講座詳細情報
申し込み締切日:2023-09-14 / 日本史:政治:心理
日本近現代史に学ぶ 「21世紀の天皇制と皇室」
- 開催日
- 10/20、11/17、12/8、1/19、2/16
全5回、すべて金曜日
お申込み締切り:9月14日(木)17:00
*この日満席でなければ、引き続きお申込みを受付けます
受講票の発送:9月20日(水)以降
- 講座回数
- 5回
- 時間
- 13:30~15:00
- 講座区分
- 後期
- 入学金
- -
- 受講料
- 15,000円
- 定員
- 52
- その他
- お支払い:初回の受付でお支払いください(一括のみ)
- 補足
※この講座の申し込みは既に締め切りました。
講座詳細
天皇制はこれからどのように変化するのだろうか。あるいは皇室はいかなる形で社会に位置付けられるのだろうか。
改めてその存在と意味を考えてみたい、というのがこの講座の目的である。同時に過去の歴史を振り返りつつ、現在を見つめ、さらにその将来を予想しようとの狙いも含んでいる。天皇制は私たち国民の意識や生活規範と重なり合っているが故に、正面からきちんと見据えながら、幾つかの視点をもって歴史の視点で考えてみるべきだと思う。
■第1回 10/20(金) 「天皇制とはどういう意味か」
日本の天皇制は、ヨーロッパなどの皇帝などとは多くの点で異なっている。つまり権力は武家政治が担うにしても、権威をもってこの国の文化、伝統を守るという役割を果たしてきた。むろんそのバランスが歪んだ時もあったが、本質的にはこの分立が日本の知恵ともいうべき遺産であった。それがどのように崩れたのか、そのプロセスを改めて整理した上で天皇制のあり得べき姿を見つめてみたい。
■第2回 11/17(金) 「明治維新と天皇制の関係」
日本の明治維新は極めて曖昧な形で始まった。権力と権威の分立を壊し、権力のもとに権威を引き込んだ。そうしなければ政権の掌握が行えないという政府の要人たちは、新しい組み立てに各種の見方を抑える形で、大日本帝国憲法を作り、国家の行く末を決めていった。天皇を統治権、統帥権の総覧者として存在させることで、実際には臣下のものがその権力を振るうことになった。そこに矛盾が生まれた。
■第3回 12/8(金) 「近代史の中の天皇制を考える」
大日本帝国が目指したのは軍事を主導とする軍事大国であった。そのために軍人が極端なまでに支配の中心に立ち、軍事で一切を動かしていくという、極めて危うい国家になった。天皇はその意思がいかなるものであったにせよ、ピエロのような役割を演じられていかなければならなかった。こういう天皇を分析することは、明治天皇と睦仁という二つの側面で見ていく必要がある。皇室を見つつ、神権化天皇の実態を探ってみる。
■第4回 1/19(金) 「現代史と新感覚の人天皇制」
平成の天皇は、それまでの天皇の行動指針を大きく変えた。「国民とともにある」を自らの人間天皇の第一要件とした。その意味では、新時代の天皇像を自らも作り上げていく意思を示したとも言えるように思う。
加えて大日本帝国憲法下のルール(終身在位)をあっさりと変更したものになった。そういう試みは天皇の主体的な判断とされるのだが、ここにきて天皇も明確に意思を表すことが、当然の世論作りが進められた。
■第5回 2/16(金) 「21世紀の天皇、そのあり得べき姿と皇室」
21世紀の天皇の姿はむろん19、20世紀の姿とは異なっていく。最も大きな変化は、天皇も皇室も大いに発言するようになったことである。三笠宮皇女の結婚に見られるように結婚という式も庶民と変わらなくなり、その生活感覚は庶民と同じレベルになっている。このことは良いことであると同時に、皇室の大衆化の始まりでもあり、その行く末を案じる声も当然起こっている。これからの天皇制は全く新しい形が生まれるのかもしれない。
改めてその存在と意味を考えてみたい、というのがこの講座の目的である。同時に過去の歴史を振り返りつつ、現在を見つめ、さらにその将来を予想しようとの狙いも含んでいる。天皇制は私たち国民の意識や生活規範と重なり合っているが故に、正面からきちんと見据えながら、幾つかの視点をもって歴史の視点で考えてみるべきだと思う。
■第1回 10/20(金) 「天皇制とはどういう意味か」
日本の天皇制は、ヨーロッパなどの皇帝などとは多くの点で異なっている。つまり権力は武家政治が担うにしても、権威をもってこの国の文化、伝統を守るという役割を果たしてきた。むろんそのバランスが歪んだ時もあったが、本質的にはこの分立が日本の知恵ともいうべき遺産であった。それがどのように崩れたのか、そのプロセスを改めて整理した上で天皇制のあり得べき姿を見つめてみたい。
■第2回 11/17(金) 「明治維新と天皇制の関係」
日本の明治維新は極めて曖昧な形で始まった。権力と権威の分立を壊し、権力のもとに権威を引き込んだ。そうしなければ政権の掌握が行えないという政府の要人たちは、新しい組み立てに各種の見方を抑える形で、大日本帝国憲法を作り、国家の行く末を決めていった。天皇を統治権、統帥権の総覧者として存在させることで、実際には臣下のものがその権力を振るうことになった。そこに矛盾が生まれた。
■第3回 12/8(金) 「近代史の中の天皇制を考える」
大日本帝国が目指したのは軍事を主導とする軍事大国であった。そのために軍人が極端なまでに支配の中心に立ち、軍事で一切を動かしていくという、極めて危うい国家になった。天皇はその意思がいかなるものであったにせよ、ピエロのような役割を演じられていかなければならなかった。こういう天皇を分析することは、明治天皇と睦仁という二つの側面で見ていく必要がある。皇室を見つつ、神権化天皇の実態を探ってみる。
■第4回 1/19(金) 「現代史と新感覚の人天皇制」
平成の天皇は、それまでの天皇の行動指針を大きく変えた。「国民とともにある」を自らの人間天皇の第一要件とした。その意味では、新時代の天皇像を自らも作り上げていく意思を示したとも言えるように思う。
加えて大日本帝国憲法下のルール(終身在位)をあっさりと変更したものになった。そういう試みは天皇の主体的な判断とされるのだが、ここにきて天皇も明確に意思を表すことが、当然の世論作りが進められた。
■第5回 2/16(金) 「21世紀の天皇、そのあり得べき姿と皇室」
21世紀の天皇の姿はむろん19、20世紀の姿とは異なっていく。最も大きな変化は、天皇も皇室も大いに発言するようになったことである。三笠宮皇女の結婚に見られるように結婚という式も庶民と変わらなくなり、その生活感覚は庶民と同じレベルになっている。このことは良いことであると同時に、皇室の大衆化の始まりでもあり、その行く末を案じる声も当然起こっている。これからの天皇制は全く新しい形が生まれるのかもしれない。
備考
■教材
当日講師より配布いたします。
■より理解を深めるための保阪先生推奨書籍
『秩父宮-昭和天皇弟宮の生涯』
保阪正康(中央公論新社/2000)
『昭和天皇』
原武史(岩波書店/2008)
『「昭和天皇実録」の謎を解く』
半藤一利、御厨貴、磯田道史、保阪正康(文藝春秋/2015)
当日講師より配布いたします。
■より理解を深めるための保阪先生推奨書籍
『秩父宮-昭和天皇弟宮の生涯』
保阪正康(中央公論新社/2000)
『昭和天皇』
原武史(岩波書店/2008)
『「昭和天皇実録」の謎を解く』
半藤一利、御厨貴、磯田道史、保阪正康(文藝春秋/2015)
講師陣
名前 | 保阪 正康 |
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肩書き | ノンフィクション作家/評論家/日本近現代史研究者 |
プロフィール | 1939年札幌市生まれ。1963年同志社大学文学部社会学科卒。1972年『死なう団事件』で作家デビュー。 2004年個人誌『昭和史講座』の刊行をはじめ一連の昭和史研究により菊池寛賞受賞。2017年『ナショナリズムの昭和』で和辻哲郎文化賞を受賞。近現代史の実証的研究を続け、これまで約4000人の人々に聞き書き取材を行っている。立教大学社会学部兼任講師、国際日本文化研究センター共同研究員などを歴任。現在、朝日新聞書評委員などを務める。近著『昭和史の核心』(PHP研究所/2022)、『Nの廻廊 ある友をめぐるきれぎれの回想』(講談社/2023)、文藝春秋で「日本の地下水脈」連載中。ラジオ出演月曜 「NHKラジオ・アーカイブス ~声でつづる昭和人物史」。 |