講座詳細情報
申し込み締切日:2016-02-04 / 文学:その他実用 / 学内講座コード:15B1612201
漱石から学ぶ文章術 「つなぎの語」の使い方を学んで書き上手になろう
- 開催日
- 2月 5日(金)、 2月12日(金)、 2月19日(金)、 2月26日(金)、 3月 4日(金)、 3月11日(金)
- 講座回数
- 6回
- 時間
- 10:30~12:00
- 講座区分
- 後期
- 入学金
- -
- 受講料
- 9,500円
- 定員
- 30
- その他
- 8500(※料金は、神奈川大学生・卒業生等および横浜市交流協議会加盟大学在学生に適用される料金です)
- 補足
※この講座の申し込みは既に締め切りました。
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講座詳細
【講座内容】
よい書きものとは読む人に分かりやすく、印象に残るものといえます。私たちは、読む人になるほどと思ってもらえる、忘れられない文章を書きたいと願っています。ことばを使って自分の考えを述べる・書くという状況で、言語技術に頼ることは必要なことのひとつです。書こうとしている情報と意見を明快に、効果的に表現・伝達するための方法論といっていいでしょう。つなぎの語と称される言語表現こそは、読み手の理解と印象に強い影響があります。
一方、現代日本語の基礎を作り上げた人として、大文豪夏目漱石がいます。彼の文学的価値は万人が認めるところですが、その文章術も半端ではありません。漱石の文章術の長けていることのひとつがつなぎの語の使用です。接続詞をそのままタイトルにした『それから』の中の、つなぎの語の使用をみながら、その効果を探ります。
つなぎの語の、文章をわかりやすくする立役者ぶりと、同時に書き手の心情吐露の技術としての役目を毎回実感したいと思います。ひいては、日本語のもつ豊かさを垣間見、私たちがいかに豊かな日本語の使い手であるかを認識することになります。
【講座スケジュール】
第1回 2月 5日(金) よい文章はつなぎの語で決まる
詳細:漱石は候文、言文一致体文、漢詩、俳句、英詩とあらゆるジャンルを試みながら、日本語の新しい書き言葉の創出という大事業をやったと言える。言いたいことを飾り気なく、雑作なく吐き出すのが文章の妙であるという主張は、その接続詞の使用に効果的に表れている。接続詞を少し緩やかに「つなぎの語」とよぶことにする。
第2回 2月12日(金) 「つなぎの語」の効果は書き手側のものであり、同時に読み手のものでもある
詳細:書き手は、書いている内容を整理し、筋道・計画に沿って話を展開させ、かつ内容に対する書き手の態度を表明する。したがって読み手の理解を助けるものであることを理解する。
第3回 2月19日(金) 読み手のために果たしている機能のうち、連接関係を考える
詳細:『それから』に最もよく出てくるつなぎの語である〈けれども〉と〈そうして〉を中心に、〈でも〉〈( だ) が〉〈ところが〉〈しかし〉と〈それで〉をどう使い分けているかを考える。
第4回 2月26日(金) 二つ目は因果関係を表すつなぎの語を考える
詳細:代表は、原因から結果への関係を明示する〈だから〉と結果から原因・理由への関係を明示する〈だって〉である。『それから』には前者の関係に〈したがって〉と、〈ので〉と〈から〉の独立使用がある。さらに、文に続く〈ので〉と〈から〉について態度の表明として微妙な違いを考える。後者の関係については〈だって〉と〈なぜなら〉の違いを考える。
第5回 3月 4日(金) 補足、言いかえの関係を明示するつなぎの語を考える
詳細:『それから』には、〈ただ〉〈むしろ〉〈もっとも〉が頻繁に使われている。書き手がどう使い分けているのか考えてみたい。さらには〈どうせ〉〈どうも〉〈やはり〉〈ぜんぜん〉といった語もつなぎの語として考えることについても触れたい。
第6回 3月11日(金) 小説を離れて論説文におけるつなぎの語を考える
詳細:論理関係を明示する語によって、明快に、効果的に、事実・状況と意見・判断を区別して表現することを体験する。書き手の内容提示態度を表明するつなぎの語を足すことによっていかにわかりやすくなるかを実感し、情報と意見を効果的に表現・伝達するために、つなぎの語を積極的に使う姿勢を涵養したい。
よい書きものとは読む人に分かりやすく、印象に残るものといえます。私たちは、読む人になるほどと思ってもらえる、忘れられない文章を書きたいと願っています。ことばを使って自分の考えを述べる・書くという状況で、言語技術に頼ることは必要なことのひとつです。書こうとしている情報と意見を明快に、効果的に表現・伝達するための方法論といっていいでしょう。つなぎの語と称される言語表現こそは、読み手の理解と印象に強い影響があります。
一方、現代日本語の基礎を作り上げた人として、大文豪夏目漱石がいます。彼の文学的価値は万人が認めるところですが、その文章術も半端ではありません。漱石の文章術の長けていることのひとつがつなぎの語の使用です。接続詞をそのままタイトルにした『それから』の中の、つなぎの語の使用をみながら、その効果を探ります。
つなぎの語の、文章をわかりやすくする立役者ぶりと、同時に書き手の心情吐露の技術としての役目を毎回実感したいと思います。ひいては、日本語のもつ豊かさを垣間見、私たちがいかに豊かな日本語の使い手であるかを認識することになります。
【講座スケジュール】
第1回 2月 5日(金) よい文章はつなぎの語で決まる
詳細:漱石は候文、言文一致体文、漢詩、俳句、英詩とあらゆるジャンルを試みながら、日本語の新しい書き言葉の創出という大事業をやったと言える。言いたいことを飾り気なく、雑作なく吐き出すのが文章の妙であるという主張は、その接続詞の使用に効果的に表れている。接続詞を少し緩やかに「つなぎの語」とよぶことにする。
第2回 2月12日(金) 「つなぎの語」の効果は書き手側のものであり、同時に読み手のものでもある
詳細:書き手は、書いている内容を整理し、筋道・計画に沿って話を展開させ、かつ内容に対する書き手の態度を表明する。したがって読み手の理解を助けるものであることを理解する。
第3回 2月19日(金) 読み手のために果たしている機能のうち、連接関係を考える
詳細:『それから』に最もよく出てくるつなぎの語である〈けれども〉と〈そうして〉を中心に、〈でも〉〈( だ) が〉〈ところが〉〈しかし〉と〈それで〉をどう使い分けているかを考える。
第4回 2月26日(金) 二つ目は因果関係を表すつなぎの語を考える
詳細:代表は、原因から結果への関係を明示する〈だから〉と結果から原因・理由への関係を明示する〈だって〉である。『それから』には前者の関係に〈したがって〉と、〈ので〉と〈から〉の独立使用がある。さらに、文に続く〈ので〉と〈から〉について態度の表明として微妙な違いを考える。後者の関係については〈だって〉と〈なぜなら〉の違いを考える。
第5回 3月 4日(金) 補足、言いかえの関係を明示するつなぎの語を考える
詳細:『それから』には、〈ただ〉〈むしろ〉〈もっとも〉が頻繁に使われている。書き手がどう使い分けているのか考えてみたい。さらには〈どうせ〉〈どうも〉〈やはり〉〈ぜんぜん〉といった語もつなぎの語として考えることについても触れたい。
第6回 3月11日(金) 小説を離れて論説文におけるつなぎの語を考える
詳細:論理関係を明示する語によって、明快に、効果的に、事実・状況と意見・判断を区別して表現することを体験する。書き手の内容提示態度を表明するつなぎの語を足すことによっていかにわかりやすくなるかを実感し、情報と意見を効果的に表現・伝達するために、つなぎの語を積極的に使う姿勢を涵養したい。
講師陣
名前 | 武内 道子 |
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肩書き | 神奈川大学名誉教授 |
プロフィール | 日本女子大学文学部英語英文学科卒業、国際基督教大学大学院教育学研究科(英語教育専攻)修了。アメリカインディアナ大学大学院言語学科修了。ユニバーシティカレッジロンドン(UCL)言語学科客員教授。専門は言語学、英語学、認知語用論。著書に『石油の国に住んでみて』(毎日新聞社)、『手続き的意味論 談話連結語の意味論と語用論』(ひつじ書房)、『副詞的表現をめぐって』(編著、ひつじ書房)、『発話と文のモダリティ』(編著、ひつじ書房)、翻訳書に『アメリカの素顔』(丸善ライブラリー)、『思考と発話 明示的伝達の語用論』(共翻訳、研究社)など。 |