講座詳細情報
申し込み締切日:2012-05-03 / 音楽 / 学内講座コード:12120010
民族音楽紀行
- 開催日
- 5月11日(金)、 5月18日(金)、 5月25日(金)、 6月 1日(金)、 6月 8日(金)、 6月22日(金)、 6月29日(金)、 7月 6日(金)、 7月13日(金)、 7月20日(金)
- 講座回数
- 10回
- 時間
- 18:30~20:30
- 講座区分
- 前期
- 入学金
- 3,000円
- 受講料
- 20,000円
- 定員
- 40
- 補足
※この講座の申し込みは既に締め切りました。
講座詳細
【講座趣旨】
昨年度、改めてユーラシア大陸の旅に出て、今年は2年目。シルクロードを経て西へ、カスピ海、カフカースの地に達したところで、さらに西から北へと進みます。東スラブから西スラブ、そしてゲルマン北部のスカンジナビアへと向かうのですが、常に東方との結びつき、すなわち、フィン・ウゴールをはじめ、チュルク・モンゴルなどの動きを視点にいれて廻っていきたいと思っています。
【講義概要】
第1回 5月11日(金) “タタールのくびき”後のロシア
15世紀にようやくタタールのくびきを脱して東方に進出し、モンゴルを受け継いで大国にのしあがったロシアの音楽は、日本ではソ連時代の新歌曲がさかんに歌われたものの、伝統の地方民謡や音楽は、ほとんどモスクワから発信されませんでした。今回はロシア本来のひなびて素朴な、むら歌チャストゥーシカを中心にお聞かせしましょう。
第2回 5月18日(金) ウクライナとベラルーシ
大国ロシアの陰にあってあまり表に出てこなかった地域ですが、実は、ロシア(ルーシ)の起源でスラブの中心はキエフでした。東スラブの伝統に培われた音楽の本質は、この地にドゥーマの詩やバンドゥーラを手にした吟遊詩人コブザーリによって受け継がれているのです。さらに西へとつづくカルパチア山地にも多くの古層文化が残されています。
第3回 5月25日(金) 緑の牧場のスロヴァキア
スロヴァキアは一時一緒になっていた西のチェコとちがって、東方や南方からの影響を強く受けてきた牧民の地。ポーランドに接する北辺は東ヨーロッパの屋根ともいえるタトラ山地が東西につづき、その南麓に“おお牧場は緑”の牧草地が広がって、笛の女王フヤラをはじめとする各種の牧笛がのどかに響いています。歴代の支配者に対する無法者(ハイドゥーク)(パルチザン)の活躍してきた地でもあります。
第4回 6月 1日(金) ヨーロッパの中心を誇るチェコ文化
百塔の街“と呼ばれるプラハに象徴されるように、チェコの人たちはヨーロッパ文化の中心はここにあると口をそろえます。スラブとゲルマンのはざまにあたるこの地は、まぎれもなく両者が見事に凝集した豊かな民族文化を形成してきました。音楽や舞踊、もちろん民謡にそのすばらしさはいかんなく発揮されているところです。東部のモラヴィアと西部のボヘミアには、またそれぞれの個性がみられます。
第5回 6月 8日(金) テンポ・ルバートの地ポーランド
10世紀のころバルト海から黒海に達する大国だったポーランドは、その後周辺列強によって何回も分割され、祖国を失うという悲劇に見舞われてきました。そうしたなかでポーランド民族を結びつける絆となってきたのが音楽、とくにショパンの曲にもみられる自由で繊細なテンポ・ルバートの歌や踊りでした。北の平野から南の山岳にかけての各地にそれは展開しています。
第6回 6月22日(金) 東方色の強いマジャールの伝統
5世紀のころから、東方から進出してきたマジャール(フン)族の地ハンガリーは、第1次大戦まで広く周辺各地を含む東ヨーロッパの大国でした。東方系の色彩が強く残るマジャールの音楽は、現在のハンガリーばかりでなく、ルーマニアをはじめとする周辺各国、さらに民族の祖地とされるウラル・ヴォルガ地方にまで共通した味わいをそなえています。新しく東方からやってきたロマがさらに彩りを加えています。
第7回 6月29日(金) 合唱にささえられたバルト三国
この地をとりまくスラブとゲルマンの大国にいためつけられてきたバルト海沿岸の人々が、共通して何よりの心のよりどころとしてきたのが伝統の合唱でした。ソ連支配下にあってなお、三つの民族(ラトビア、リトアニア、エストニア)は系譜こそちがえそれぞれのアイデンティティの象徴として、伝統的合唱を力強く歌いつづけ、はげましあってきたのでした。
第8回 7月 6日(金) 森と湖の国スオミ
スオミを自称する国フィンランドも、ハンガリーやエストニアと同じ東方からの民族の末裔の地。東西スラブとゲルマンの大国にいためつけられながらも“フィンランディア”を高らかに歌って民族の伝統と誇りを守りついできました。カレワラを吟じ、カンテレを爪弾く、“詩と歌の国”でもあります。ただし、カレワラの地元、カレリア地方は今もロシア領にくみこまれています。
第9回 7月13日(金) 北のゲルマンの王者スウェーデン
スカンジナビアの大国スウェーデンは、“足りないものは光だけ”という豊かなところ。その足りない光をありったけ楽しもうというのが夏至祭りです。人々は村中総出で祭りの衣装をつけ、メイポールをかこみ、中世以来の弓奏楽器フェーレ(ヴァイオリン)や鍵盤つきのニッケルハルパを弾きまくり、よっぴて踊るのです。祭りはまた、歌の祭典にもなっています。
第10回 7月20日(金) ヴァイキングとサーミのノルウェー
大西洋に面する山地とフィヨルドの国ノルウェーは、牧畜・漁撈と、ヴァイキングの名で知られた、大型船を利用してのヨーロッパ全海域―北海から地中海におよぶ人と物の交流の地。牧笛を吹き、家畜集めの叫び声を使っての民謡、祭りでは共鳴弦つきのフェーレが必須の存在です。北方のスカンジナビア一帯にかけては、これも東方からの北方民族サーミがトナカイを追い、ヨイクを歌って楽しんでいます。
昨年度、改めてユーラシア大陸の旅に出て、今年は2年目。シルクロードを経て西へ、カスピ海、カフカースの地に達したところで、さらに西から北へと進みます。東スラブから西スラブ、そしてゲルマン北部のスカンジナビアへと向かうのですが、常に東方との結びつき、すなわち、フィン・ウゴールをはじめ、チュルク・モンゴルなどの動きを視点にいれて廻っていきたいと思っています。
【講義概要】
第1回 5月11日(金) “タタールのくびき”後のロシア
15世紀にようやくタタールのくびきを脱して東方に進出し、モンゴルを受け継いで大国にのしあがったロシアの音楽は、日本ではソ連時代の新歌曲がさかんに歌われたものの、伝統の地方民謡や音楽は、ほとんどモスクワから発信されませんでした。今回はロシア本来のひなびて素朴な、むら歌チャストゥーシカを中心にお聞かせしましょう。
第2回 5月18日(金) ウクライナとベラルーシ
大国ロシアの陰にあってあまり表に出てこなかった地域ですが、実は、ロシア(ルーシ)の起源でスラブの中心はキエフでした。東スラブの伝統に培われた音楽の本質は、この地にドゥーマの詩やバンドゥーラを手にした吟遊詩人コブザーリによって受け継がれているのです。さらに西へとつづくカルパチア山地にも多くの古層文化が残されています。
第3回 5月25日(金) 緑の牧場のスロヴァキア
スロヴァキアは一時一緒になっていた西のチェコとちがって、東方や南方からの影響を強く受けてきた牧民の地。ポーランドに接する北辺は東ヨーロッパの屋根ともいえるタトラ山地が東西につづき、その南麓に“おお牧場は緑”の牧草地が広がって、笛の女王フヤラをはじめとする各種の牧笛がのどかに響いています。歴代の支配者に対する無法者(ハイドゥーク)(パルチザン)の活躍してきた地でもあります。
第4回 6月 1日(金) ヨーロッパの中心を誇るチェコ文化
百塔の街“と呼ばれるプラハに象徴されるように、チェコの人たちはヨーロッパ文化の中心はここにあると口をそろえます。スラブとゲルマンのはざまにあたるこの地は、まぎれもなく両者が見事に凝集した豊かな民族文化を形成してきました。音楽や舞踊、もちろん民謡にそのすばらしさはいかんなく発揮されているところです。東部のモラヴィアと西部のボヘミアには、またそれぞれの個性がみられます。
第5回 6月 8日(金) テンポ・ルバートの地ポーランド
10世紀のころバルト海から黒海に達する大国だったポーランドは、その後周辺列強によって何回も分割され、祖国を失うという悲劇に見舞われてきました。そうしたなかでポーランド民族を結びつける絆となってきたのが音楽、とくにショパンの曲にもみられる自由で繊細なテンポ・ルバートの歌や踊りでした。北の平野から南の山岳にかけての各地にそれは展開しています。
第6回 6月22日(金) 東方色の強いマジャールの伝統
5世紀のころから、東方から進出してきたマジャール(フン)族の地ハンガリーは、第1次大戦まで広く周辺各地を含む東ヨーロッパの大国でした。東方系の色彩が強く残るマジャールの音楽は、現在のハンガリーばかりでなく、ルーマニアをはじめとする周辺各国、さらに民族の祖地とされるウラル・ヴォルガ地方にまで共通した味わいをそなえています。新しく東方からやってきたロマがさらに彩りを加えています。
第7回 6月29日(金) 合唱にささえられたバルト三国
この地をとりまくスラブとゲルマンの大国にいためつけられてきたバルト海沿岸の人々が、共通して何よりの心のよりどころとしてきたのが伝統の合唱でした。ソ連支配下にあってなお、三つの民族(ラトビア、リトアニア、エストニア)は系譜こそちがえそれぞれのアイデンティティの象徴として、伝統的合唱を力強く歌いつづけ、はげましあってきたのでした。
第8回 7月 6日(金) 森と湖の国スオミ
スオミを自称する国フィンランドも、ハンガリーやエストニアと同じ東方からの民族の末裔の地。東西スラブとゲルマンの大国にいためつけられながらも“フィンランディア”を高らかに歌って民族の伝統と誇りを守りついできました。カレワラを吟じ、カンテレを爪弾く、“詩と歌の国”でもあります。ただし、カレワラの地元、カレリア地方は今もロシア領にくみこまれています。
第9回 7月13日(金) 北のゲルマンの王者スウェーデン
スカンジナビアの大国スウェーデンは、“足りないものは光だけ”という豊かなところ。その足りない光をありったけ楽しもうというのが夏至祭りです。人々は村中総出で祭りの衣装をつけ、メイポールをかこみ、中世以来の弓奏楽器フェーレ(ヴァイオリン)や鍵盤つきのニッケルハルパを弾きまくり、よっぴて踊るのです。祭りはまた、歌の祭典にもなっています。
第10回 7月20日(金) ヴァイキングとサーミのノルウェー
大西洋に面する山地とフィヨルドの国ノルウェーは、牧畜・漁撈と、ヴァイキングの名で知られた、大型船を利用してのヨーロッパ全海域―北海から地中海におよぶ人と物の交流の地。牧笛を吹き、家畜集めの叫び声を使っての民謡、祭りでは共鳴弦つきのフェーレが必須の存在です。北方のスカンジナビア一帯にかけては、これも東方からの北方民族サーミがトナカイを追い、ヨイクを歌って楽しんでいます。
★詳細・お申込みはコチラ>>[明治大学リバティアカデミーのページへ]
備考
【教材】
レジュメ資料
レジュメ資料
講師陣
名前 | 江波戸 昭 |
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肩書き | 明治大学名誉教授 |
プロフィール | 1932年東京生まれ。1955年東京大学理学部地理学科卒業。1960年同大学院博士課程修了、理学博士。1965年明治大学商学部専任講師を経て助教授、教授、2002年名誉教授。経済地理学専攻、かたわら民族音楽の研究を続けている。近著に「世界の音 民族の音」(青土社)、「民族音楽CD200-世界の音を聴く」(立風書房)、「世界の音を訪ねて」(リバティアカデミーブックレット)など。 |