(おののみやうふき)』/天元(てんげん)五年という年
第2回 2月 4日(日) 多忙を極める正月
詳細:正月早々の出勤日数/行事に次(つ)ぐ行事/政務に次ぐ政務/蔵人頭を兼ねる近衛少将(このえしょうしょう)
第3回 2月18日(日) トラブル続きの二月
詳細:宮中の穢(けがれ)/天皇の発病/宛て先に間違いのある命令書/宮中に乱入する庶民
第4回 3月 4日(日) 新しい皇后(こうごう)の誕生の準備に追われる三月
詳細:皇后に選ばれた従姉妹(いとこ)/伯父(おじ)の喜び/雑用に次ぐ雑用/さらに増える兼任の官職
第5回 3月11日(日) 神事の続く四月
詳細:神事に次ぐ神事/蔵人頭が休暇を取れるとき/清水寺参詣(さんけい)/天皇の妃(きさき)の乱心
第6回 3月18日(日) 仏事の続く五月
詳細:新しい皇后の初めての参内(さんだい)/仏事に次ぐ仏事/養父の法事
第7回 3月25日(日) やや落ち着いた六月
詳細:囲碁(いご)の勝負と罰ゲーム/自宅での仏事/毘沙門天(びしゃもんてん)信仰/鷺(さぎ)の怪異(かいい)
蔵人(くろうど)というのは、王朝時代の天皇の秘書のような存在です。そして、蔵人頭(くろうどのとう)というのは、現代風に言うならば、「天皇の筆頭秘書」もしくは「天皇の秘書長」になりましょうか。
この蔵人頭というのは、とんでもなく忙しいポストでした。現代人の多くの方々は、王朝貴族たちについて、〈働き者〉の印象を持ってはいないかもしれません。でも、王朝時代においても、蔵人頭になった貴族は、朝も夜もないほどに忙しい日々を送っていたのです。
では、その〈働く王朝貴族〉である蔵人頭は、どのような仕事をしていたのでしょうか。また、蔵人頭は、実際のところ、どれほど忙しかったのでしょうか。
ところで、多忙を極める蔵人頭を務めることは、王朝時代において、将来の大臣の有力な候補に名を列ねるのと同じことでした。蔵人頭は、激務の官職である分、言ってみれば、先々の出世を約束されたエリート中のエリートのポストだったのです。
そのため、蔵人頭に任命され得たのは、基本的に、名門貴族家の出身であるとともに容姿も頭脳も優れているという、物語の主人公のような貴公子ばかりでした。『源氏物語』に主人公の親友としてライバルとして登場する頭中将(とうのちゅうじょう)は、蔵人頭を務めていたがゆえに「頭中将」と呼ばれているわけですが、王朝時代の貴族社会には、その頭中将のような御曹司(おんぞうし)が少なからず実在していたのです。
この講座では、多忙を極めた蔵人頭の生活の実際を、藤原道長と同じ時代を生きた右大臣藤原実資(さねすけ)の日記から再現してみたいと思います。道長よりも十歳ほど年長であった実資は、まだまだ道長が将来の政権担当者の候補にもなっていなかった頃に、二十歳代半ばの若さで蔵人頭を務めていました。そして、若い頃から日記を付けていた実資は『小右記(しょうゆうき)』の名称で知られる日記に、蔵人頭の忙しい日々を詳細に綴つづっているのです。
ここに紹介した藤原実資は、ある意味で、光源氏の友人の頭中将を現実の王朝時代に実在させたような存在です。この機会に、同じくエリート貴族ではあっても光源氏や藤原道長のそれとは何かと異なるかたちのエリートであった頭中将の暮らしぶりの一部を覗(のぞ)いてみませんか。
【講座スケジュール】
第1回 1月28日(日) 物語の主人公のような実在の貴公子
詳細:二十六歳の蔵人頭の経歴/本来の摂関家嫡流(ちゃくりゅう)/若き日の身分を超えた大恋愛/『小野宮右府記(おののみやうふき)』/天元(てんげん)五年という年
第2回 2月 4日(日) 多忙を極める正月
詳細:正月早々の出勤日数/行事に次(つ)ぐ行事/政務に次ぐ政務/蔵人頭を兼ねる近衛少将(このえしょうしょう)
第3回 2月18日(日) トラブル続きの二月
詳細:宮中の穢(けがれ)/天皇の発病/宛て先に間違いのある命令書/宮中に乱入する庶民
第4回 3月 4日(日) 新しい皇后(こうごう)の誕生の準備に追われる三月
詳細:皇后に選ばれた従姉妹(いとこ)/伯父(おじ)の喜び/雑用に次ぐ雑用/さらに増える兼任の官職
第5回 3月11日(日) 神事の続く四月
詳細:神事に次ぐ神事/蔵人頭が休暇を取れるとき/清水寺参詣(さんけい)/天皇の妃(きさき)の乱心
第6回 3月18日(日) 仏事の続く五月
詳細:新しい皇后の初めての参内(さんだい)/仏事に次ぐ仏事/養父の法事
第7回 3月25日(日) やや落ち着いた六月
詳細:囲碁(いご)の勝負と罰ゲーム/自宅での仏事/毘沙門天(びしゃもんてん)信仰/鷺(さぎ)の怪異(かいい)
講師陣
名前 | 繁田 信一 |
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肩書き | 神奈川大学日本常民文化研究所特別研究員、神奈川大学外国語学部講師 |
プロフィール | 1968 年東京都生まれ。1991 年東北大学卒業。1993 年東北大学大学院修了。修士(文学)。2003 年神奈川大学大学院修了。博士(歴史民俗資料学)。著書に『天皇たちの孤独』『殴り合う貴族たち』『御堂関白記藤原道長の日記』『御曹司たちの王朝時代』『庶民たちの平安京』(以上、角川学芸出版)、『王朝貴族の悪だくみ』(柏書房)、『かぐや姫の結婚』(PHP 研究所)、『紫式部の父親たち』(笠間書院)、『王朝貴族のおまじない』(ビイング・ネット・プレス)、『陰陽師』(中央公論新社)、『陰陽師と貴族社会』『平安貴族と陰陽師』『呪いの都 平安京』『安倍晴明』(以上、吉川弘文館)など。 |