講座詳細情報
申し込み締切日:2012-05-02 / その他教養 / 学内講座コード:2012A023
『坂の上の雲』と日露戦争後の日本文学−子規・漱石・蘆花・龍之介
主催:東海大学生涯学習講座事務局[東海大学 品川キャンパス(東京都)]
問合せ先:東海大学生涯学習講座事務局 TEL:0463-50-2202 ※メールの場合はお問い合わせフォーム(https://ssl.action-compass.jp/tokai/inquiry/)よりご連絡ください。
問合せ先:東海大学生涯学習講座事務局 TEL:0463-50-2202 ※メールの場合はお問い合わせフォーム(https://ssl.action-compass.jp/tokai/inquiry/)よりご連絡ください。
- 開催日
- 5/12, 5/19, 5/26, 6/2, 6/9 (土)
- 講座回数
- 全5回
- 時間
- 10:30~12:00
- 講座区分
- 前期
- 入学金
- -
- 受講料
- 10,000円
- 定員
- 30
- その他
- 資料代を含む
- 補足
※この講座の申し込みは既に締め切りました。
講座詳細
【講義内容】
『坂の上の雲』では若き正岡子規と夏目漱石の交友が描かれているだけでなく、トルストイの『セヴァストーポリ』への言及や作家・徳冨蘆花と兄・蘇峰との葛藤の考察もなされている。本講座ではトルストイの受容をとおして、子規から龍之介にいたる日本文学の流れを考察する。
第1回 子規と漱石――子規との交友と漱石の文学観の深まり
病床の子規に送った「倫敦消息」で、イギリスでのトルストイ報道について記していた漱石は、1906年には内田魯庵から贈られた『イワンの馬鹿』の読後感を書いている。漱石の文学観の深まりを『吾輩は猫である』や、『趣味の遺伝』などの作品を中心に考察する。
第2回 『坂の上の雲』と徳冨蘆花の『寄生木』
日露戦争後に蘆花は、二〇三高地の激戦を体験した青年の手記を元にした長編小説『寄生木』を発行した。この長編小説は今では忘れられかけているが、ここでは司馬が「あとがき」で記している考察を踏まえて、この作品が投げかけている問題を詳しく読み解く。
第3回 徳冨蘆花のトルストイ訪問と戦争観の変化
徳冨蘆花は日露戦争を鋭く批判したトルストイの論文には批判的であったが、戦争が終わった後ではヤースナヤ・ポリャーナを訪れて親しく交わった。帰国後に『巡礼紀行』を著した蘆花は、「勝利の悲哀」を講演して日本が再び大戦争に突入する危険性を予告した。
第4回 徳冨蘆花と兄・蘇峰――トルストイ観の変化をめぐって
弟に伝記『トルストイ』を書くように勧めていた兄蘇峰は、1908年に発行した改訂版『吉田松陰』では軍事力増強を主張し始めるようになる。司馬遼太郎の『翔ぶが如く』をとおして時代的な背景を考察し、『灰燼』や『黒潮』などの作品を分析することで兄弟の対立に迫る。
第5回 徳冨蘆花と芥川龍之介――大逆事件と蘆花の「謀叛論」
雑誌『白樺』が創刊された1910年には、トルストイが亡くなっただけでなく大逆事件も起きていた。ここでは幸徳秋水たちが処刑された後で「謀反論」と題する演説を第一高等学校で行った蘆花と、短編『将軍』を書くことになる芥川龍之介など若い世代との関わりを考察する。
『坂の上の雲』では若き正岡子規と夏目漱石の交友が描かれているだけでなく、トルストイの『セヴァストーポリ』への言及や作家・徳冨蘆花と兄・蘇峰との葛藤の考察もなされている。本講座ではトルストイの受容をとおして、子規から龍之介にいたる日本文学の流れを考察する。
第1回 子規と漱石――子規との交友と漱石の文学観の深まり
病床の子規に送った「倫敦消息」で、イギリスでのトルストイ報道について記していた漱石は、1906年には内田魯庵から贈られた『イワンの馬鹿』の読後感を書いている。漱石の文学観の深まりを『吾輩は猫である』や、『趣味の遺伝』などの作品を中心に考察する。
第2回 『坂の上の雲』と徳冨蘆花の『寄生木』
日露戦争後に蘆花は、二〇三高地の激戦を体験した青年の手記を元にした長編小説『寄生木』を発行した。この長編小説は今では忘れられかけているが、ここでは司馬が「あとがき」で記している考察を踏まえて、この作品が投げかけている問題を詳しく読み解く。
第3回 徳冨蘆花のトルストイ訪問と戦争観の変化
徳冨蘆花は日露戦争を鋭く批判したトルストイの論文には批判的であったが、戦争が終わった後ではヤースナヤ・ポリャーナを訪れて親しく交わった。帰国後に『巡礼紀行』を著した蘆花は、「勝利の悲哀」を講演して日本が再び大戦争に突入する危険性を予告した。
第4回 徳冨蘆花と兄・蘇峰――トルストイ観の変化をめぐって
弟に伝記『トルストイ』を書くように勧めていた兄蘇峰は、1908年に発行した改訂版『吉田松陰』では軍事力増強を主張し始めるようになる。司馬遼太郎の『翔ぶが如く』をとおして時代的な背景を考察し、『灰燼』や『黒潮』などの作品を分析することで兄弟の対立に迫る。
第5回 徳冨蘆花と芥川龍之介――大逆事件と蘆花の「謀叛論」
雑誌『白樺』が創刊された1910年には、トルストイが亡くなっただけでなく大逆事件も起きていた。ここでは幸徳秋水たちが処刑された後で「謀反論」と題する演説を第一高等学校で行った蘆花と、短編『将軍』を書くことになる芥川龍之介など若い世代との関わりを考察する。
講師陣
名前 | 高橋誠一郎 |
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肩書き | 東海大学外国語教育センター教授、文学部ヨーロッパ文明学科兼担 |
プロフィール | 東海大学大学院文学研究科(文明研究専攻)修士課程修了。現在は日本ロシア文学会、日本比較文学会、比較文明学会、日本比較思想学会、日本ペンクラブ会員。○著書○『司馬遼太郎とロシア』(東洋書店)、『「竜馬」という日本人――司馬遼太郎が描いたこと』(人文書館)、『司馬遼太郎の平和観――「坂の上の雲」を読み直す』(東海教育研究所)、『黒澤明で「白痴」を読み解く』(成文社)など。 |