講座詳細情報
申し込み締切日:2014-06-02 / 経済 / 学内講座コード:14A1612001
EU─ユーロ危機を奇貨に新たな統合の展望を拓く (かながわ大学生涯学習推進協議会共同公開講座)
- 開催日
- 6月 3日(火)、 6月10日(火)、 6月17日(火)、 6月24日(火)、 7月 1日(火)、 7月 8日(火)
- 講座回数
- 6回
- 時間
- 13:00~14:30
- 講座区分
- 前期
- 入学金
- -
- 受講料
- 9,500円
- 定員
- 30
- その他
- 8500(※料金は、神奈川大学生・卒業生等および横浜市交流協議会加盟大学在学生に適用される料金です)
- 補足
※この講座の申し込みは既に締め切りました。
講座詳細
【講座内容】
世界最大の経済圏EUは欧州統合史上最大の危機――ユーロ危機の克服に挑み、克服しつつある。一部で、ユーロ破綻、EU解体論などが飛び交う中、EU、特にユーロ圏18カ国はIMFの欧州版、「欧州安定メカニズム」を創設。また制度面で、ユーロ圏の銀行監督、破綻処理の一元化など銀行同盟の設立を目指す構造改革を進めており、財政統合を目指す展望が開かれつつある。
一方で、グローバル化、域内の南北格差に加えて技術革新、情報力を重視するパワーシフトの変革期に入り、域内にナショナリズム、ゼノフォビア(外国人排除)が顕在化する社会情勢の変革が起きてきた。また、フクシマの事故、温暖化に伴う災害、加盟国にエネルギーに対するする関心が高まっている。今回は、前回に加え、脱原発を決めたドイツ、フィンランドなど北欧の事情を取り上げる。欧州統合のアジアへの示唆にも触れる。
【講座スケジュール】
第1回 6月 3日(火) 脱ユーロ危機でEU が統合の新たな課題に挑戦【田中 素香】
詳細:ユーロ危機は2010年春から3波にわたる金融市場パニックとなったが、12年夏以降ユーロ圏首脳会議とECB(欧州中央銀行)の対応で沈静化した。だが、南北欧州の分裂状態などEUの危機は続いている。EU・ユーロ圏は危機防止・経済成長を目指して、1950年代・1980年代に続く第3の統合進展期を迎えている。
第2回 6月10日(火) ユーロ危機と、ナショナリズム、ゼノフォビア(外国人嫌い)【羽場 久美子】
詳細:グローバル化とEU拡大が進む中で、冷戦終焉後EUに は大量の移民が流入してきたが、特にユーロ危機前後から、西欧、北欧において、経済生活の悪化や、若者の失業と絡んで、強力なナショナリズム、ゼノフォビア(外国人嫌い)が広がっている。これらは、特にムスリムやアラブに対する嫌悪として問題となっている。本講義では、なぜユーロ危機の下で、ゼノフォビアなのか、という背景と現状を探る。
第3回 6月17日(火) COP19の機会に欧州のエネルギー事情を改めて考えた【石井 伸一】
詳細:2013年11月の地球温暖化に関する国連会合が開かれ温暖化に関する論議が高まる。本講座は3.11の事故を契機に脱原発に舵を切ったドイツ、原発抑制のスウェーデンと原発推進のフィンランド、太陽光エネルギー開発に乗り出したスペインの事情を俯瞰する。
第4回 6月24日(火) ヨーロッパのアジアへの示唆――シャルル・ドゴールの一つのヨーロッパ構想【石井 伸一】
詳細:共同体の形成には構想とイニシアティブが肝要であり、ドゴールの「大西洋からウラルまで」の一つのヨーロッパ構想を取り上げてみた。大統領は東西陣営に与さず、自主独立路線を推進、ドイツとの協力をバネにソ連、東欧を訪問、緊張緩和、友好外交を推進。やがて、冷戦の終結で東欧諸国はEU加盟を申請、統合の形で東西ヨーロッパは統一された。
第5回 7月 1日(火) パワーシフトとアジアの地域統合――欧州の教訓、日本の役割【羽場 久美子】
詳細:世界金融危機、ユーロ危機進行の過程と並行して、「パワーシフト」の時代が到来している。パワーシフトとは、先進国が新興国にパワーで追い抜かれつつあるということと合わせ、軍事力・経済力・知力(科学技術力)の3つのパワーの中で、経済力、知力という、いわゆる「ソフトパワー」の時代が到来しつつあるという事でもある。政治的敵対にもかかわらず、この間、アジア地域の投資や経済協同は著しい速さで進みつつある。この講義では、視点をヨーロッパからアジア、アメリカに広げ、どのような形で安定と世界発展を作っていけるかを考察する。
第6回 7月 8日(火) 欧州債務危機に対するEUの対応策【レネ・ダイグナン】
詳細:世界的に関心の的となった欧州債務危機に対する一連のEUの対応策を概観する。以前には想定もされなかった一連の措置、メカニズムを考案、実施してきた。ユーロ圏の救済・安全網である「欧州安定メカニズム」といった防火壁を初め、統治制度の改革などの構造改革を進める。改革の進展の度合い、未来に向けての挑戦について言及する。
世界最大の経済圏EUは欧州統合史上最大の危機――ユーロ危機の克服に挑み、克服しつつある。一部で、ユーロ破綻、EU解体論などが飛び交う中、EU、特にユーロ圏18カ国はIMFの欧州版、「欧州安定メカニズム」を創設。また制度面で、ユーロ圏の銀行監督、破綻処理の一元化など銀行同盟の設立を目指す構造改革を進めており、財政統合を目指す展望が開かれつつある。
一方で、グローバル化、域内の南北格差に加えて技術革新、情報力を重視するパワーシフトの変革期に入り、域内にナショナリズム、ゼノフォビア(外国人排除)が顕在化する社会情勢の変革が起きてきた。また、フクシマの事故、温暖化に伴う災害、加盟国にエネルギーに対するする関心が高まっている。今回は、前回に加え、脱原発を決めたドイツ、フィンランドなど北欧の事情を取り上げる。欧州統合のアジアへの示唆にも触れる。
【講座スケジュール】
第1回 6月 3日(火) 脱ユーロ危機でEU が統合の新たな課題に挑戦【田中 素香】
詳細:ユーロ危機は2010年春から3波にわたる金融市場パニックとなったが、12年夏以降ユーロ圏首脳会議とECB(欧州中央銀行)の対応で沈静化した。だが、南北欧州の分裂状態などEUの危機は続いている。EU・ユーロ圏は危機防止・経済成長を目指して、1950年代・1980年代に続く第3の統合進展期を迎えている。
第2回 6月10日(火) ユーロ危機と、ナショナリズム、ゼノフォビア(外国人嫌い)【羽場 久美子】
詳細:グローバル化とEU拡大が進む中で、冷戦終焉後EUに は大量の移民が流入してきたが、特にユーロ危機前後から、西欧、北欧において、経済生活の悪化や、若者の失業と絡んで、強力なナショナリズム、ゼノフォビア(外国人嫌い)が広がっている。これらは、特にムスリムやアラブに対する嫌悪として問題となっている。本講義では、なぜユーロ危機の下で、ゼノフォビアなのか、という背景と現状を探る。
第3回 6月17日(火) COP19の機会に欧州のエネルギー事情を改めて考えた【石井 伸一】
詳細:2013年11月の地球温暖化に関する国連会合が開かれ温暖化に関する論議が高まる。本講座は3.11の事故を契機に脱原発に舵を切ったドイツ、原発抑制のスウェーデンと原発推進のフィンランド、太陽光エネルギー開発に乗り出したスペインの事情を俯瞰する。
第4回 6月24日(火) ヨーロッパのアジアへの示唆――シャルル・ドゴールの一つのヨーロッパ構想【石井 伸一】
詳細:共同体の形成には構想とイニシアティブが肝要であり、ドゴールの「大西洋からウラルまで」の一つのヨーロッパ構想を取り上げてみた。大統領は東西陣営に与さず、自主独立路線を推進、ドイツとの協力をバネにソ連、東欧を訪問、緊張緩和、友好外交を推進。やがて、冷戦の終結で東欧諸国はEU加盟を申請、統合の形で東西ヨーロッパは統一された。
第5回 7月 1日(火) パワーシフトとアジアの地域統合――欧州の教訓、日本の役割【羽場 久美子】
詳細:世界金融危機、ユーロ危機進行の過程と並行して、「パワーシフト」の時代が到来している。パワーシフトとは、先進国が新興国にパワーで追い抜かれつつあるということと合わせ、軍事力・経済力・知力(科学技術力)の3つのパワーの中で、経済力、知力という、いわゆる「ソフトパワー」の時代が到来しつつあるという事でもある。政治的敵対にもかかわらず、この間、アジア地域の投資や経済協同は著しい速さで進みつつある。この講義では、視点をヨーロッパからアジア、アメリカに広げ、どのような形で安定と世界発展を作っていけるかを考察する。
第6回 7月 8日(火) 欧州債務危機に対するEUの対応策【レネ・ダイグナン】
詳細:世界的に関心の的となった欧州債務危機に対する一連のEUの対応策を概観する。以前には想定もされなかった一連の措置、メカニズムを考案、実施してきた。ユーロ圏の救済・安全網である「欧州安定メカニズム」といった防火壁を初め、統治制度の改革などの構造改革を進める。改革の進展の度合い、未来に向けての挑戦について言及する。
講師陣
名前 | 田中 素香 |
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肩書き | 中央大学経済学部教授 |
プロフィール | 九州大学大学院修士課程修了、経済学博士。東北大学教授を経て現職。西ドイツケルン大学・ヨーロッパ大学院(フィレンツェ)・ボン大学客員研究員。日本国際経済学会会長、日本EU 学会理事長を歴任。主要著書に『欧州統合――EC 発展の新段階』『EMS:欧州通貨制度――欧州通貨統合の焦点』『現代ヨーロッパ経済(第3 版)』(以上、有斐閣)、『EC 統合の新展開と欧州再編成』(東洋経済新報社)、『拡大するユーロ経済圏』(日本経済新聞出版社)、『ユーロ 危機の中の統一通貨』(岩波新書)他多数。 |
名前 | 羽場 久美子 |
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肩書き | 青山学院大学国際政治経済学部教授 |
プロフィール | 津田塾大学大学院博士課程修了。学術博士(国際政経関係学)。ハンガリー科学アカデミー、ロンドン大学、ソルボンヌ大学、イタリア・欧州大学研究所、ハーバード大学にて客員研究員。専門は国際政治学、拡大ヨーロッパ、ナショナリズム。日本学術会議会員(政治学)、東アジア共同体評議会副議長、国際アジア共同体学会副代表、日本政治学会理事、日本EU学会理事、ロシア・東欧学会理事を歴任。著書に『グローバル時代のアジア地域統合』『ヨーロッパの東方拡大』(以上、岩波書店)、『拡大ヨーロッパの挑戦』(中公新書)、『グローバリゼーションと欧州拡大』(御茶の水書房)他多数。 |
名前 | 石井 伸一 |
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肩書き | ヨーロッパ問題研究者 |
プロフィール | 1959年早稲田大学商学部卒業。NHKに入局。ヨーロッパ総局(パリ)特派員(主にドゴールの外交を取材、報道)、ローマ支局長。1995年神奈川大学特任教授、ヨーロッパ経済論など担当、2005年退職、退職後もヨーロッパの政治、経済問題を中心に研究、現在に至る。主要著書に『現代欧州統合論』(白桃書房)、『新EU論』(共著、新評論)などがある。 |
名前 | レネ・ ダイグナン |
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肩書き | 駐日欧州連合代表部経済担当官 |
プロフィール | 1971年アイルランドのダブリン生まれ。ダブリンのトリニティ大学で経済学修士号、ユニヴァーシティ大学で経営学修士号を取得。日本政府の給費を受け青山学院大学で研究、国際経営学で博士号を取得。イタリア中央銀行で、欧州中央銀行のモニターグループ向けにアジア経済を担当、現在、駐日欧州連合代表部政治経済部の経済担当官。この他、青山学院大学で非常勤講師としてグローバルビジネスとヨーロッパ経済を担当。 |