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遊学モニターレポート No.10

レポートNo.010 関西大学おおさか文化セミナー
平成19年の関西大学 おおさか文化セミナーの実施概要はこちら

おおさか文化セミナーは、関西大学と大阪府立文化情報センターの共催で、スタートしてから今年で28年目をむかえました。年々参加者が増え、今では募集を開始するとほぼ同時に400名の定員が一杯になるという人気講座です。今年下期のテーマは、「ユーモアのこころ」と、まさに大阪ならではのテーマです。
ちなみに今までのテーマは以下の通り、なかなか魅力的なテーマぞろいです。

関西大学天六キャンパスに集まるシニアパワー
この季節夕方6時を過ぎると、夕闇がせまります。天神橋筋6丁目の駅から、情緒ある商店街を抜けると、関西大学天六キャンパスに到着します。 街灯りの元、三々五々、受講生が集まってきます。まさに「夜学」という感じ。

大阪文化セミナー会場の看板 大阪文化セミナー会場の入り口
関西大学天六キャンパス

 ふと気づけば、講堂の中は、300名近くの受講生で埋っています。49歳の私が若く感じましたので、多分ほとんどが50代以上の方々。大阪のシニアパワー恐るべし。事務局の方に聞きますと、大阪市内だけでなく、高槻、箕面、茨木など、大阪郊外から多くが来られるとのこと。
大阪のシニア大集合
大阪のシニア大集合
ユーモラスに熱弁する 雨宮俊彦 教授
ユーモラスに熱弁する 雨宮俊彦教授
ユーモアのこころ 雨宮教授のユーモラスな熱弁
本日の講義の先生は、関西大学社会学部 雨宮俊彦教授。
「ハーハハハ、ケーケケケ」という声(笑い袋?)が時々鳴り響き、期待感が高まる中、授業がスタートしました。 まずは、笑いをなぞるレクチャーからです。

「作り笑いは、『目』で分かる」 
 スクリーンで2つの笑顔が紹介されました。同じような笑顔だけど、目が笑っているのと笑っていないのでは微妙に、しかし確実に違うんですね。凄いのは、ある女子大の研究テーマ。高校の卒業アルバムで目が笑っている人と、笑っていない人のその数年後を追跡したそうです。目が笑っていた人のほうが幸福感を感じている割合が圧倒的に 多かったそうです。ちなみに美人かどうかは、その後の幸福感とは無関係だったそうです。

「いよいよ笑いがビジネスのネタになる時代」
  オムロンの「お顔ビジョン」はカメラの撮影画像から顔を見つけ出し、笑顔度を0から100%の間で自動測定します。 また、ソニーの「スマイルシャッター」はカメラが笑顔に反応し、自動的にシャッターを切ります。どちらも凄い!!ですねぇ。その他、「笑顔アメニティ研究所」なるコンサルタントも企業研修でひっぱりだことか。21世紀は吉本ならずとも、 笑いがビジネスのネタとなりそうです。

「お顔ビジョン」での測定例
「お顔ビジョン」での測定例
オムロンホームページより転載
http://www.omron.co.jp/press/2007/c0905.html
「スマイルシャッター」実演例
「スマイルシャッター」実演例
YouTubeより転載
http://www.youtube.com/watch?v=N1WC_00L0b0

「動物の宥和を表す声が笑いのモト」
 動物は宥和の時は声の高さが高く(例:キャッキャッ)、威嚇の時は低く(例:ウー)なる。笑いは宥和のシグナルの音声伝達 から派生したものという説の紹介。もっともらしい。



「笑いはParatelic状態における 高覚醒の快である」
 ここからが本題です。かなり難解だったのですが、要は、人を笑わせるには「真剣な話から始めて、相手を緊張で不安にさせ、『オチ』のなんだで、不安を払拭させるといい」と理解したのですが、雨宮先生よろしいでしょうか?。 最初から最後までリラックス状態では笑いは起きないし、緊張で不安のままでも笑いは起きない。
覚醒水準と快感度の対応の反転
覚醒水準と快感度の対応の反転

カエル君、まあ座りなさい。実は君に大変なことを告げなければ
「カエル君、まあ座りなさい。
実は君に大変なことを告げなければ、、、」
ファミリーアルバムの写真
ファミリーアルバムの写真
バック=父、シューズ=母

開発中のTelic-Paratelic優位性尺度テストと自己採点用紙
開発中のTelic-Paratelic優位性尺度テストと自己採点用紙


目的追求時の真面目な状態を「Telic状態」といい、遊戯的な非真面目な状態を「Paratelic状態」というらしい。前述のように、笑いはTelic状態からParatelic状態への反転として捉えます。

 また、人によりTelic状態になりやすい人(生真面目な人?)と、Paratelic状態になりやすい人(楽観的な人?)があり、その度合を診断するテスト(開発中)を紹介いただき実際に試すことも出来ました。



体験取材後記
笑いがテーマということで、気を許したのかもしれません。結構ハードでした。特に後半、Rod Martin(国際ユーモア 学会会長。ユーモアの心理学」日本語訳2008年発刊予定)の学説に対する評価の部分は大変申し訳ありませんが、 理解できませんでした。しかし、一般向けの公開講座という場においても、最先端の学説を紹介するとともに、さらにそれをも 包含する学説構築を目指すという雨宮先生の意気込みを感じるTelic&Paratelicな講座でした。

関西大学 おおさか文化セミナー過去のテーマ

平成14年 大阪に生きる 大阪と人に優しいまちづくり
21世紀大阪政治の構造改革―都市デモクラシー再生のための条件を探る―
訪れたい都市・大阪へ
「商(あきない)」から見た大阪
再生大阪。大いに語る
近畿を訪れて 神戸―近代文学に見るその貌
京都―はじめて海を渡った京都の漆器―南蛮漆器と宣教師の時代―
滋賀―湖国の、中世武士・佐々木氏などと叡山王国と
奈良―明日香に輝く星の話―キトラ古墳の星宿図から―
大阪―幕末・明治の泊園書院
平成15年 大阪に生きる 大阪の街づくり-大阪再開発への期待 ~美しく、安全で、いきいきした海岸づくり~
大阪の貿易-新しい貿易理論による分析
大阪の文化-近代大阪出版物語
大阪の暮らし ~ケータイ文化に見るIT社会の虚と実~
大阪のこころ-笑いの力
近畿を訪れて 大阪-在日朝鮮人文学を読む
奈良-古代大和における瓦と土器
和歌山-熊野に見る日本文化の原風景
京都-地下に眠る千年の水脈
大阪-江戸の武士がみたナニワ-「武士の町大阪」始末記-
平成16年 大阪のデザイン 大阪の行政デザイン―活力ある市民社会の創造と自治体の役割      
安心のデザイン-社会保障制度改革のポイント              
耐震都市へのデザイン―地震へのリスク対策
国際都市へのデザイン―比較文化の視点から     
大阪文化の新デザイン―世界一夕日の美しい町・大阪へ
近畿を訪れて
-近畿に生きた人々-
和歌山―縛られた巨人南方熊楠
京都-日本の哲学を世界に発信した西田幾多郎
大阪―天王寺に生まれた開高健
兵庫-手塚治虫とタカラヅカ
大阪―ジャーナリスト北村兼子の情熱
平成17年 大阪のプロジェクト 大阪ブランドコミッティ
大阪ロボット開発
関西圏三空港問題
大阪のNewスクール―放課後教育の新展開
文化財と文化遺産学―大阪の文化遺産
大阪と他国・異国 蕪村の来坂、秋成の上洛
大阪と江戸と唐話
琉球、そして大和・台湾―黒潮ルートの文化伝播を考える―
大阪と長崎;「西遊記」の世界
大阪と韓国-「近くて遠い国」から「近くて近しい国」へ―
平成18年 -大阪探訪-
私たちの暮らす大阪について学び、考えます。
大阪の能楽堂-一期一会の歴史-
大阪近現代建築めぐり
大阪に生きるー暮らしの安全と安心ー
なにわの伝統野菜の復活から食育まで
大阪のまちづくりー人口減少時代を迎えて
京の女、大阪の女 京・大阪の尼寺-中世の仏教と女性-
歌人石上露子の実像-自我の解放と平和の主張
瀬戸内寂聴の「京の女」
夫の大坂、妻の大坂
与謝野晶子の情熱-君死にたまふことなかれ
平成19年 大阪のひと、街、暮らしをつなぐ 大阪の「いま」と「未来」をつなぐー展望ー
商いがつくる、ひとのつながり
世界とつながる都市・大阪
まちをつくる、大阪の住まいと暮らし
市民と街をつなぐー市バス開業80年と市営交通ー
ユーモアのこころ 大阪の笑い
ユーモアのこころと落語
能・狂言の世界から見る「笑い」
フランス的エスプリと笑い
ユーモアのこころ
※平成20年度も魅力的なテーマで実施予定です。ご期待ください。



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