大学公開講座のセカンドアカデミー

　今から百数年前、大ベストセラーになり、その後も読み継がれてきたフランシス・ホジソン・バーネットの作品は、いまなお途切れることなく図書館や本屋の書棚に置かれています。しかし、現在、実際には子どもたちが手に取ることは、あまりなくなっているようです。けれどもこれらの作品は、当時の英米の人々が持っていた子ども観、イギリスとアメリカとの間の軋轢や文化の差、階級意識やジェンダー役割、異文化に対する態度など、今のおとなにとって学べるところは大変に多いのです。
　わかりやすい展開と際立った人物造形の奥に秘められた、おとなだからこそわかる、これらの作品の裏舞台を、検討しなおしてみたいと思います。

名前	川端有子
肩書き	日本女子大学家政学部教授
プロフィール	日本女子大学家政学部児童学科教授。京都市に生まれる。神戸大学、関西学院大学大学院卒、イギリス、ローハンプトン大学で博士号取得。英語圏の児童文学の研究をしている。主な著書は、『少女小説から世界が見える』『赤毛のアン　スクラップブック』（河出書房新社）、『児童文学の教科書』（玉川大学出版部）、訳書に『絵本の力学』『絵本の絵を見る』（玉川大学出版部）などがある。