講座詳細情報
申し込み締切日:2011-09-23 / 文学 / 学内講座コード:11220044
もう一度学ぶ平家物語とその時代
- 開催日
- 9月30日(金)~12月 2日(金)
- 講座回数
- 10回
- 時間
- 18:30~20:00
- 講座区分
- 後期
- 入学金
- 3,000円
- 受講料
- 22,000円
- 定員
- 30
- 補足
※この講座の申し込みは既に締め切りました。
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講座詳細
【講座趣旨】
『平家物語』は、ふつう「武士の活躍を和漢混淆文で力強く描いた文学」とか「平家一門の栄枯盛衰を抒情的に描いた無常観の文学」といわれています。しかし、じつはもっとたくさんの表情を持ち、多くの謎に満ちています。また、昨今明らかになってきた新事実は、残念ながら一般にはまだほとんど知られていません。この講座では、そうした状況を紹介しながら、『平家物語』の世界をもう一度学び直していきます。とくに、物語を生み出し、受け継いできた時代のさまざまな状況を踏まえることで、物語世界の奥行きを実感していきたいと思います。
【講義概要】
第1回 9月30日(金) 小松殿と文覚
都の小松に邸宅を構えた平重盛は「小松殿」と呼ばれました。そして物語では、小松殿の一族が、平家の嫡流とされています。小松殿の家系がどのように描かれるか、文覚との関係から眺めてみます。
第2回 10月 7日(金) 都落ち後の小松家――「昔はむかし、今は今」
都落ち後、一門はかつて勢力基盤を築いた九州に至ります。豊後の住人・緒形維義は小松家の御家人でしたが、助力要請に対し「昔はむかし、今は今」と拒否します。平家と九州の「昔」と「今」をとらえていきます。
第3回 10月14日(金) 宗盛の語られかた――公の立場、私の感情
清盛亡きあとの平家一門を率いた宗盛の姿を、物語は統率力のないリーダーとして描き出していきます。そうした宗盛がどのように受け止められ、評価されてきたのかをさまざまな資料をとおして考えてみます。
第4回 10月21日(金) 宗盛と妻子の〈物語〉――「副将被斬」を通して
物語をおおう「恩愛」の物語は、壇ノ浦合戦で敗れ、生け捕られた宗盛の家族に対しても語られています。宗盛の人物造型と「家」の物語との断層、小松家の人々との描かれ方の違いなどに注目していきます。
第5回 10月28日(金) 高倉天皇の描かれ方
後白河院の皇子であり、建春門院平滋子を母とする高倉天皇は、「末代の賢王」とたたえられました。物語が、高倉天皇とその治世をどのように描き出したか、後白河院と対比させつつ考えてみます。
第6回 11月 4日(金) 高倉院の「喪失」――「末代の賢王」を偲ぶ〈物語〉
高倉院は巻六冒頭「新院崩御」に至り「賢王」として偲ばれます。〈物語〉は規範としての「王」の存在が失われたことに力を注いだと考えられます。『平家物語』が説く、「賢王」の系譜についても注目していきます。
第7回 11月11日(金) 物語における厳島の位置
平安時代末期、平清盛が信仰したことにより、にわかに興隆してきたのが厳島神社でした。平家物語以外の資料も参照しつつ、厳島神社と清盛を、物語がどのように描き出しているか見てみます。
第8回 11月18日(金) 明神の「神意」と清盛の「人為」――厳島に詣でる人々
自らの願いを果たすため、熱心な清盛の厳島信仰へ取り入って社参をおこなった徳大寺実定や高倉院の〈物語〉に注目します。清盛の「人為」と厳島明神の「神意」との差異にある〈物語〉を読んでいきます。
第9回 11月25日(金) 宇治川合戦と仏教世界における馬
佐々木高綱と梶原景季の先陣争いを描く「宇治川先陣」は物語中の名場面の一つですが、そこで活躍するのは「いけずき」と「するすみ」という馬です。合戦における馬がどのように描かれているか、考えてみます。
第10回 12月 2日(金) 名馬伝承の諸相――物語の内と外
戦場の武士たちの活躍をささえた名馬の物語・伝承は、古くから数多く伝えられてきました。平家物語におけるそれを踏まえつつ、平家物語と並んで伝えられた名馬伝承に光をあて、それぞれの性格を読み解いてみましょう。
『平家物語』は、ふつう「武士の活躍を和漢混淆文で力強く描いた文学」とか「平家一門の栄枯盛衰を抒情的に描いた無常観の文学」といわれています。しかし、じつはもっとたくさんの表情を持ち、多くの謎に満ちています。また、昨今明らかになってきた新事実は、残念ながら一般にはまだほとんど知られていません。この講座では、そうした状況を紹介しながら、『平家物語』の世界をもう一度学び直していきます。とくに、物語を生み出し、受け継いできた時代のさまざまな状況を踏まえることで、物語世界の奥行きを実感していきたいと思います。
【講義概要】
第1回 9月30日(金) 小松殿と文覚
都の小松に邸宅を構えた平重盛は「小松殿」と呼ばれました。そして物語では、小松殿の一族が、平家の嫡流とされています。小松殿の家系がどのように描かれるか、文覚との関係から眺めてみます。
第2回 10月 7日(金) 都落ち後の小松家――「昔はむかし、今は今」
都落ち後、一門はかつて勢力基盤を築いた九州に至ります。豊後の住人・緒形維義は小松家の御家人でしたが、助力要請に対し「昔はむかし、今は今」と拒否します。平家と九州の「昔」と「今」をとらえていきます。
第3回 10月14日(金) 宗盛の語られかた――公の立場、私の感情
清盛亡きあとの平家一門を率いた宗盛の姿を、物語は統率力のないリーダーとして描き出していきます。そうした宗盛がどのように受け止められ、評価されてきたのかをさまざまな資料をとおして考えてみます。
第4回 10月21日(金) 宗盛と妻子の〈物語〉――「副将被斬」を通して
物語をおおう「恩愛」の物語は、壇ノ浦合戦で敗れ、生け捕られた宗盛の家族に対しても語られています。宗盛の人物造型と「家」の物語との断層、小松家の人々との描かれ方の違いなどに注目していきます。
第5回 10月28日(金) 高倉天皇の描かれ方
後白河院の皇子であり、建春門院平滋子を母とする高倉天皇は、「末代の賢王」とたたえられました。物語が、高倉天皇とその治世をどのように描き出したか、後白河院と対比させつつ考えてみます。
第6回 11月 4日(金) 高倉院の「喪失」――「末代の賢王」を偲ぶ〈物語〉
高倉院は巻六冒頭「新院崩御」に至り「賢王」として偲ばれます。〈物語〉は規範としての「王」の存在が失われたことに力を注いだと考えられます。『平家物語』が説く、「賢王」の系譜についても注目していきます。
第7回 11月11日(金) 物語における厳島の位置
平安時代末期、平清盛が信仰したことにより、にわかに興隆してきたのが厳島神社でした。平家物語以外の資料も参照しつつ、厳島神社と清盛を、物語がどのように描き出しているか見てみます。
第8回 11月18日(金) 明神の「神意」と清盛の「人為」――厳島に詣でる人々
自らの願いを果たすため、熱心な清盛の厳島信仰へ取り入って社参をおこなった徳大寺実定や高倉院の〈物語〉に注目します。清盛の「人為」と厳島明神の「神意」との差異にある〈物語〉を読んでいきます。
第9回 11月25日(金) 宇治川合戦と仏教世界における馬
佐々木高綱と梶原景季の先陣争いを描く「宇治川先陣」は物語中の名場面の一つですが、そこで活躍するのは「いけずき」と「するすみ」という馬です。合戦における馬がどのように描かれているか、考えてみます。
第10回 12月 2日(金) 名馬伝承の諸相――物語の内と外
戦場の武士たちの活躍をささえた名馬の物語・伝承は、古くから数多く伝えられてきました。平家物語におけるそれを踏まえつつ、平家物語と並んで伝えられた名馬伝承に光をあて、それぞれの性格を読み解いてみましょう。
備考
【教材】
レジュメ資料
レジュメ資料
講師陣
名前 | 牧野 淳司 |
---|---|
肩書き | 明治大学文学部准教授 |
プロフィール | 名古屋大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。専門は日本中世文学、平家物語と寺院資料の研究。業績として、『延慶本平家物語全注釈(巻一~巻五)』(共著 汲古書院)、『真福寺善本叢刊 東大寺本末相論史料』(共著 臨川書店)などがある。 |
名前 | 鈴木 彰 |
---|---|
肩書き | 明治大学政治経済学部准教授 |
プロフィール | 早稲田大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。専門は日本中世文学、軍記物語。著書に『平家物語の展開と中世社会』(汲古書院)、『平家物語を知る事典』(共著 東京堂出版)、『図説平家物語』(共著 河出書房新社)、『木曾義仲のすべて』(共著 新人物往来社)などがある。 |
名前 | 久保 勇 |
---|---|
肩書き | 千葉大学大学院人文社会科学研究科助教 |
プロフィール | 千葉大学大学院博士後期過程修了。博士(文学)。専門は日本古典文学、軍記物語を軸とした研究。業績として『校訂延慶本平家物語(11)』(共著 汲古書院)、「延慶本『平家物語』の〈狂言綺語〉観―〈物語〉の志向したもの―」(季刊『文学』10-2)などがある。 |