大学公開講座のセカンドアカデミー

ローマ帝国といえば、2000年も前に、地中海世界とヨーロッパの半分を手中におさめた大帝国としてその名を知られています。推定5000万もの人口を擁したローマ帝国ですが、その大多数は、歴史上の大事件に姿を現すことのない、普通の庶民たちでした。
　有名な史書の類からは決まって素通りされてしまう、そんな「普通の」ローマ人たちの姿や肉声にせまる手立てはあるのでしょうか。実は、古代ローマには、碑文やパピルスという、そうした普通の人ーが自らの手で記した言葉を伝える、まれなる史料が数多く残されているのです。
　本講座では、こうした碑文やパピルスをもとに、ローマ帝国の庶民たちが生きた人生と、そこで彼らが抱いた想いについて、探ってみたいと思います。遠い国、遠い昔に生きた人ーの姿に、私たち自身はどんな想いを抱くでしょうか。私たちが彼らのあり様に共感を抱くことはできるのでしょうか。歴史研究の作法を踏まえた上で、ローマ人の生と感情に思いを馳せてみましょう。

名前	西村 昌洋
肩書き	龍谷大学非常勤講師
プロフィール	古代ローマ史が専門。後期ローマ帝国、古代末期における政治文化やキリスト教化を中心に、ローマ帝国の変容について研究中。歴史学、西洋史学、西洋古典学の各学会において研究発表、論文発表を行なっている。訳書にクナップ『古代ローマの庶民たち』（白水社）など。