大学公開講座のセカンドアカデミー

【講座内容】
戦略というコンセプトがようやく世間一般に浸透するようになった今日、実はすでにその概念が時代遅れになりつつある。それは、環境変化の一層の激化、情報技術をはじめとする技術革新の加速度化が原因である。例えば、ドバイショックやギリシャ危機など直近の局地的な出来事が、長期的展望に基づいて立案されたはずの企業の基本戦略にたえざる変更を余儀なくしている。かつて、長期計画を時代遅れにした環境変化は、いまや戦略をも厄介払いしようとしている。この講座では、長期計画を陳腐化させた環境変化の問題とともに、戦略の本来の意味について解説し、さらに戦略後の新しいコンセプトについて検討する。その際、かつてベストセラーになったA. トフラーの『第三の波』や、S. ハンチントンの『文明の衝突』などを考えるヒントとして解説してゆく。戦略後の世界を理解するための新しいコンセプトとして、「戦律」という概念を提供する。理論的な新しいメガネに掛け替えることによって、ぼんやりとした未来社会の姿がはっきりと見え始めることに驚きを禁じ得ないであろう。

【特色】
経営学や社会学の基本文献に基づきながらも、数々の事例を検討しつつ現実感覚を大切にした議論を進めてゆきたい。既存の主要理論について手際良く解説し、まず基本知識を習得し、かつ現実の問題を提起する形式を取りたい。基礎的理解から現実問題への応用へと、知的な好奇心を発展させることのできる講座をめざす。

【講座スケジュール】
第1回　11月 8日(金) 　長期計画と戦略の本質
第2回　11月15日(金) 　戦略の時代
第3回　11月22日(金) 　戦略を陳腐化している第三の波の現実
第4回　11月29日(金) 　戦律の時代と文明の衝突
第5回　12月 6日(金)　 情報化時代のヘゲモニー

【受講条件】
特になし

【教材】
●小山和伸著『戦略がなくなる日』主婦の友新書
※テキストの購入等（受講料には含まれません）については、講座開始前にご案内します。

名前	小山 和伸
肩書き	神奈川大学経済学部教授
プロフィール	東京大学経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。大学で経済・経営の教育研究に当たる傍ら、スカパーTV(チャンネル桜)で報道キャスターを務め、全国で講演活動を繰り広げるなど、幅広い活躍を見せている。著書に『技術革新の戦略と組織行動』白桃書房1994年4月、『選択力』主婦の友社2010年2月(日本図書館協会選定図書)、『ウソだろ!?バリアフリー』晃洋書房2010年7月、『戦略がなくなる日』主婦の友新書2011年2月などがある。