大学公開講座のセカンドアカデミー

ギリシャ軍最強の三英雄は、足が早くて、速攻型の美青年アキレウス、真っ正直な仁侠(にんきょう)と守りに強い大男アイアス、策略と雄弁が得意の最初の近代的個人主義者オデッセウス。アキレウスの戦線離脱で傾いたギリシャ勢を立て直すのは誰か。アキレウスの死後その名誉ある武具を受け継ぐのは誰か。興奮と感動渦巻く三人の戦いの物語に浮彫になるのは労使間の所得格差、指揮官の判断ミス、戦争と性暴力、母権制と父権制、滅亡した文明の再興、世代交代、英雄時代から市民社会、武力より強い雄弁の力など、普遍的かつ今日的なテーマの数々。三千年の時空を越え、世界と人生に根源的な問いを投げかける古典文学の精髄を読む。

名前	川井 万里子（かわい まりこ）
肩書き	東京経済大学名誉教授
プロフィール	1938年6月20日生まれ。東京女子大学英米文学科卒、東京都立大学大学院英文科修士卒、文学修士。主な著書に『トロイア戦争の三人の英雄たちーアキレウスとアイアスとオデッセウス』単著（春風社、2018）、『甦るシェイクスピア―没後四百年記念論集』日本シェイクスピア協会編、共著（研究社、2016）、ジョージ・チャップマン著『みんな愚か者』単訳（成美堂、1993）など。