講座詳細情報
申し込み締切日:2019-10-03 / 文学 / 学内講座コード:19220007
はじめての「民俗学」 平地人を戦慄せしめよ―『遠野物語』を読み解く―
- 開催日
- 10月11日(金)、10月25日(金)、11月 8日(金)、11月22日(金)、12月 6日(金)
- 講座回数
- 5回
- 時間
- 13:00~14:30
- 講座区分
- 後期
- 入学金
- 3,000円
- 受講料
- 12,650円
- 定員
- 50
- 補足
※この講座の申し込みは既に締め切りました。
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講座詳細
【講座趣旨】
本講座は「伝承の器」としての人間を考えるとして、本年度の春からはじまった。人間を伝承の器(文化を伝承という人間独自の能力によって子孫に受け伝えていく動物)として捉え直しつつ、今や「危機の学問」とさえ呼ばれるようになってしまった民俗学を、もう一度「伝承学」として再生させようとする試みである。民俗学を創始した柳田国男の著作『遠野物語』は、民俗学がまだ産声さえあげていない明治期に柳田が自費出版した初期三部作のうちの一つ。もっとも有名な著作でありながら、その読み解きは難解とされる。特に、山の神、神隠し、ザシキワラシ、オシラサマなど、現在の民俗伝承学や説話学の定番となったテーマがこの書によって世に知られるようになったが、今もその説話の深い真意は解読されていない。伝承学としての民俗学を解き明かすためには『遠野物語』の読み解きは避けては通れない。冒頭に集中する珠玉の説話をともに読み明かしたい。
【特記事項】
※講義の進み具合によりスケジュール通りにいかない場合がございます。
【講義概要】
第1回 10月11日(金) 『遠野物語』を読む〈1〉―平地人を戦慄せしめよ―
『遠野物語』の序文は美しくそして柳田のメッセージが溢れている。なかでも「物深き所には、また無数の山神山人の伝説あるべし。願はくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ」という謎の文には柳田の思想のエッセンスが込められている。
第2回 10月25日(金) 『遠野物語』を読む〈2〉―乙爺論、近代の悲劇―
あまり知られていないが、柳田に遠野の「お化け話」を提供した佐々木喜善には、彼の家の目の前に住んでいた老人、新田乙蔵、通称乙爺という伝承者がいた。乙爺は草分けの旧家を没落させたが、それは遠野の近代史ばかりか日本近代の悲劇でもあった。
第3回 11月 8日(金) 『遠野物語』を読む〈3〉―サムトの婆の神隠し―
うら若い娘が神隠しに逢い、数十年後、突然帰ってきた。その容貌は凄まじく、とてもこの世のモノとは思われない。そんな神隠しの説話は『遠野物語』にはいくつも載っている。神隠しとはいったい何を意味するのか? そこには人間と隣りあって暮らす神とモノノケの世界があった。
第4回 11月22日(金) 『遠野物語』を読む〈4〉―オシラサマの話―
日本のイエの神のなかでもっとも奇妙な存在がオシラサマ、柳田をはじめとして多くの民俗学者、人類学者がその正体を探ってきた。北方民族由来の神という説が今は有力だが、それはそれとして、娘と馬との道ならぬ恋の物語「白神縁起」の読み解きを試みたい。
第5回 12月 6日(金) 『遠野物語』を読む〈5〉―ザシキワラシとイエの福神―
今も日本各地に息づくザシキワラシ、そのルーツとも言える説話は何故か東北地方に発していた。しかしザシキワラシ説話が登場するのはいつ頃からなのか? 古代から中世、そして江戸時代の数えきれない説話群のなかに同様の説話は見つからない。ザシキワラシの正体は意外なところにあった。
本講座は「伝承の器」としての人間を考えるとして、本年度の春からはじまった。人間を伝承の器(文化を伝承という人間独自の能力によって子孫に受け伝えていく動物)として捉え直しつつ、今や「危機の学問」とさえ呼ばれるようになってしまった民俗学を、もう一度「伝承学」として再生させようとする試みである。民俗学を創始した柳田国男の著作『遠野物語』は、民俗学がまだ産声さえあげていない明治期に柳田が自費出版した初期三部作のうちの一つ。もっとも有名な著作でありながら、その読み解きは難解とされる。特に、山の神、神隠し、ザシキワラシ、オシラサマなど、現在の民俗伝承学や説話学の定番となったテーマがこの書によって世に知られるようになったが、今もその説話の深い真意は解読されていない。伝承学としての民俗学を解き明かすためには『遠野物語』の読み解きは避けては通れない。冒頭に集中する珠玉の説話をともに読み明かしたい。
【特記事項】
※講義の進み具合によりスケジュール通りにいかない場合がございます。
【講義概要】
第1回 10月11日(金) 『遠野物語』を読む〈1〉―平地人を戦慄せしめよ―
『遠野物語』の序文は美しくそして柳田のメッセージが溢れている。なかでも「物深き所には、また無数の山神山人の伝説あるべし。願はくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ」という謎の文には柳田の思想のエッセンスが込められている。
第2回 10月25日(金) 『遠野物語』を読む〈2〉―乙爺論、近代の悲劇―
あまり知られていないが、柳田に遠野の「お化け話」を提供した佐々木喜善には、彼の家の目の前に住んでいた老人、新田乙蔵、通称乙爺という伝承者がいた。乙爺は草分けの旧家を没落させたが、それは遠野の近代史ばかりか日本近代の悲劇でもあった。
第3回 11月 8日(金) 『遠野物語』を読む〈3〉―サムトの婆の神隠し―
うら若い娘が神隠しに逢い、数十年後、突然帰ってきた。その容貌は凄まじく、とてもこの世のモノとは思われない。そんな神隠しの説話は『遠野物語』にはいくつも載っている。神隠しとはいったい何を意味するのか? そこには人間と隣りあって暮らす神とモノノケの世界があった。
第4回 11月22日(金) 『遠野物語』を読む〈4〉―オシラサマの話―
日本のイエの神のなかでもっとも奇妙な存在がオシラサマ、柳田をはじめとして多くの民俗学者、人類学者がその正体を探ってきた。北方民族由来の神という説が今は有力だが、それはそれとして、娘と馬との道ならぬ恋の物語「白神縁起」の読み解きを試みたい。
第5回 12月 6日(金) 『遠野物語』を読む〈5〉―ザシキワラシとイエの福神―
今も日本各地に息づくザシキワラシ、そのルーツとも言える説話は何故か東北地方に発していた。しかしザシキワラシ説話が登場するのはいつ頃からなのか? 古代から中世、そして江戸時代の数えきれない説話群のなかに同様の説話は見つからない。ザシキワラシの正体は意外なところにあった。
備考
【教材】
配付資料
※日程、講座内容の変更、休講・補講等がある場合があります。
お申込の際は、リンク先の主催校のホームページをご確認下さい。
配付資料
※日程、講座内容の変更、休講・補講等がある場合があります。
お申込の際は、リンク先の主催校のホームページをご確認下さい。
講師陣
名前 | 水谷 類 |
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肩書き | 元明治大学文学部兼任講師 |
プロフィール | 日本宗教史・文化史、および民俗学専攻。明治大学大学院博士後期課程修了。博士(史学)。著書:『廟墓ラントウと現世浄土の思想』、『墓前祭祀と聖所のトポロジー』(雄山閣、2009年)、『中世の神社と祭り』(岩田書院、2010年刊)、『墓制・墓標研究の再構築―歴史・考古・民俗学の現場から―』(岩田書院、2010年刊)、『村落・宮座研究の継承と展開』(岩田書院、2011刊)。一宮制、神社と祭り、民間芸能者、遊行の宗教者などを研究対象としながら、日本人の精神世界の形成について考えています。 |
名前 | 山田 朗 |
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肩書き | コーディネータ、明治大学文学部教授、平和教育登戸研究所資料館館長 |
プロフィール | 1956年大阪府生まれ。東京都立大学大学院博士課程単位取得退学。博士(史学)。日本現代史・軍事史を専攻。主な著書に、『大元帥・昭和天皇』(新日本出版社)、『兵士たちの戦場』(岩波書店)、『日本の戦争』(新日本出版社)、『軍備拡張の近代史』(吉川弘文館)、『世界史の中の日露戦争』(吉川弘文館)などがある。 |